先生との再会
今年の9月下旬。
中学時代に大変お世話になった先生に再会する事になった。
先生のご自宅にお邪魔して再会した。
ただし、先生は亡くなっていたのだが。
先生は、中学校の時に通っていた塾の先生。
ただ、濃密な塾であり先生は友達のようでもあり勉強の合間にいろんなところに
連れていってくれたり、近くのお店に連れていってご飯を食べさせてくれたりと
兄貴のような存在であった。
わたしが進路で迷った時、学校の先生は反対したけど、この先生だけは肯定してくれた。
中学校を卒業して高校生になり、何度か会いに行ったと思う。
先生は何も変わらずに、先生だった。
段々とわたしは先生のことを忘れていった。
もう中学生ではなくなったわたしは、先生のことは少しも思い出さずに
仕事をし、人生の様々な選択をし、目の前の生活に追われる日々を送っていた。
そんな中で、今年の2月。友人から一通のラインが届く。
先生の訃報を知らせるものだった。
頭が真っ白になった。
先生の顔、先生が毎回送ってくれた車の匂い、一緒に食べた喫茶店のご飯。
最後、わたしを見送ってくれた時の先生の姿。
もういない。
もう連絡先もわからないよ。ごめんね。会いたかったよ。忘れちゃってごめん。
感情がぐちゃぐちゃになった。
しばらくして、わたしは一つのインスタグラムを見つける事になる。
本当にたまたま見つけたインスタ。
わたしの住む街の風景が綺麗な写真の数々と、シンプルなコメントがついただけのものだった。
なんとなく見ていると、これ、先生のインスタグラムではないか?と気が付く。
絶対そうだ。と確信を持つ。
一緒にいたからわかる。これは先生のインスタだ。
ある4月の投稿には綺麗な桜の写真。
「この後、風が強かったのが気がかり。」
とだけ記載されていた。
涙が溢れ、止まらなかった。
その写真と、その文章が、先生そのものだったからだ。
いつも私たち教え子のことを心配してくれていた。
教師と生徒というよりは、歳の離れた兄のようだった。
親には言えない話や、悩み、思春期特有の気持ちの揺れ、
ちょっとしたことで大笑い、好きになった男の子の話。
好きな音楽の話、将来の夢。
いつも私たちに吹く風から先生は守ってくれた。
そして、風から身を守る術を教えてくれた一番身近な「ちゃんとした」大人だった。
もう、フォローバックは来ないけど
今更遅いんだけど、
先生のインスタをフォローした。
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