温泉と音楽の大宴会グルーヴ|音泉温楽2024
「音泉温楽」。言葉から最高のコラボレーションであることがわかる、今年15周年を迎えたフェスという名の大宴会!!日本の心の故郷に帰った年の瀬になった最高のフェスティバルの思い出を残します。
2009年から渋温泉で開催されている「音泉温楽」は、今年で15周年。コロナ禍の2020年、2021年も、入場制限とソーシャルディスタンスを考慮しながら、1年も休むことなく開催し続けてきた冬フェス。音楽ライブと温泉旅行を一緒に楽しめることが特徴で、毎年12月頃に開催することからも1年の年の瀬的に多くの家族や海外からもお客さんが集まるイベントになっています。2010年の開催時など会場を増設した年もあったそうですが、近年はお客さんもゆったりと楽しめる数に限定し、会場も大広間の1つに。サブとして夜間のDJが別の広間で開かれる形になっています。ライブは167畳の広さを誇る畳の大広間「飛天の間」で行われ、ノースタンディングが観覧ルール。
そして会場となる金具屋は、築80年を超える木造建築で有形文化財にも登録されているとても趣のある建物。映画「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルのひとつになったとされているみたいです。本当に映画の世界に入ったような世界観が味わえるので、会場入りからテンションが上がりました。
今までのアーカイブはここに一覧になっているのでぜひ!
https://www.onsen-ongaku.com/archive
10月に行ったいい湯だな!でも、音泉温楽のプロデューサー鶴田さんがトークショーに登壇されていて、温泉と音楽のコラボレーションの元祖とも言える方です。冬の音泉温楽以外にも、「湯会」と呼ばれる音泉ニュースタイル宴会も東京で定期的に開催されています。いい湯だな!もそうですが、温泉会場でライブをしたいという相談も近年多いらしく、鶴田さんは日本全国の温泉を音楽を通して盛り上げている方でもあります。日本の古き良きカルチャーと音楽がコラボして、日本のアイデンティティを持つフェスやイベントが増えていくのすごくいいなあと思うし、海外の方からもこういったイベントは注目されている感覚があります。いい湯だな!が最高だったこともあったのと、15周年という節目を聞きつけて、今回はじめて参加しに行きました。
冬景色の渋温泉
会場の渋温泉には、東京から新幹線と電車とバスで向かいます。会場OPENが14時半で、ライブも15時スタートと夕方頃から始まるので、その日の朝めっちゃ早いとか前乗りもしなくていいのがありがたい。そして次の日もお昼にはライブが終わります。のんびり来て、ライブを見て、のんびりお風呂に入って1泊して、次の日もお昼までライブ見たら一風呂してからのんびり帰って。そんな感じで本当に1泊の温泉旅行に行ける感覚。スケジュールの組み方にも主催のお客さんへの愛が詰まってます。
今年は12月中旬の開催でしたが、長野はすっかり冬景色。数日前に雪が降ったみたいです。去年は雪もなく気温もそんなに寒くなかったという話を聞いたので、日程が数日うしろになるだけで景色が変わる季節です。雪もまだ薄い感じだったので、逆に風情があっていい感じでした。
バス停から会場まで徒歩10分もかからないくらい。途中で渋温泉の湯めぐり案内に遭遇しました。この近辺に9つの外湯があって、それを順番に巡っていくのが人気だそう。九(苦)労を流し、厄除け、安産育児、不老長寿のご利益があると言われているそうですが、渋温泉に宿泊した人は誰でも、もしくは湯めぐりのパスを別途購入すれば利用できるシステムのようです。最終ゴールの九番湯「渋大湯」だけは時間限定でパスを持っていない人も入れるのだそう。ぐるっと回ってみましたが、渋温泉の周辺は神社や小さな居酒屋とお土産店くらいしかなさそうでしたので、湯めぐりが観光スポットなのかなと思います。
冬景色の温泉郷は、絵に描いたような静けさと趣を持っていて、散歩しているとなんだかすごく哀愁の気持ちでいっぱいになりました。この地で15年、続けてきた温泉フェス。どんな場所なんだろう、といざ向かいます。
音泉温楽舞台、金具屋へ
音泉温楽の舞台となってきた金具屋さんへ。着いた瞬間、その歴史ある風貌に感動しました。入り口に潜り戸があって、かがんで入っていく扉がありました。古い建物だとよく見かけますね。中に入ると広々したロビーがあって、今までの歴史物が飾られている廊下があったり館内の案内図があったり。階段はちょっと急で狭いのも、古い建物のかんじでグッときます(降りる時が怖い)。築80年・・・渋温泉の9代目をつとめる「きゅうだいめ」さんのnoteを読みながら新幹線に乗ってたんだけど金具屋さんの歴史についていろいろ載せられていて、長い年月を過ごしてきたんだなあというのが会場に入って肌でも感じられました。
