論文を書くときに必要になるのが英文校正で、昔はEditageとかEnagoとかの英文構成業者を使っていた人も少なくないと思います。自分で校正できたらよいのですが、どうしてもNativeのようなうまい表現を求めると外部に頼りたくなってしまいます。 最近ではAIによるEditing toolが出てきていて、これを利用すれば業者よりも安価にかつ望み通りの校正ができるかもしれないと思いました。昔はGrammerly一択だったのですが、色々なツールがでてきてどれを使ったらいいのか迷ってしまします。
そこでここでは、代表的なWordのアドインを提供しているAI校正ツールを使った評価をしていきたいと思います。
元文章 評価をするにあたって校正してもらう元文章が必要です。これをCopilotに適当に作成してもらいました。
π-Conjugated molecules are the cornerstone of organic electronics, providing a versatile platform for the exploration of charge transport, light emission, and energy conversion. These molecules, characterized by alternating single and double bonds, create a delocalized system of π-electrons across their framework, allowing for unique electronic properties. The study of π-conjugated systems has not only deepened our understanding of fundamental photophysics but also spurred the development of novel applications ranging from organic light-emitting diodes (OLEDs) to photovoltaic cells. This paper aims to delve into the recent advancements in the synthesis and application of π-conjugated molecules, highlighting the challenges and opportunities that lie ahead in this fascinating field of research.
これを元に校正をしてもらって個人的な感想を伝えたいと思います。この文章ではすでに"cornerstone"とか"spurred", "delve into"とかあまり日本人が使いそうにない(個人的に)単語が使われています。
Writefull 最初に選んだのはDigital Science社(本社:イギリス)の校正AI、Writefullです。このWritefullには最近GPT detectorなる機能が搭載されたので、これを使ってまずoriginal文章を評価してもらいます。
GPT detectorによる評価結果 この結果、13% となりました😁。元の文章はmicrosoft copilot(ChatGPT-4)で作成した文章なので、このツールの信頼性は割と低い気がします^^;
Check document Wordのアドインを使って文法checkをしてもらいました。無料版を使ったので、結果は2箇所のみの表示です。後述のPaperpalは150 word/日の制限なので、サービス的には劣る印象です。
WritefullのCheck Paraphraseによる結果 まず気づくのがイギリス英語に変えている ところです。設定で変えられるのかな?Defaultがこれだとアメリカ英語の論文誌に投稿するのには少々面倒です。 次に最初に指摘した"delve into"が"explore"に変えられています。まだ一般的な単語になったので、これは良いと思います。少しニュアンスが違いますが、これは個人の感覚でAcceptすればよいでしょう。
Paraphraser Writefullにはよりよい英語文章の提案のため、widgetツールとしてParaphraserが備わっています。Wordのアドインを使って立ち上げるとWebのwindowが立ち上がるのでアドイン(?)としては微妙です。
Paraphraserによる結果 文章を入れて設定"high"でやってみました。3つ提案があります。symbolフォントは読み取ってくれませんでしたね。元の文章と対比してくれるのは後述のPaperpalと違っています。ただちょっと見づらい。。。
内容としては、専門用語である"conjugate"を変更しているのは問題外として、cornerstoneは複数形か単数形かの訂正、delve intoはいずれも訂正されています。"examine"は少しニュアンスが変わってくる印象です。
spur the developmentも変えられています。stimulateに変えるのは微妙ですね。promptはいいような気がします。
全体的に見て、どれか一つを選ぶのではなくて取捨選択して表現を組み合わせるといった使い方がよさそうです。ただ、化学的な論文の表現にはあまりそぐわないかな 、という印象でした。
Academizer アドインにはないのですが、web版にはAcademizerなるものが新機能として紹介されています。英語をAcademic寄りの文章に校正してくれる機能です。これを使ってみます。
Academizerによる結果。上が元文章 2024年5月現在、一文章分しか入れられなかったので最後の文章のみを検証してみました。"aim"をつかわずbe動詞にした以外は変更なしです。どちらでもいいような気がします。相変わらずsymbolフォントは苦手 のようです。
アドイン アドインは軽い です。ただ、web版の機能をfullに使えるのではなく校正チェックのみ行えるという印象です。フリー版は機能制限があり、全体を見るためにはweb版を使わないといけない 、というなんともお粗末な出来、と個人的には思いました。これからの改善に期待ですね。
Paperpal カクタスコミュニケーション(本社:インド)による校正ツールです。web上では割と評価が高い印象があります。アドインは完成度が高く、色々な機能が備わっています。
Paraphrase Wordのアドインを使ってParaphraseしてみました。
Pi-conjugated molecules are essential in the field of organic electronics, as they offer a versatile platform for investigating charge transport, light emission, and energy conversion. These molecules, which have alternating single and double bonds, form a delocalized system of pi-electrons across their structure , enabling unique electronic properties. Research into pi-conjugated systems has not only deepened our knowledge of fundamental photophysics but has also led to the development of new applications, including organic light-emitting diodes (OLEDs) and photovoltaic cells. This paper aims to explore the recent advancements in the synthesis and application of pi-conjugated molecules, while also discussing the challenges and opportunities that exist in this field.
Paperpalのアドインを用いたParaphraseによる変更 ちなみに元文章は
π-Conjugated molecules are the cornerstone of organic electronics, providing a versatile platform for the exploration of charge transport, light emission, and energy conversion. These molecules, characterized by alternating single and double bonds, create a delocalized system of π-electrons across their framework, allowing for unique electronic properties. The study of π-conjugated systems has not only deepened our understanding of fundamental photophysics but also spurred the development of novel applications ranging from organic light-emitting diodes (OLEDs) to photovoltaic cells. This paper aims to delve into the recent advancements in the synthesis and application of π-conjugated molecules, highlighting the challenges and opportunities that lie ahead in this fascinating field of research.
