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Punk of meー私の音楽遍歴 69

数年前からたまに足を運んでいるレコード屋がある。多分だけど店主が完全に趣味(道楽)でやっているようなマニアックな店。看板すら出ていない(部屋のドアには店名のプレートが貼ってあるが、外からは見えない)。その店、首都圏のロック好きなら知ってる人も多いと思うけど、遠方からマニアも来るそうだ。

店内は音楽オタクの部屋(失礼!)みたいで所狭しとレコードやCD、本が積み重なっていて人がすれ違うのも大変なくらい。どこに何があるか店主しか分からないと思う。いや、店主も分かるのかな?って。

で、お客がどんなものを好むのかよく覚えていてくれて、行く度に私の好きそうなCDやら本やらを用意してくれている(もちろん要らないなら断っても全然問題なし)。いったいどこから仕入れているのだろうかという変な(褒めてる)ものまで。いつぞやに好奇心から訊いてみたのよ、好きじゃないものでも商売上、仕入れているんですかって。そしたら、お客さんにこんなのを探してると言われた場合を除いて、自分が好きなものしか仕入れていないって。そうだよねぇ。訊くだけ野暮だった。うん、いいよね。そういうのって。いいなぁ、好きな店が出来るのって。めちゃ楽しいだろうなぁ。

わたくし、何度か話しているようにいつか自分の好きな曲だけをかけるバーをやりたいんだけども、夢が叶って開店することになればお客さんに「あれはないの?かけないの?」って頼まれたらどうしようかな、ってのは悩みどころなんだよね。
私は、というか音楽好きの多くがそうだと勝手に思っているけれど、好き~嫌いではない(熱心なファンじゃないけど「いいね」って感じ)~苦手~勘弁してというもの(ジャンルだったり、アーティストだったり、曲だったり……)があると思う。「好き」「嫌いではない」なものは店でもちろんかけるけど「苦手」「勘弁して」なものはどうなのかなって。

わたくし、70年代パンクと80年代初頭までのパワーポップ、ポストパンクが特に大好きなんだけども、その他、ロック以外のジャンルならばクラシック、フレンチポップ、シャンソン、ファド、フォーク、民族音楽、昭和歌謡…..etcにも大好きな曲がある。しかし、音楽の店なのにコンセプトがぶれてるのって個人的にはどうかと思うのよね。自分はオールジャンル好きですよ、うちはオールジャンルですよ、って謳っててもたとえば「クラシックは門外漢なんです」「あ~、ちょっとそういうのはやってないですね~」なんて店もあるからね。オールジャンル謳うくせにそんな風にあれこれいうなら自分の趣味丸出しでいいと思うし、道楽じゃなくて生活のためにやるなら趣味の店なんてこのご時世、かなり厳しいんでないの?

けどね。魅力的な店なら遠方からでもお客は来るし繁盛してるんだよね。口コミでも広がるし立地がちょっとアレでも、行きたいって人は行くもん。
私が知ってる、ちゃんと経営が成り立ってる個人経営の店って店員は無駄口は一切叩かないけど話し掛ければちゃんと答えてくれるし気さく。ただ酒を飲みたいだけ、レコードを買いたいだけ、雰囲気を愉しみたいだけ…etcなのにあれこれと店員に話し掛けられるのは嫌って人は少なくないと思うんだよね。私が店をやるなら、内輪でわちゃわちゃ盛り上がっているような店にはしたくない。他のお客さんが入りづらいだろうし、第一そういう馴れ合いは私が好きじゃない。私自身、前からちょっと行ってみたいなと思ってるけどなんか入りづらくて行ってない店やイベントがある。入りづらい理由は内輪で盛り上がってそうなのがSNSの投稿(店/客/出演者の)からダダ洩れしてるから。

ヘッダー画像は年に数回行くジャズ喫茶。食事も美味しいし雰囲気もいい。わたくし、ジャズはまるで門外漢なんだけども、それでもいい店だなって思うのはちゃんと理由があるからなんだよね。居心地がいいから。それに尽きる。