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#6 正門通りの並木道
みなさん、こんにちは!
7月に入り、キャンパス内のみどりも濃く、力強くなってきましたね。一方、梅雨前線の影響による各地の甚大な大雨被害に心を痛めている方も多いと思います。札幌もすっきりしない天気が続いています。これが「えぞ梅雨」と呼ばれるものでしょうか。
雨が降るとよく見かけるのは
この時期、雨が降るとよく見かける生き物。それはカタツムリです。
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雨で地面が濡れると、アスファルト舗装の道に多数出てくるカタツムリたち。大学の森では、数歩歩くごとに、ここにも!そこにも!といった具合で出会えます。気を付けて歩かないと、踏みつけてしまいそう…。
朝まで雨が降った7月のある日、この日は散策路上で20~30匹程のカタツムリを見かけました。カタツムリといっても、いろいろな種類があるようです。図鑑や資料の見分け方を参考によくよく観察してみたところ、殻の色が濃いもの・薄いもの、殻にうずまきの帯が入っているもの・入っていないものなどがいましたが、この日見かけたカタツムリはどれも「エゾマイマイ」のようでした。
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札幌には、「サッポロマイマイ」という樹上で生活するカタツムリも分布するそうです。札幌大学の森にもサッポロマイマイはいるのでしょうか…?
この時期は、蚊などの虫が多く発生することもあります。長袖・長ズボン、虫よけスプレーも忘れずに、また探しに行ってみたいと思います。
正門通りの並木道
7月、正門通りの並木道の樹木は、薄黄色の小さな花をたくさん付けました。辺りにはほのかな花の香りがふんわり漂います。
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花をつけているのは、シナノキとオオバボダイジュの木です。両種ともアオイ科シナノキ属に属する近縁種。総称してリンデンといい、札大では、学食や売店がある「リンデンホール」や、このWEB広報誌「リンデン通信」の名前の由来となっていますね。
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この並木道については、1998年に発行された札幌大学30年史に記載があり、シナノキとオオバボダイジュ、加えてナナカマドが、開学初期に植栽されたことが伺えます。
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札幌大学の開学は、今から56年前の昭和42年(1967年)、短期大学部の開学はその翌年です。現在ナナカマドはなく、並木道の一部に八重桜が植えられていますが、シナノキとオオバボダイジュは今も健在で大きく育ち、緑豊かな札大キャンパスを象徴する並木道となっています。
正門から続くこの並木道は、札大の風景として知らず知らずのうちに札大生のみなさんの記憶に深く刻まれていることでしょう。これからも札大生の成長を温かく見守ってほしいものです。
前回の答え合わせ
最後に前回#5の答え合わせです!
そうです、大学の森で、シダの横に「にょきっと生えていた変わった模様の細長いもの」です。
あれは、「マムシグサ」という植物です。
下の方の茎に見える部分は偽茎といい、この変わった模様がマムシに似ていることから、こう呼ばれます。
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シダの横にあったものはシダの葉に隠れてしまったので、別の株の写真です。
高さは30~80cmほど。大学の森では、4月の終わり頃、地面から細長い竹の子のような姿で多数現れ、一気に背丈をのばし、5月中旬から下旬にかけて花をつけました。花本体は中の細長い棒状の部分で、外側を仏炎苞と呼ばれる苞葉が包んでいます。
偽茎の模様も特徴的ですが、花の形も特徴的。さらに、その後に付ける実も特徴的なので、また紹介したいと思います。
さて、お盆を過ぎれば、秋の気配がやってきます。暑さ対策をしっかりしつつ、短い夏を楽しみましょう!
※「大学の森」は自然林です。散策の際には次の点に注意しましょう。
マダニ、ハチ、ウルシ等の動植物に注意してください。マダニに咬まれないよう、長袖・長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用するなど、肌の露出を少なくしましょう。
頭上からの落枝に気を付けてください。風の強い日は特に注意しましょう。
安全と植生保護のため、散策路以外の場所にむやみに立ち入らないようにしましょう。
※参考文献
「原色日本陸産貝類図鑑 増補改訂版」東正雄(保育社 1995)
「札幌市博物館活動センター情報誌 ミューズ・レター No.31」札幌市博物館活動センター(2007)
「札幌大学30年史 : 1967-1997」札幌大学30年史編纂委員会(札幌大学1998)
「山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花②」茂木透・太田和夫・勝山輝男・高橋秀男ほか(山と渓谷社 2000)
「山渓ハンディ図鑑14 樹木の葉」林 将之(山と渓谷社 2022)
「新北海道の花」梅沢俊(北海道大学図書刊行会 2007)
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「うろうろてくてく、サツダイしぜん散歩」は、札幌大学のWEB版広報誌「リンデン通信」のマガジンの一つで、2カ月に一回の頻度で更新します。
キャンパス内で撮影した季節の写真とともに、私たちの周りにある身近な自然をご紹介しています。