誰そ彼のボート
たくさんのボートが
あらゆる未来へ漕ぎ出す
だれのこころの中にも
果てなく広がる大海原
数えきれない程のひとが
それぞれの港から
あての無い道を往く
幾億の季節をめぐり
幾万のボートを紡ぎ
幾千の想いを積み荷とし
己の道標を頼りに
どこまでも遠く
遙か彼方へ
今日の日も
誰そ彼は
空っぽのボートへ
弾けてしまいそうな夢と
柔らかな希望を乗せて
ひかりの射すほうへ旅立つ
よく晴れた春の日
日の出を受けた海原の
水面に映る静寂の輝きは
誰そ彼の道標
揺れる波を幾重にもかき分け
ボートはひたすら
真ん中をまっすぐに進んでゆく
今はもう、地平線の向こうへ
ひかりの道の先へと
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