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援農ボランティアと相性がいい農家さんとは
個人的に7年、援農おやつ部という団体では2年、援農ボランティアにあちこち出向いた結果から、「援農ボランティアと相性がいい農家さん」の傾向をまとめてみたいと思います。
農家さんのコミュ力が高いとか、農園のオリジナルの魅力とか、そういう細かい話ではなくて、もっと「前提」のような話になります!
(もちろん、何回もリピートしたくなる農家さんというのもあるので、細か〜いところもまた別回で語れたらいいのかな、などと)
1、有機農家・自然栽培(自然農法)など、環境に配慮した農法であること。
これは最も大きい部分です。
農法自体にこだわりはないですが、なんらか「環境に配慮している」というのがツボになり、この点が援農と相性が良いというのはいくつかの理由があります!
まず、有機や自然栽培だと、農薬を使わないので必然的に手作業が多くなります。慣行栽培なら除草剤を使うところ、人手でちまちまと草取りする、など。
ザックリした物言いですが、有機や自然栽培の方が、純粋に人の手が要るのです。そこにボランティアの手がうまく乗っかっている図です。
また、援農ボランティアに来る人は、興味の動機として「自分でも自家用に野菜を育ててみたい」という人が多いです。家庭菜園は無農薬でやりたい人が多いですから、行きたいと思う農家さんもお手本になるような農家さんを選ぶのは自然な事だと思います。
無農薬栽培は前提として「土づくりが大事」という共通概念があるので、その農家さんがどういう土づくりをしているか、というところはもちろん、さらに野菜が病気や生育不良になどトラブルになったときの相談もできたりして、幅広く勉強になるのです。
さらに、個人的な感覚では、微生物の多様性を許容している農家さんはダンゼンに畑にいて気持ちが良いし、農作業後の体の状態がいいです。豊かな土は、健康と直結していると感じ…せっせと働いてむしろ来る前より元気になる、ことも凄くよくあります。なので体が自然と、そういう畑に行きたくなっちゃう〜〜という事は本音としてあります…。みなさまいかがでしょうか。
2、全てでは無いにしても、自分の手で生産物を売っていること。
自分の手で売るとは、顔の見える直売所やファーマーズマーケットへの出店、ECサイトでの販売、野菜セットの配送や配達などなど。
これは結構大事で、農協などを介さずに自分の手で売りたい農家さんは、一般論として品質に特にこだわり、厳しい競争の中でお客を掴むために、自分の商品はなにが売りなのか、差別化や価値付けも真剣に考えていらっしゃいます。
その真剣さに、援農ボランティアもそこでは「客として」引き込まれるのです。農産物も美味しい(これちょっと必要条件ですが)、農家さんの人柄も直接会ってよくわかるとなれば、自然と応援したくなることはとても多いです!(農家さんにとっては、援農ボランティアは「労働力」だけでなく「顧客になる」というメリットは重々考えてもらっていいと思います!)
3、HPやブログ、SNSなどで発信していること
これは2の「自分の手で生産物を売っていること」とセットになると思います。直販するためには、SNSなどのネットのツールが欠かせないからです。
すでに書いたように、援農ボランティアは「=顧客」であり、ファンの度合いが高いほど応援したくなるもの。そこにはHPやSNSなどのインターネットの力が大きく寄与しています。
生産者さんが顔を出していたり、農業に対する姿勢や、日々の発信で、信頼感や親近感を感じて、会いに行きたいな〜と思うのが流れとして多いと思います。
逆に言うと、まったく発信していなかったら、「どんな農家さんなんだろう…」という心理的なベールに包まれ、援農までは踏み込めないのではないでしょうか。(逆に農家さんも、顔がわからない人が手伝いに来るのも緊張すると思いますが…)
推察、ワンオペまたは少人数で切り盛りしていること
パートさんがたくさんいるところ、1〜2名いるところ、複数人で家族経営されているところ、全く雇っていないところ、とありますが、パートさんの存在があるかないかでも農園や作業の雰囲気が変わってきます。
パートさんがいればそれはそれで、にぎやかで楽しいことも多くて、農家さんもある程度の規模で余裕があり、たくさん作付けしている分帰りにお野菜たくさんもらえたり等、楽しいことや嬉しいことがたくさんあります。
ただボランティアを募集している農家さん、人が少ないところも多いです。単純に、ワンオペに近いほど、ボランティアで入る労働力の価値は上がり、手伝う側もやりがいを感じます(笑)
人の役に立てたと実感できることって、やったらわかりますが、満たされます。
マズローの欲求五段階説の上位に位置する、社会的欲求ですもんね…。
また、時期にもよりますが農園主の方と一緒に作業することも多くなり、直に話せる時間が長いことも多いですね。距離感の近さも、ボランティアにとっては魅力です。プライベートなこともあれこれ話して仲良くなりがち^^
そして、ワンオペ農家さんに多いのが、新規就農者!これも切り離せません!
とにかくスタートアップなので、まだ人も雇ってなかったり、まだ資金がないため機械化されてない(ので手作業でやらねばならない)とかで、人の手が足りないよ〜という部分は多いと思います。そこに、ボランティアって合うなあと思うのですが。
新規就農者さん、農業が軌道に乗るまでの最初の数年ってほんと大変ですよね。特に有機や自然栽培で、売るのも自分でとなると、新しい土地で研修の通りに作物が育つ…というわけでもなく、育てるのも試行錯誤しながら、売るのも販路から開拓していく必要があり、とにかくハード。
ボランティアは、そんな苦労や成長を間近で支えたり、身内のように応援できる存在になれたりします…。
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ということで、援農ボランティアと相性がよい農家さんの傾向3つ+αを挙げましたが、親和性が高い理由、なんとなく伝わったでしょうか?
お読みいただいて、ありがとうございました!