#SaveOurVoice - 下北沢GARAGE(ライブハウス)「営業再開した時にアップデートされたガレージをお客さんに楽しんで貰いたい」
Speaker : 坪井卓也(下北沢GARAGE)
Interview & Text : 天野光太郎
※このインタビューは2020年5月12日に収録したものです。
※掲載されている写真はコロナウイルス感染拡大以前に撮影したものです。
新型コロナウイルスの影響
ーーライブハウスの自己紹介をお願いします。
下北沢の1番街の細い路地を入ったところにある、下北沢の一番北の方にあるのがガレージ。今年4月で26周年を迎え、様々なアーティストやバンドが出演しています。 他にもDJイベントやトークイベントなど様々なイベントが開催しているボーダレスなライブハウスです。 建物の2階にある開放的な楽屋がサロン的な役割も果たしていて、普段からアーティストやメディアの人など属性問わず色々な人が集まって、繋がる場所になっているのもガレージの大きな特徴です。
ーー現状のガレージの状況を教えてください。
4月の頭から営業は自粛している状況です。4月7日に公式に営業自粛のアナウンスを出しました。 当初は5月6日までの予定だったんですが、緊急事態宣言が5月31日まで延長したこともあって営業自粛期間を延長し、6月1日から営業再開を予定しています。
※営業再開の日程は変更になる可能性があります。
下北沢GARAGE 2階の楽屋部分。開放的な空間になっており、サロン的な役割も果たしている。
現在の営業状況と取り組み
ーー営業自粛中という状況の中どんな取り組みをしていますか?
実は自粛前から始めた取り組みでもあるんですが、無観客状態でのライブをYouTube配信でいくつか始めています。4/28にはGARAGE YouTube チャンネル初の生配信として、ビデオ会議ツールであるZoomを利用して、YouTube上でトークイベントを開催しました。 緊急事態宣言期間に留まらずオンラインのコンテンツは今後も充実させていきたいと思っています。期間中は、無観客での生配信ライブを中心に発信していきます。 お客さんを入れてライブできるようになったら、リアルに加えて配信コンテンツもミックスして動画での収益をアーティストに還元していきたいなと考えています。
下北沢GARAGEのYouTubeチャンネルで配信されている"AD再騰二三夫"を追ったドキュメンタリー&ライブ番組『AD TV THENX season1 # 01 ディレクターズカット版』
ーーライブハウスの経営自体この状況が続くと限界もありますよね?
この状況が続くと厳しいですね・・・クラウドファンディングで支援を募ったのですが、 他のライブハウスをみてると2ヶ月とか結構長い期間を設けてるところも多いと思うんです。ガレージはその期間を短期集中の1ヶ月に狭めました。資金繰りの限界を見越した期間が1ヶ月くらいなので、切迫しているのが現状です。
ーーガレージのクラウドファンディングはリターンが特徴的ですよね。
そうですね。リターンとしてはガレージのロゴTシャツだったりサコッシュやガレージのオリジナルペンシルなどのグッズもありますし、 今後の生配信や制作映像の動画コンテンツを視聴できるチケットなども考えています。一番特徴的なのはガレージの各スタッフがサービスを提供するリターンです。 例えば僕はPAが本業なので支援者がPA体験できるリターンなどです。PAに限らず、ホール業務どれか一つ選んでもらうリターンを用意しています。大橋(ガレージの名物スタッフ)の開催する通称ワイワイ飲み会に参加できる権利だったり、 AD再騰二三夫というアーティストが支援者1人1人のためにワンマンライブを行うリターンだったり、 個々のスタッフの特徴的なコンテンツが多いです。 普段からファンとスタッフの距離感が近いという事も大きいと思います。
リターンの中にガレージの名物イベントのカラオケ大会の出場権があるんですが、あれはガレージならではですね。そのリターンが現状ソールドアウトになってます。イベントとして認知されてる事も実感しましたし、憧れのアーティストと同じステージに立てますからね。クラウドファンディングは数日の間で多くの支援が集まりました。
下北沢GARAGEのクラウドファンディングサイトページ。5月26日現在、1,000人以上から850万円を超える支援が集まっている。5月29日まで支援を受け付けている。
ーー今スタッフはどうしていますか?
基本的には自宅待機です。僕や、数名は配信の案件がある時は出社しています。通常業務自体が無い事もありますが、コロナの感染リスクを被ってまでスタッフやアルバイトの人達に出勤させるわけにもいかないと考えています。
ーーこの状況になって一番必要と感じたものはなんですか?
営業ができなくなると必然的に売り上げが立たなくります。ガレージが入っている建物も借りてるものなので、家賃の支払いができなくなれば立ち退かなくてはなりません。ライブハウスはまず最初に名指しで営業自粛を求められましたし、 場所がなくなれば本当に何もできなくなるので、そこに対する補償と支給までのスピードは必要な事だと思います。 1ヶ月先の家賃が払えないという状況のライブハウスも少なくないはずです。 現状まだ何も補償は支給されていない状況なので、そこのスピード感を国に理解してもらわないとどんどんライブハウスは無くなっていきます。
今後に向けて
ーー今後のガレージの方向性を教えてください。
オンライン配信もはじめているのでGARAGE YouTubeチャンネルのコンテンツの本数やクオリティを充実させつつ、チャンネルの認知度を上げたいです。 また、状況によってはチケット配信サービスを導入するなど、その時々に応じて柔軟にやっていきたいです。現状のライブの配信は定点カメラでの配信ですが、近々カメラを数台増やしてのスイッチング操作配信により、臨場感のあるコンテンツも発信していきます。昨今の時代の流れと共にオンライン配信が普及してきている中、バンドやミュージシャンにとっても、よりメリットのあるコンテンツになれば良いなと思っていますね。
ーーオンラインでの配信は「苦しい現状だけどガレージ元気でやってますよ!」っていうお客さんに対してのメッセージ発信にもなりますよね。
それも大事ですよね。営業再開した時にアップデートされたガレージをお客さんに楽しんで貰いたい。 コロナ問題が収束しても集客がすぐに戻るか分からないし、元の状況に戻るにはもうちょっと先になるかもしれない。 おそらく、コロナ前と全く同じ元の状況にはもう戻らないでしょう。だからこそリアルなライブの場に加えて配信も重要なサービスになっていくと思います。今はしっかり新たなコンテンツを発信する力や技術も向上させて、 お客さんを入れてライブができるようになった際には、オンラインとリアルをうまくミックスして面白いコンテンツを発信していきたいですね。
下北沢GARAGE ホールチーフ(音響・企画制作)の坪井卓也さん
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