野鳥撮影用レンズ・SEL200600Gを使った感想・推す理由
こんにちは、フォトグラファーのSATです。
この番組では皆様の写真ライフが楽しくなるような話題を取り上げています。
今回はSONY純正の600mmズームレンズ『SEL200600G』について、実際に野鳥撮影に使ってみた感想をお話したいと思います。
SEL200600Gレンズは、今のところ野鳥撮影用としてSONYで一番人気のレンズです。僕も「SONYのαにつける野鳥レンズは何がいいの?」と相談されれば、まっさきにこの純正600mmズームをオススメします。
今日は僕が「なぜ、SEL200600Gを勧めるのか?」と「実際に使ってみた感想」をお話したいと思います。
ちなみに僕が現在愛用の野鳥レンズはSONY純正の600F4です。
ではさっそく。
結論
はじめに結論を申し上げると
僕がSEL200600Gを野鳥レンズとして推す理由はずばりコスパが良いからです。
そして、使ってみた感想は「今のところベストバランスな野鳥レンズ」です。
まあ、もちろん欠点もありますが、その辺も含めて詳しくお話していきましょう。
SEL200600Gを野鳥撮影に推す理由
最初にSEL200600Gレンズを推す理由をざっと列挙すると
1.焦点距離が600mm
2.必要十分な解像力
3.純正レンズの安心感
4.600mmレンズとしては軽量コンパクト
ということで、詳しくご説明していきたいと思います。
1.焦点距離が600mm
これは、単純に小鳥を撮影するのに必要な焦点距離が600mmだからです。
もちろん、短いレンズ、例えば、300mmや400mmで撮影できないことはないのですが、600mmと比べると格段に難易度が上がります。
難易度が上がる理由は、同じ解像感で撮影するためにはより近距離から撮影する必要があるからです。
皆さん、ご存知のとおり野鳥は近くから撮影するのが難しい被写体ですので、遠くから解像感良く撮影できるレンズの方が圧倒的に撮影の難易度が下がるんです。
ちなみに小鳥の羽毛まで解像させるためには、どのくらいの距離から撮影する必要があるか?というと、焦点距離600mmのレンズと5000万画素フルサイズセンサーのカメラの組み合わせでは、だいたい10m以内です。ISOを低くできても、12mが限界でした。
この10mという距離まで接近するのも初心者さんには難しいかもしれませんね。
といった感じですので、レンズの焦点距離は最低600mmはあった方が野鳥撮影向きだと思います。
2.必要十分な解像力
次にこのレンズの画質についてですが、SONYのGマスターレンズと比べると画質というか、解像力は劣ります。
でも、小鳥を撮影するのに必要十分な解像力はありますので、羽毛の繊維まで解像した写真を撮影することは可能です。
下に小鳥の作例を貼っておきます。画像をクリックすると詳しい撮影条件がみれますよ。
拡大したのがこちら↓
これがGマスターグレードの100400GMや600F4GMではどうなるか?というとさらに線が細く描写されるイメージなのですが、上の作例を見るとGグレードのレンズでも十分に高画質ですよね。
さらに1.4xテレコンを付けて840mmで撮影しても、ISO感度さえ低く抑えることができれば解像感はあまり劣化しません。
下のヤマセミの作例は距離27mから遠距離撮影したものですが、羽毛の質感もリアルに描写されていますね。画像をクリックしてInstagramページに飛べば撮影条件が見れます。
以上の作例から、このレンズの解像力が野鳥撮影では必要十分であることがお分かり頂けたのではないでしょうか?
3.純正レンズの安心感
そして純正レンズの安心感も重要なオススメポイントです。
具体的にはつぎの3つです。
(1)テレコンが装着できる:現在、サードパーティ製のSIGMAやタムロンのレンズはテレコンを使うことができません。
(2)純正ボディの連写スピードが保証される:例えば、α1の秒間30コマも純正レンズでは保証されますが、サードパーティ製レンズでは連写スピード落ちます。たとえば、タムロン500mmズームでは約半分くらいまでスピードが落ちるようです。
(3)SONYワイド保証:ワイド保証に入ると水没・落下で破壊しても無償で修理してもらえます。何度か利用しましたが、対応もスピーディーかつ丁寧で好感がもてました。
たしかにサードパーティ製は純正よりも実売価格で約10万円安く買えますが、カメラ本体の性能を100%活かしたいなら、純正レンズ一択ではないでしょうか?
4.600mmレンズとしては軽量コンパクト
そして、このレンズは600mmとしては十分に軽量コンパクトです。ピークデザインの30Lバックパックにカメラをテレコンを装着した状態でギリギリ収納可能でした。
手持ち撮影派の僕でも、このレンズを肩からぶら下げて毎日2〜3時間、探鳥しながら歩き回っていましたが、モヤシ体型の僕でもそういうことが可能だということから実用上、問題ないくらいには軽量コンパクトだということがご理解できると思います。
以上が推す理由ですね。
このレンズの弱点
もちろん、このレンズにも欠点がありますので、この際、ぶっちゃけたいと思います。
欠点を列挙すると次のようになります。
1.望遠端 f/6.3は冬の早朝では少し暗く感じる
2.テレコンを付けるとAFが遅くなる
3.ブンブン振り回せない
詳しくご説明したいと思います。
1.望遠端 f/6.3は冬の早朝では少し暗く感じる
f/6.3では暗く感じるシチュエーションがたまにあります。もちろん、このサイズ・価格帯ではf/6.3が限界なのは分かりますが、多少デカく・高価になってもいいので、f/5.6だったら良かったのに...と感じる時が多々ありました。
つまり、暗い時に撮影するとISO感度が上がって画質が悪くなるんですよね。もちろん、そういう時は羽毛の繊維も解像しません。
下のツグミの作例はコントラストが高い箇所は羽毛の繊維が見えていますが、そうじゃない部分は解像していません。
とくに、1.4xテレコンを装着すると1段分暗くなるので、f/9スタートになります。f/9では暗い時にISO感度を下げるのはとてもキビシイく、画質的にさらに辛くなります。
2.テレコンを付けるとAFが遅くなる
当たり前ですが、テレコンを付けるとオートフォーカスが遅くなります。α9系だと位相差AFが使えますが、無印αやα7R系ではf/8までしか位相差AFが使えないので、テレコン装着時にはコントラストAFのみになります。ぶっちゃけAFは激遅になりますよ。
ですので、僕の場合はテレコンはどうしても遠くの野鳥を撮影せざるを得ない状況でしか使いませんでした。
3.ブンブン振り回せない
そして、重量的に振り回せる重さではありません。もちろん、できないことはないと思いますよ。現に僕は、さらに重い600mmF4で飛んでいる鳥を手持ちで撮影しています。ですが、無理すると体を痛める可能性が高いので決してオススメできません。
まあ、この辺りは600mmレンズの宿命だと思います。枝にとまっている鳥なら手持ちでも無理なく撮影できますが、飛んでいる鳥は素直に三脚の使用をオススメしたいと思います。
以上が、このレンズの弱点になります。
まとめ
最後にまとめると、
このレンズを推す理由、つまりこのレンズの長所は次の4つです。
1.焦点距離が600mm
2.必要十分な解像力
3.純正レンズの安心感
4.600mmレンズとしては軽量コンパクト
そして、このレンズの弱点は次の3つになります。
1.望遠端 f/6.3は冬の早朝では少し暗く感じる
2.テレコンを付けるとAFが遅くなる
3.ブンブン振り回せない
という感じなのですが、総合的に見ると、弱点を考慮しても十分オススメできるレンズだと思います。
以上、参考になれば幸いです。