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完全日傘男子マニュアル

紫外線から肌を護るために日傘を差す。ごく当たり前のこと。これまで知らないうちに日傘は女性がするものという刷り込みがあって、日傘を差そうとは思いもしなかったのですが、別に男だからって禁止されているわけではないはず。ふと思い立って、日傘を買いました。

暑い日に何度も使ってみましたが、はっきり言って、もう手放せません。なんでもっと早くから導入しなかったのか。とても後悔しています。

日傘を開いて日差しを遮断すると顔周りの快適さは、ぐっと増します。体感温度もガクッと下がります。折りたたみ式のものを常時カバンに忍ばせておけば、突然のゲリラ豪雨にも対応できて、いいことずくめです。

唯一のデメリットとしては、「え、男なのに」的な視線が気になる点ですね。これが気になるタイプの男性には日傘はお勧めできません。やはり現状、メンズで日傘を差す人は少ないので、目立ってしまうのは避けようがないという実感があります。もし人目があまり気にならないタイプなら、メンズ日傘はオススメできます。

しかし、人目が気にならないタイプの男性でも、日傘を差して生きていくには、もうひとつ乗りこえなくてはいけない壁があります。それは同行者からのツッコミです。

「美容へのこだわりは、あくまで個人の趣味で行っていること。日傘をさすと、それを周囲にアピールしているようになってしまうことが、嫌だという思いがあります。男性が、身だしなみを整えたり、美容に気をつけるのは、今や常識。でも、男性の日傘には、まだ賛否があって好奇な視線にさらされる恐れがありますし、日傘をさしていることに対して、いちいち周囲に説明しなければいけないのが面倒臭いんです」(30代男性のコメント。『「日傘男子」に違和感ありますか?』宮崎智之、DIAMOND online 2018年5月30日より引用)

ひとりではなく同行者がいる場合、日傘を差し始めたとたん、彼ら彼女らは必ずツッコミを入れてきます。友人や先輩やパートナーは、やはり正直。僕も毎回ツッコミを浴びてきました。その度に日傘の必要性や自分の価値観など丁寧に説明してきたつもりです。すんなり理解してくれる人や「ふーん」と流してくれる人はいいのですが、中にはどれだけ丁寧に説明をしても、「男らしさ」という曖昧な観点から論破を図ってくる輩が存在します。

「男がそんな細かいこといちいち気にするの?」

みたいな感じですね。まあ無視して粛々とUVカットしていればいいんですが、そんな細かいことを気にするタイプの僕たちは、そんな細かいツッコミも当然気になって仕方ないわけですね。論理的には負けていないのに、なんか負かされた感じになるのは不服です。そもそも彼らに日傘を差せと強要しているわけではありません。個人の自由の範囲内で行動しているだけです。やはりここは、そういった偏見にまみれた輩に最後まで正当性を主張するのが健康的というものではないでしょうか。UVカットしてもストレスゲットしたら本末転倒です。

今回は連中を黙らせる方法をお教えします。どうぞお使いください。

ポイントは、彼らが「男なんだから〜」と感情的な決めつけでゴリ押しようとする非論理的なやり口です。つまり、こちらもロジックを通す必要はありません。同じように雰囲気でゴリ押しすればいいのです。簡単です。「男なんだから〜」をねじ伏せる必勝テンプレ台詞があります。

「男なんだから〜」

「いや、まあ時代っしょ?」

これです。瞬殺です。

もし苦し紛れに「いや、最近の男は〜」などと粘ってきても、そっくりそのまま返しましょう。

「最近というか〜、ま、時代っしょ?」

絶対に勝てます。毒を以て毒を制するとはこの事です。

それでも、なお、「いや、それはさ〜」という風に、ごちゃごちゃ粘ってきたらどうするか。こちらが折れるまで諦めない往生際の悪さに、一体いつまで付き合えばいいのか?面倒ですよね。科学的な判断かつ合理的な行動をとっている僕たち大人が、奴らの子供じみた水掛け論に乗ってあげる必要はありません。うるさく喚かれた時は、全開の日傘を90度直角に倒して相手と自分の間に入れましょう。バリアでガードするような格好です。そして、トドメの一言を言い放つのです。

「はい、UVカット〜」

いま気づきました。どうして連中はいっこうに引き下がろうとせず、そして僕たちも徹底抗戦を決め込むのか。これはメンズ日傘肯定派代表vsメンズ日傘否定派代表の戦い。つまり両陣営の代理戦争なんですね。

この平成最後の夏を終えて、新しい時代を迎えても、僕たち少数派の戦いはまだまだ続くことでしょう。しかし、恐れるに足りません。連中はそのうちゲリラ豪雨ひとつで泣いてコンビニに駆け込み、不要な出費をする羽目になります。そこそこ痛い値段でチープなビニール傘を掴まされた時、どちらが正しかったのか知ることになるでしょう。僕はここに日傘男子党の旗印を掲げます。