受付を済ませて会場へ。受付では今年のオフィシャルグッズであるポスターのデザインにもなっているグラフィックが配られました。これがチケットというかリストバンドがわりらしい!銭湯とか行ったときの靴箱の鍵みたいで、こういうのいただけるの思い出になるし嬉しいですね。そして急な階段とエレベーターで会場である宴会場まで向かいます。
入った瞬間、めちゃくちゃ懐かしい感覚に襲われました。「これは小学校のときのPTAの集まりで。地元の公民館に年末の集会にいった時と似ている・・・!!!!」(地方で育った子はなんとなくわかると思います笑)大きな広間でたくさんの人がちょっとずつグループになっていて、お酒を飲んだりお菓子を食べたり、真ん中にストーブもありました。これぞ「和」の空間。お客さんもおもいおもいに座ってくつろいでいました。全員はじめましてなのに、なんだか、「1年おつかれさまでした」と言いたくなるようなみんな親戚みたいな、独特のグルーヴがすでに漂っていて、音泉温楽がこうやって1年も欠かさず多くの人と年の瀬を労ってきたんだなと思うと深い気持ちになります。
聞いたところによると大広間はだいたい300人くらいが限界だそう。ただ300人座るとかなりぎゅうぎゅうで、ゆったりしたり移動したりも苦しいようです。みんなお風呂入りに行ったりでチケットを持つ全員がいた時間はあんまりなかったかもですが、200人くらいはいたんじゃないかなと思います。コロナ禍はここで120枚限定開催にしていたりしていたそうなので、もっとゆったりしていたんだなと想像します。大広間に人がいっぱいいてのびのびしているの、心がホッとするというか、癒されますね。
会場の後方ではマッサージができるようになっていて、お値段も良心的・・。お風呂に入ってお酒を飲んでライブを見てマッサージで体もほぐして、完全に温泉旅行ですね。家族で毎年来てるんです、みたいな方の気持ちがめちゃくちゃわかります。親も連れてきたい。。
7Fのフードコートでは小さめの広間に食べるスペースもあって、長野志賀高原ビールが売っていたり、おでんや豚汁、おにぎり、温泉たまごに、さらにはりんごやシャインマスカットも。長野が集合してました。おでんに関してはちくわとこんにゃくで100円なんですが「ビタちくおでん」とは何かというと、長野のソウルフードのビタミンちくわのおでんということで定番なんだとのこと。味が染みてて美味しかったです!
会場内は古い木造の廊下なので、足がめちゃくちゃ冷たくなるんですが、入り口にはペーパースリッパが置かれていて、配慮が神すぎてありがたく使われていただきました。窓から見える景色も、朝はつららができていたりして、冬というか年の瀬をしっかり感じました。わたしは地元北海道なので、やっぱりこれくらいの雪を見ると今年ももうすぐ終わるんだなあという気持ちになります。
これが日本の宴会グルーヴ
そんな大宴会を盛り上げるアーティストのみなさんはこちら。中には、開催後ほぼ毎年レギュラーの方や、去年から連続でラインナップになっているアーティストもいて、お客さん的には待ってましたのアーティストも。旅館もお風呂も最高で、アーティストもいわゆる慰安旅行になると思うと、この時期に温泉も入れるフェスって、アーティスト的にもまた出たい!ってラブコールが多いと思うので、ブッキングも大変だろうなと思いますが、ちゃんとイマなアーティストも入れつつ毎年お馴染みの方もいることで「この場所でこのライブを見たら年の瀬」って感じも味わえるのがいいなあと思います。
1日目の間に1時間半くらい「休憩」があるのが嬉しい。この間にわたしはチェックインをして少しお風呂に入って浴衣に着替えて第二部に備えました。いい湯だな!でもONSEN TIMEがありましたが、ライブがあるとどうしてもライブを気にしちゃうのでなかなかゆっくりできないから、フェス側から「休憩」タイムを設けてもらえるのはこちら的にも助かります。(本当は、金具屋の一般の宿泊の方がごはんを食べる時間帯なのでライブができないためというのが理由だそうなのだけど、金具屋さんの営業とのバランスもこうしてとられているのが素敵だなと思いますよね)
初めて見た前野健太さん。しっとりとステージでソウルフルなギターと歌を鳴らしていたかと思えば、最後には客席側を歩いて歌うというパフォーマンス!前野さんの後ろを小さな子がついて行くなどの様子がとてもかわいかった。音泉温楽はノースタンディングがルールなので、アーティストがこうやってパフォーマンスするのも映えます。
だいすきなSummer Eyeさんもがっつり会場を巻き込んでの大宴会パフォーマンス。彼は宴会アーティストなのかとおもうほど、お客さんもノリノリで、少年から青年まで、夏目さんと肩組んで歌ったり踊ったりしているのがなんか信じられない光景でした。アーティストがこんなにお客さんと一緒にライブすることある?(笑)さすが夏目さんだなあと思いました。めちゃくちゃ盛り上がってました!
