国家危機 裏で行われる首相官邸の対応とは?
国民に甚大な被害を与えた、または与える可能性のある事案が発生した場合に行われる首相官邸の行動です。
①緊急事態の情報を「内閣情報集約センター」が集める
首相官邸の地下には「内閣情報収集センター」という場所があり、24時間365日以上が起こっていないか常に注意を張っています。
そこが「ヤバい異常が発生した」と判断した場合、各省庁から気象庁や119番、110番の電話が取れるのかなどの情報を集めます。
そしてそのことを内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣危機管理監、官邸危機管理センターに報告します。
②情報を受け取った内閣危機管理監がトップとなって、「鑑定危機管理センター」の会議室に関係省庁局長ら(緊急参集チーム)を集め、指示を出す。
(全国で震度6強、東京23区で震度5強の地震が発生した場合は、わざわざ招集命令はださなくても、自動的に集まるようになっています。)
緊急参集チームはレギュラーが警察庁、消防庁、防衛相、海上保安庁。
他は緊急事態の種類に応じてメンバーを選定します。
・自然災害→警察、消防、自衛隊、海上保安庁、国土交通省、気象庁、厚生労働省
・インフルエンザ→厚生労働省。入管庁、外務省、警察、消防、自衛隊
・原子力災害→原子力規制庁、警察、消防、自衛隊、厚労省、国交省
・ハイジャック→国交省、警察、自衛隊、外務省、消防
・武力攻撃事態→自衛隊、外務省、警察、消防、国交省、海上保安庁、厚労省などすべての省庁
ここで、それぞれの省庁からそれぞれの情報提供が行われ、政府として情報の共有や事態の把握が迅速に行われます。
③「官邸対策室」か「官邸連絡室」か「官邸情報室」を設置
緊急事態のレベルに応じて設置されるものを分けるようになっています。
〇高レベル(もっとも緊急度、重大度の高い事態)
→「官邸対策室」の設置
・室長:内閣危機管理監
・すること:政府が最初にどう動くかを決めるための情報集約、関係省庁との連絡を行い、どのような体制で対応するのか、基本的にどういう方向性で対処するのかを決めます。それに加えて総理らへの報告もします。
・メンバー:各省庁の局長クラスの幹部(緊急参集チーム)
・進行:政府対策本部ができるまでは、内閣危機管理監がトップで政府の初めの対策を支持します
〇中レベル(官邸対策室設置に至らない事案、まだ至っていない事案)
→「内閣連絡室」の設置
・室長:内閣危機管理審議官
・すること:政府が最初にどう動くかを決めるための情報集約、関係省庁との連絡を行い、総理らへの報告を行います。
・メンバー:事態に応じて関係省庁の課長クラスの幹部を招集
〇低レベル(官邸連絡室設置までに至らない事案)
→「情報連絡室」の設置
・室長:内閣参事官
・すること:事案の情報収集、総理らへの報告をします
・メンバー:各省庁からは通常、職員の派遣は求めません
④政府の基本方針の決定をしていく
緊急時には全部の方針は決定できないため、事前に作っておく必要があります。
〇具体的な方針
・緊急事態の被害はどうなのか。これからどうなりそうか
・緊急事態に対して政府はどういう方針を取るのか
・公共機関などの公的機関の活動内容と今後の活動内容はどうなるのか
・国民へのお願い、注意点
・国民への情報提供の考え方(事態の動きをどう公表するか)
・講義など、外国政府に対する我が国の対処の考え方
⑤官房長官による記者会見
決定した政府の再作基本方針を基に、国民をできるだけ安心されるため、不確実な情報は出さずに、できるだけ確実な情報を発表する。
⑥政府対策本部の設置
本部ですることは具体的に書かれていなかったので、事前準備の方を書きます。
〇本部の優先場所
事前に、対策本部が使えなくなった場合の優先順位を決めています。
①首相官邸
②合同庁舎8号館
③市ヶ谷の防衛相
④立川の広域防災基地←『シン・ゴジラ』後半での本部の場所
〇本部の備えのチェックリスト
・それなりの施設になっているのか
・100人単位の要員を受け入れるだけの施設設備はあるのか
・水や食料などの備蓄、パソコン、非常用電源はちゃんとあるのか
・閣僚と官僚などの要員が集まる手段は事前に用意されているのか
・各省庁の各々の体制はどこでどう組むのか決まっているのか
・全員全体でする訓練はしっかりしてきたか
参考書籍『シン・ゴジラが語る 我が国の危機管理』大庭 誠司