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ファッションを捨てられないミニマリストの、デニムを手放した話

これ、めっちゃ似合う。一生着たい。

そう思って購入したデニムを2本手放した。
ANATOMICAの618MARILYNと、orSlowの107である。

トレンドアイテムとして購入したフレアデニムは着用し過ぎて膝が抜けてしまったので、こちらも手放した。

クローゼットに残っているデニムは、スリムストレートとややワイドのホワイトデニムの2本。この2本は毎週のように履いているし、とても気に入っている。

デニムはなんと言っても着回しがしやすい、長持ちするのでミニマルなクローゼットの味方である。
丈夫だし、洗濯しても型崩れしにくいので扱いやすい。

でももしかしたら、今後「デニムを買う」という選択肢が自分の中から消えるかも知れない。

似合う、が変わる

25歳を過ぎた時、チークがないと顔がぼやけるようになった。
28歳を過ぎた時、口紅を手放せなくなった。
30歳を過ぎた時、シャンプーにお金をかけた方が良いことに気が付いた。

25歳の時と比べると、チークの色も、入れる位置も変わった。
「この色、運命のリップだ。一生使いたい」
百貨店のコスメ売り場でそう思って買ったリップも、今は使っていない。似合う口紅のカラーも変わったし、シャンプーも30歳の時に使っていたものではない。

一生使えるモノ、というのは本当に少ない。

「似合う」は、流行や年齢と共に変化するものだからだ。

「なんかこれ、違う」

ANATOMICAの618MARILYNを履いた、ある日。
鏡の前に立って、アウターを羽織る。革靴を履き、鏡の前に立ってみたのだがなんだかしっくりこない。
靴を変え、アウターを変え、靴下の色を変え、トップスも変え、それでもしっくりこなかったのでorSlowの107に履き替えた。

こちらも、「なんか、違う」。

「これ大好き、一生履く」と本気で思っていたデニム2本とも、過去に「このコーデ最高」と思った組み合わせをもってしても「なんか違う」の渦に飲み込まれてしまうのである。

「なんか、違う」。
飽きた、とは異なる違和感である。

今の自分に合うかどうかで判断する

デニムはファッションに欠かせない存在だ。
定番の型を何十年も履き続けている人も実際にいるし、自分もそんな生き方に憧れていた。

特にANATOMICAの618MARILYNは、3年くらいずーっと欲しい欲しいと思い続け、意を決して東日本橋の店舗へ行き、何度も試着をして購入した思い出深いデニムだった。

orSlowはオフィスでも、作業の日でも、休日も共に過ごしてきた歴代最年長のデニムだった。
洗濯を重ねて良い色になっていたし、アタリも「自分のものだ」と思えるような表情をしていた。

これら2本のデニムはおばあちゃんになっても履く。
本気でそう思っていた。そう思っていたはずなのに、履いても全くテンションが上がらない。それどころか、何と合わせても「これ、いい」と思えない。

今現在の自分に、似合っていないのである。

こうなったらもうお手上げである。
どちらのデニムも、今の自分に似合わないのであれば箪笥の肥やしにしかならない。

幸い「一生履く」つもりで着用していたので、状態はとても良かった。
どちらのデニムも、欲しいと思ってくださる人に譲った。

今の自分は、常に変化している

スリムストレートのデニムは、今週も履いた。ホワイトデニムは冬の間も活躍していたし、これからの季節は尚のこと着用する機会が増えそうだ。
どちらのデニムも、春用に新しく買い足したブラウスとも相性が良い。
ただ、絶対にこれがないと困るアイテム、とまでは思わなくなっている。

少し前に、センタープレスの効いたチノパンを購入した。
最近気づいたのだが、デニムよりもこちらの方がしっくりくるのである。

この「しっくりくる」感じこそが、今の自分に似合う服なのだ。
デニムスタイルも好きなのだけれど、チノパンの方が今の自分っぽいな、と思う。

少し前の自分だったら、チノパンは買わなかった。
デニムの方が似合っていたからだ。


「今」の自分に似合う服。
服に限らず「今の自分」に合う・似合うモノは刻一刻と変化し続けている。

いつか手放すその時まで、しっかりそのモノと向き合い続けたいし、好きだと思い続けていたい。
だからこそ、所有するものは厳選した最低限の数だけにしておきたい。


これからも、自分が把握しきれるだけの量のモノと共にミニマルに、シンプルに生活していきたい。


ちなみに過去、松浦弥太郎さんの本を読んでリーバス501が欲しくなって試着をしたことがあるのだが、その時の自分には似合わなかったので購入しなかった。
この時の判断は間違っていなかったと思うが、この先もしかしたら「似合う」時が来るかもしれない。

「似合う」は、刻一刻と変化し続けているのだから。

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聡子
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