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1-6仕事を探すのはマウスのローラーで
大手日系メーカー、ベンチャー企業、と2社を経て、やりたいことがよくわからなくなってとりあえず仕事を辞めてみた29歳、独身、男。仕事について、人生について、考えたり、サボったりするリアルな様を、自伝エッセイ風小説にしています。最後、現状の自分に追いつけるような予定です。ぜひお付き合い頂ければ幸いです。
クルクルクル。クルクルクル。
仕事を辞めてから1週間程経ったある日、僕はマウスのローラーで画面を下へ下へと流していた。
古代からそこにあったのではないかという企業の求人が並ぶ。
前見たときもこんな求人なかったか?
世間は求人で満ち溢れているようだ。
ちょうど今から9カ月くらい前か、日系の大手企業から転職しようかと思っていた時期に見ていたサイトたちだ。
でも、無事に決まった転職先はそうそうに辞めた。
仕事をすることが当たり前だった僕は、漫然と
「あ、次の仕事を探さなくては」
と思った。
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なんではじめの会社は辞めて転職したんだっけ。
ああ、色々嫌気がさしたんだよな。
大きな会社だったけど、ローテーションが遅すぎること、上司とそりがあわないこと、上司の上司にもっとやばい奴が転勤してきたこと。
色々に思うことがあった。
仕事は完璧ではないけど、若手にしては存在感ある仕事をした自信はあった。
でも、年次が進むにつれて思い描いていた世界線と違う分岐に来てしまった感が少しずつ強くなる。
大学を卒業したころは、なんとなく大企業で頑張っていく自分も想像できた。
自分は体育会にいて、仕事は部活の延長だと思っていた。
そして、とにかく名の知れたでかい会社にいくことを勧められていた。
周りの学生にも会社のネームバリューを大事に思う子が多い。
僕自身、将来について考えているつもりでも実は思考停止していたらしい。
当時の自分にあまり職業選択という意識はなくて、
「もう一度部活のようにチームで何かを成し遂げる高揚感みたいなものが、会社に入れば手に入るかな」
そう稚拙にも考えていた。
そして、大手メーカーに入った。
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確かに、同期入社の仲間たちは最高だった。
会社の枠組みを超えて一生友達でいられる奴らと出会えた。
すでに会社を辞めた同期も多くなってきたが、彼らを含め週1回はlineが飛ぶ仲だ。
でも仕事が始まると彼らとは離れ離れになった。当然だけども。
そして配属先では、人と人との関係性や組織感は、想像とだいぶ違っていたことに気が付く。
部活のような熱い感じ。
飲み会とか上の命令は絶対とかそういうことではなくて、1つの目標に向けてみんなでひた走る感じ。
これは配属された環境には無かった。
自分だけ空回りしているような感じがした。
だからこそ、存在感のある仕事が出来たのだとは思うけども、早い段階でまたやりたいと思っていた「部活」は4年経ってもできなかった。
「部活」とは、いわばチームで盛り上がって1つの目標にひた走る感じだ。
これは全くなかった。
2019年に着任した気の合わない上司は、家に帰ったら湯豆腐作る話ばかりしているし、責任は部下に擦り付けた。
そして、その上にもっとやばいパワハラ上司が支社長としてやってきた。
もういよいよ辞めなくては。
そう思ったのは、2019年の冬だった。
to be continued...