元文章 全体的に大きく変更しています。気になっていた"cornerstone"はよりよく見る表現に置き換わりました。Paperpalでは変更箇所をhighlightさせてくれないので、太字で変更箇所をわかりやすくしています。他の部分では、"spurred"が"led"になったり、"allowing"が"enabling"になったりしています。これはニュアンスが変わりますので意図した方を使えばよいかと思います。全体的な印象としては、奇をてらった単語をよく論文で使用される言い方に置き換えている ので、分かりやすい感じにはなっているというところです。よりNativeに近いこなれた言い回しを望んでいる人には物足りない でしょうか。
Edit PaperpalのEditing機能はアドインを立ち上げた瞬間に現在表示されているWord文章をチェックしてしまいます 。無料版は単語制限があるのでこれはちょっとイタい機能です。 アドインでは、phraseごとに修正候補を出してくれます。
Paperpalによる文章校正の結果 選ぶと修正の候補を表示して、修正箇所の文章をhighlightしてくれます。この機能はいいのですが、長めの文章の校正をすると割と重くなります。。。
修正内容は複数形、時制などがメインなので基本的にはOKかな、と思います。重いだけが難点 ですね。。。
Make Academic Pi-conjugated molecules are of paramount importance in the field of organic electronics, as they offer a versatile platform for the exploration of various phenomena, such as charge transport, light emission, and energy conversion. These molecules, characterized by alternating single and double bonds, create a delocalized system of pi-electrons across their framework, which endows them with unique electronic properties. The investigation of pi-conjugated systems has not only enriched our understanding of fundamental photophysics but has also catalyzed the development of novel applications, ranging from organic light-emitting diodes (OLEDs) to photovoltaic cells. This paper seeks to provide an in-depth examination of the recent advancements in the synthesis and application of pi-conjugated molecules, while also highlighting the challenges and opportunities that lie ahead in this captivating field of research.
PaperpalのMake Academic機能による変更 PaperpalにもMake Academic機能が備わっていて、アドインからも利用できます。無料版の機能制限は回数制限で、一日5回までです。Writefullと違って長めの文章でも可 。
Paperpalではsymbolフォントはちゃんと認識してくれる ようです。この機能では"cornerstone"が"paramount importance"になったり、"allowing"が"which endows"になったりしています。よりこなれた言い回しになっている と、個人的には思いました。割と使えそうです。
他の機能 Paperpalには"Abstract"機能と"Summary"機能があります。文章全体からAbstractとSummaryを作ってくれる機能で、論文書きには便利です。これで一発目の初稿を書いておいて、書き足したり修正したりすると使い勝手が良さそうですが、使ってみた感じでは割と重要な部分が抜けたりするので、そこは留意した方がよさそうです。
PaperPalは校正機能はよさそうですが、全体的に重い! のが欠点です。web版でもいちいち機能の読み込みがかかったりするので、長めの文章の校正を行う場合は注意が必要でしょう。
Chat GPT4 (Microsoft Copilot) Promptを使ったProofreading 下記promptを参考にGPT-4に投げてみました。versionは3.6です。
π-Conjugated molecules serve as a fundamental component in the realm of organic electronics, providing a robust platform for investigating charge transport, luminescence, and energy conversion phenomena. Characterized by a sequence of alternating single and double bonds, these molecules facilitate a distributed network of π-electrons throughout their architecture, endowing them with distinctive electronic attributes. The exploration of π-conjugated systems has not only expanded the comprehension of core photophysical principles but has also catalyzed the emergence of innovative technologies, from organic light-emitting diodes to solar energy cells. This manuscript seeks to examine the latest breakthroughs in the synthesis and utilization of π-conjugated molecules, underscoring the hurdles and prospects present in this intriguing domain of study.
Revision for Academic Journalに記載された回答 大分英語が変わっています。"realm"とか"prospect"とか、こなれた人が使うような単語が並んでいる 印象です。ただ、大分意味合いが変わっているところがあります ので、そのまま使うのは注意が必要でしょう。例えば、"endowing them with distinctive electronic attributes."のところは普段僕らが使うような感じではありませんし、意味が違います。
Chat-GPT4はセキュリティーの不安 があるところが欠点ですね。有償版を購入するか、機関で契約をしている場合は使いやすいと思いますが、注意が必要ですね。
ちなみにWritefullのGPT detectorのスコアは1% でした😁
DeepL Write 番外編でDeepL Writeを載せておきます。これは、Paraphraseする機能はないので、校正だけの比較になります。
π-conjugated molecules are the cornerstone of organic electronics, providing a versatile platform for the study of charge transport, light emission, and energy conversion. These molecules, characterized by alternating single and double bonds, create a delocalized system of π-electrons throughout their backbone, allowing for unique electronic properties. The study of π-conjugated systems has not only deepened our understanding of fundamental photophysics, but also spurred the development of novel applications ranging from organic light-emitting diodes (OLEDs) to photovoltaic cells. This article aims to review recent advances in the synthesis and application of π-conjugated molecules, highlighting the challenges and opportunities that lie ahead in this fascinating field of research.
あまり変わっていませんが、"delve into"を"Review"にしてくれたり、微妙に変えてくれています。個人の好みによるところがあるので、適宜取捨選択して使うとよいでしょう。
ここまで4つツールを紹介しましたが、個人的にはPaperpalからDeepL Writeに投げる使い方が良いかな、と思っています。