とける

雫滴る海の中
立ち上りゆく湯煙に
仄かに漂う桜の香

からだがとける
わたしがとける
日に焼けた肌が
まっくろな髪の毛が
赤い唇が
ふやけて とけて きえてゆく

これは痛みではない
これは哀しみではない
これは きっと——

染み入る熱に抗うことなく
やがてわたしは海にとけて
混ざり合うのだ

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