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2024/07/06 保冷剤を抱えて図書館に行く

急に、暑くなってしまった。

朝九時には最寄りの図書館が開いているのに、なかなか外出できなかった。

実際に図書館へ行けたのは、十一時半だった。

気温はもう、三十一度になっていた。

冷凍庫から保冷剤を取り出し、フェイスタオルをぐるぐると巻きつけてから、左側の脇の下に挟んだ。

保冷剤の大きさは、ちょうど文庫本くらいのもので、三十分から一時間くらいの外出ならば、ちょうどいい大きさだった。

予約していた本が最寄りの図書館に届いていた。ゆっくり歩いて、約十五分くらいの道のりだった。

曇りなのに、かなり暑いと感じた。

高架下の道は、直射日光が当たらない場所にあるのに、それほど涼しくはなかった。

暑いときにはゆっくり歩くと良いと、雑誌の記事で読んだことがあった。それにならって、意識してゆっくりと歩いてみた。

早足で歩くと体温がぐんぐん上がってしまうのに、ゆっくりと歩くとそこまで急には体温が上がらないようだった。

左の脇の下にはさんだ保冷剤のひんやり感に助けられて十五分ほど歩くと、無事に図書館に着いた。

図書館は、冷房が効いていた。しばらく書棚を見て回って、体を冷やした。

借りてみたい本が何冊かあったけれど、予約していた本が四冊あるので、書棚から本を取り出してぱらぱらと中身を確認して、すぐにまた元通り書棚に戻した。

入り口から書棚に沿って歩いて奥へと進んでゆくと、高架の上を急行の電車が走って行くのが見えた。

今日は土曜日だから、あまり混んでいなかった。乗客はほとんど座席に座っていた。ところどころ、立っている人がいるのが見えた。

窓ガラスが青く見えて、まるで水槽の中に人が座っているようだった。

電車を見送ってから、財布から図書館カードを取り出して、カウンターに行った。

年配の司書さんが、四冊の本を予約取り置き分の書棚から取り出し、貸し出し手続きをしてくれた。

司書さんにお礼を伝えて、本を受け取り、持参した黒いトートバッグに本を入れた。

カウンターの右横には、幅六十センチくらいの小さな机があった。

メモ用紙と、削ってある鉛筆が三本と、丸くなった消しゴムが一個、机には用意されていた。

鉛筆は、小学生が学校に持ってゆくような、可愛い模様が全体に印刷されたものだった。

鉛筆の硬さが気になって、取り上げて見てみたら、一本だけしか硬さの表示がなかった。

HBだった。

そういえば、自分が小学生のときも、HBの硬さが標準だったなぁ、と思い出した。

自分は筆圧が弱かったので、HBでは文字が薄くなってしまって、2Bを使うようになったことも思い出した。

なにかきっかけがあると、案外、昔のことを細かく思い出せるんだな、と思った。

帰りに、サルスベリの花が咲いていたので写真を撮った。

木の枝が大空に向かって伸びている写真は、希望を感じられていいな、と思った。



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