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINは初でしたが、3人セットでの参加で、座卓でその場で音を録ってMIXしながら展開して行くパフォーマンス。このスタイルでルーパーをつかってパフォーマンスするのは今回が初の試みだったそうなのですが、めちゃくちゃよかった。ステージ上にある太鼓まで使ってて自由だった。音泉温楽のステージも小さいので、多分今回出演用に考えた結果なのかなと思うのですが、場所がユニークであること、制限があることは、こうやってパフォーマンスにあたらしいスタイルとか幅を生むきっかけにもなるのかもと思いました。またこのセットも見たい!
1日目の夜は別の広間でDJパーティー!みんな浴衣に、お酒を片手に持って、顔を真っ赤にして踊っていて、日本〜〜って感じがしました。DJは30代40代のカラオケソング祭り!って感じで歌って踊って大宴会の2次会って感じがしてわちゃわちゃでした笑
15年続いてきた大宴会
音泉温楽でいちばん驚いたことが「主催の鶴田さんがずっとステージのMCをしてる」ことでした。鶴田さんともお話しさせていただいたんですが、鶴田さん自身このフェスを1年でとても楽しみにしているからこそ、1番楽しんでますと言っていました。ライブの転換中はマイクを手に取り、「温泉はいりました?」「オフィシャルグッズのポスターを作ったんですけど見てくれました?」と、お客さんに話しかけたりアーティストのライブについて語ったり、とにかくずっと表にいらっしゃるんですよね。そしてアーティストのライブ中は1番前で1番体を揺らして楽しまれていて、感動しました。普段フェスに行っても主催の方って知り合いでも忙しくてなかなかお話しできる時間も限られてしまうのに、鶴田さんはずっと表にいて、お客さんと話して、自らも話して。そして鶴田さんがそれをできるように裏でスタッフさん達が走り回っているのも見ました。もちろん結構ライブ中の緊急な時は鶴田さんもサッと動かれてましたが、そうやってチームとしてこの形をできるようにしていることが、素晴らしいなと思いました。お客さん的にも鶴田さんのMCを聞いて年の瀬を感じられる人もいると思います。ここでしか体験できない大宴会グルーヴ温泉フェスティバル、それを鶴田さんがしっかり表で出している。なかなかできることではないけど、この場所で、この規模だからこそ、音泉温楽のこのチームのスタンスが叶えられるし、この価値を生んでいるんじゃないかと思って心で拍手、とても感動しました。
夜、ライトアップされた金具屋を見て、音泉温楽でこの1年のフェス納めをできたことがとても良かったなあと感じます。この会場だからこそ、このノスタルジックな気持ちと、日本の昔ながらの宴会グルーヴの懐かしさに浸ることができた。今回申し込むのがギリギリで、渋温泉の旅館チケットが売り切れで他の旅館に泊まったので、次はきっとこの金具屋で宿泊してライブを楽しみに来たいなあとおもいます。心も体もリラックスして楽しめたフェスでした。
また、唯一無二の大宴会フェスティバルに遊びにいきたいとおもいます!
おしまい
音泉温楽2024・冬 概要
開催日時:2024年12月14日(土)/15日(日)
会場:信州長野・渋温泉『金具屋』(長野県山ノ内町)
料金:11,000円
出演:
小西 康陽 / 前野 健太 / Summer Eye / showmore / CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN / Nagakumo / 幽体コミュニケーションズ / Naturally Dub Gusghing
企画制作:湯会株式会社
公式サイト:https://www.onsen-ongaku.com/
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