野鳥カメラ考察:SONY α7RⅣとα9Ⅱ
こんにちは、フォトグラファーのSATです。
この番組では皆様の写真ライフが楽しくなるような話題を取り上げています。
今回はSONY の高画素カメラのα7RⅣと高速AF・連写が売りのα9Ⅱのどちらが野鳥撮影に向いているのか?についてお話したいと思います。
僕は同時期に両方のカメラを所有して野鳥撮影に使っていたことがありますので、その感想を交えて語っていきたいと思います。
では、早速
結論
はじめに結論を申し上げると、
「α7R系とα9系のどちらを買った方がいいの?」と相談されれば、迷わずα7R系をオススメしたいと思います。
おそらく、僕に相談する人はインスタグラムやYouTubeで僕の野鳥写真を見た上で相談に来ているのでしょうから、僕と同じような解像度の高い緻密な写真を撮りたいならα7R系一択になるからです。
では、その理由を詳しくお話していきましょう。
野鳥までの撮影距離はα7RⅣが有利
皆さん、ご存知のとおり野鳥はなかなか近くからは撮影させてくれません。
つまり、どれだけ遠くから鮮明に撮れるかが写真の撮れ高に大きく影響します。
焦点距離が同じレンズ、例えば600mmを使っている場合、6100万画素センサーと2400万画素センサーではどちらが遠くから撮れる?というと、断然6100万画素センサーです。
その差はどのくらいか?というと、画素数の平方根で比べれば分かるのですが、計算して比べてみると、6100万画素のα7RⅣが10mが鳥の羽毛の解像の限界だとすると、2400万画素のα9Ⅱは6.27mまで鳥に接近しないと解像しないことになります。
実際、僕の実験ではα7RⅣの野鳥の解像距離(これは、小鳥の羽毛の繊維まで解像するという意味ですが...)はだいたい11〜12mです。これに対してα9Ⅱはいうと、同じ解像感で撮影するには計算上6.9〜7.5mまで接近する必要あることになるんですよね。実際のフィールドでもそんな感じでした。
野鳥をコンスタントに6〜7mの距離で撮影するにはブランドでも使わない限りはかなりキビシイと思います。もちろん、たまに鳥の方からそのくらいの距離まで寄ってくることはありますが、そんなに頻度は高くありません。
いずれにしても、遠くからでも解像するカメラを使った方が野鳥撮影の難易度が格段に下がりますし、上達も速くなると思いますよ。
でも、これは「飛びもの」ではなく「枝にとまっている鳥」に限定した話ですので、「自分は飛んでいる鳥を撮りたいんじゃー!」って方はスルーして下さいね。
飛翔シーンならα9系一択です
じゃあ、野鳥の飛翔シーンを中心に撮りたい場合は?というと、α9系一択です。
そのくらいα9系とα7R系ではオートフォーカスの性能が違いました。ハッキリ言って、次元が違います。もう、お話にならないくらいの性能差です。量産型とシャア専用くらいは差があります。
α7RⅣのオートフォーカス性能も決して悪くはないのですが、α9Ⅱが良すぎるんですよ。α9Ⅱだと飛んでいる野鳥にも楽勝でピントが合います。一度、α9系のオートフォーカスを体験してしまうと、もうα7R系で野鳥の飛翔シーンを撮るにきにはなりませんでした。
さらにシャッターボタンのレスポンスもα9系とαR系ではまったく別物でした。α9Ⅱはシャッターボタンに少し触るくらいでシャッターが切れるんですが、α7RⅣは押し込まないとダメなんですよね。
この辺のカメラのレスポンスの良さも野鳥撮影には大きく影響します。飛翔シーンじゃなくても、枝の中で忙しなく移動を繰り返す小鳥を撮影する時にもα7RⅣではコンマ何秒かシャッターを切るのが遅くてチャンスを逃すことも多々ありますので、飛んでいる鳥なら尚更レスポンスの良いカメラの方が有利だと思います。
それと、解像度的にも「飛びもの」であればα9系の2400万画素で十分足りる場合もあります。
その理由は、鳥の飛翔シーンは翼を広げている分、写真の中で野鳥が占める面積が広くなるからです。つまり、翼を畳んでいる状態の鳥撮影よりも、翼を広げている飛翔シーンの方がトリミングが少なくて済むので解像度的に足りてしまうことがあるということです。
さらに、被写体が猛禽類やサギのように大きな野鳥の場合には羽を畳んでいる状態でも2400万画素で足りるかもしれません。
「じゃあ、α9系を買っておけば間違いないんじゃないの?」
とお考えの方も多いかもしれませんが、よほど飛びものに執着心がない限りはα7Ⅳをオススメしたいと思います。
とくに初心者さんはα7R系をオススメしたいですね。
それでもα7RⅣを推す理由
僕が相談を受けたときに迷わずα7RⅣまたはα7RⅢをオススメしているのにはもう一つ別の理由があります。
たいてい、この手の相談はSNSを通じてDMで来ることが多いのですが、相談者の立場を考えると、おそらくSNSで多くのフォロワーを獲得したり、いいねをたくさん貰いたいという欲求が言外に含まれているんじゃないのかな?と感じます。
僕自身もそういう考えで機材や写真の構図を工夫してきましたし、そのためには非常にたくさんの野鳥写真をSNSで見て研究してきました。
そこで、フォロワーが多い人やいいねの多い人の野鳥写真に共通する点は...
1.野鳥が大きく写っている
2.ピントが合っている(ガチピン必須です)
3.解像度が高く鮮明な描写
4.構図にミスがない
5.美しい・または可愛く見える
一方、伸び悩んでいる人の野鳥写真に共通する点は...
1.鳥が小さくて、パット見で主題だとわからない
2.大きく写っていてもピントが合っていない
3.トリミングしすぎて解像度が不足している
4.構図が汚い
5.鳥の表情がキモい
もう、お分かりの方もいると思いますが、多くの人の野鳥の飛翔シーンは伸び悩んでいる人の野鳥写真と共通点が多いんです。
なかには完璧な飛翔シーンを撮る方もごく少数いて、そういう人は人気なんですけど、中途半端に上手い人は埋もれている感じがします。
やはり、「中途半端は価値を産まない」というのは世の常ですからね。
たぶん、飛翔シーン=スゴイと考えているのは本人だけで、一般の人は中途半端に失敗している飛翔シーンよりも、美しく、あるいは可愛く撮れている完璧に近いとまりの野鳥写真に魅力を感じているというのが僕の結論です。
ですので、単に野鳥撮影仲間に自慢したいのではなくて、SNSで多くのフォロワーを獲得したいのであれば、α7R系の高画素センサーのカメラを使って野鳥撮影した方が多くの人に受け入れられやすいのでは?と思うんです。
以上、何かの参考になれば幸いです。