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みんなでつくる、みんなのための場所|MACHIFES. 2024
群馬の山奥に、秘密基地にヤンチャで元気な子供たちが集まっているような、わくわくしたフェスがありました。名前は「MACHIFES.(マチフェス)」。あっという間に好きになってしまった小さなフェスの、たくさんのアイデアと温もりを記録しておきたいと思います。
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MACHIFES. (マチフェス)有志の実行委員会主催による音楽フェスで、「自分たちが楽しめるイベントを、自分たちでつくろう」という想いから、群馬大学の学生らにより2013年に初めて開催されたのがはじまり。年に2回など開催されたりもしていて、春と夏の間にもやったりしています。主催は下北沢ベースメントバーのブッキングをしているかたしょーさんとCAR10というバンドのドラムの方と、もうひと方(詳細わからず)の3名。
かたしょーさんのイベントにはよく個人的にも行くのですが、とにかく元気で彼自身が30代前半なので割と集まっている人たちも同じくらいか20代が多い印象。普段からそんな空気感のみんなで楽しいことをしている、その延長にあるマチフェスも、行ってみるとやっぱり活気があって若かったです。
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実際、SummerEyeさんが年代で手をあげて〜のやつをやったらお客さんは20代がほとんどで30代がちらほら、40代は数える程度という感じで、本当に若い客層のフェスでした。スタッフの子たちも若くて、ベテラン層というかいわゆるオトナがいなく、これは面白いなあと思った。割と今現在、いろんなフェスを主催しているのがフジロックを体験して自分たちもとなった30代後半や40代とかが多いから、主要メンバーやスタッフも年齢層高めでなんというか"オトナ"の人たちがやってると感じるんだけど、マチフェスはフェス自体若い頃から始めてて主要メンバーも若く、スタンスとして自分たちがのびのびと過ごせるようにしてる感じがあって、窮屈なかんじとか"オトナ"の目線的なのを感じないアットホームな感じがとてもよかったなあと思います。
アイデアがぎゅっと詰まった会場
会場はとてもコンパクトで、普段はキャンプ場になっている場所を使ったレイアウトになっています。周りにコテージがあって、数組のお客さんはコテージをみんなで借りて泊まったりして過ごすそう。10月、秋のキャンプ場は過ごしやすくて良いですよね。
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ステージはひとつと、DJブースがひとつ。キャンプ場の施設がオープンステージになっていて、そこがメインステージになります。このオープンステージがなんとも趣があってすてきな建物でした。
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原っぱを挟んでキャンプ場の炊事スペースでは「とんぼ食堂」という名のフードコートが。フードのラインナップは地元や各所から集まった、評判の高いこだわりのお店やキッチンカーがずらり。どれが美味しい?とスタッフに聞くと、「ぜんぶ美味しい!!特に、これとこれはみんな食べてる!」といった具合に、選択肢が絞りにくい回答が出てくるくらい、スタッフもお客さんも満足のフードたち。実際わたしも目移りばかりしてしまい、結局いろんなものをシェアして食べてしまいました。本当に、どれもおいしかった〜〜〜〜
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ちなみに「とんぼ食堂」の由来はなんなのか聞いたら、始めた頃はこの季節にとんぼがたくさんいたからだそう。おそらく気温の変化で今年はとんぼはほとんど見かけなかったけど、そういう変化もしてるくらいの歴史があるんだなあというのを感じました。とんぼのマークは、数名のスタッフが来ている法被のバックプリントにもあり、マチフェスの初期はとんぼの印象が強かったみたいでした。
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それから会場のアクティビティとして楽しかったのが射的!射的のブースも手づくり感があって、お祭りぽくて楽しかったです。500円で5発打てて、景品はマチフェスグッズのクージーやトートバッグ、あとはお菓子などなど。あんまり射的の経験がなかったけどなかなかセンスがあったみたいで笑、わたしはクージーを二つ当てて、トートバッグも狙いましたが重さで倒せずでした。
単純にフェスのグッズも買うのではなくアクティビティの中に取り入れてゲットする体験は楽しかったしついついやっちゃうのでいいコンテンツだと思います。
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さらに会場内ではこうゆう、ちょっとした気遣いがまたグッときちゃいました。「ぺいぺい使えちゃうんだ!」「上にもトイレあるんだ!」こういうインフォメーションが欲しいところにあるのはみんなの意見が通りやすくあるからだろうなあと思います。
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アーティストも気の合う仲間
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ステージがひとつなので、アーティストの数も1日6アーティストほど。欲張らずともぜんぶしっかり見れるのでフェス初心者にも優しい。出演アーティストはルーキーバンドからキャリアのあるアーティストまで幅広く、でもみんなマチフェスの空気に合ってて、主催と長い交流があったり、マチフェスの常連だったりというアーティストばかりでした。
やっぱりマチフェスは小さなお祭りだからこそ、気の合うみんなで仲間になれるように、アーティストのラインナップにも気を配っているように感じました。主催メンバーでもあるCAR10はマチフェスの大トリを務め、「マチフェス」というタイトルの楽曲も持っています。その曲の時はみんなで拳あげて楽しんで、グルーヴが最高でした。この時間は夕暮れも美しくて、素晴らしい1日だったことを噛み締めながら日が暮れていくグラデーションの空と音楽に包まれていたことを覚えています。
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みんなをつなげるミサンガ
お客さんや仲間が楽しめるアイデアを取り入れたり、体験にも手間暇かけて大事にしている手づくり感がじわじわ伝わってきて、マチフェスは総じて人肌というか温もりを感じられるものがあふれてました。中でも一番驚いたのは、リストバンドが手づくりのミサンガだったこと!!!
手づくりのリストバンドはいままでどのフェスでも出会わなかった。だって想像も容易く、作るの大変ですよね。。。実はわたしもこのミサンガ作りにちょっと参加した日があったのですが、一本一本編んで解けないように火で炙って固めて、さらに調節が効くように縛り方に工夫があって、めちゃくちゃ大変なんですよ。全然下手くそで進まなかったです涙 これを来場者数分作るなんてすごいなと、体験したからこそ身に沁みました。しかもそれが初開催からずっと続けてることだというのだからほんとにびっくり。
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毎年毎年、今年も楽しもうねという想いを込めて作られるミサンガ。会場でみんなでミサンガをつけてる仲間感が嬉しくて、なんだかすごくあったかい気持ちになりました。これは一度つけると、また来年も楽しみになるリストバンドだなあと思います。
マチフェスの規模感はそこまで大きくなく、お客さんの顔も見渡せるくらいです。この規模感を大きくさせようとすることもできるでしょうけど、そうするとこのミサンガは無くなってしまうだろうなあとも思います。ミサンガのリストバンドを作れる規模感、お客さんが1人残らず仲間でいられる規模感、ぬくもりがちゃんと伝わる規模感。それ以上を欲張らないからこそ、マチフェスのまま続いているんだろうなと思います。
「自分たちが楽しめるイベントを、自分たちでつくろう」という気持ちで始まったマチフェス。だからこそ、みんなをつなげて、みんなで作り、みんなで楽しめる工夫がミサンガにある気がします。
自分たちが窮屈にならないようなアットホームさ、大人もみんな子どもに戻って、子どもたちだけの楽園のようなそんなのびのび感があります。こんなにフェス側から直に伝わるぬくもりってなかなかないので、参加できたことが本当に宝物でしたし、宝物のアイテムを持ち帰りました。
フェスは1人では作れないからこそ
ミサンガのくだりからもわかるように、マチフェスのスタッフは和気あいあいとしていてとにかくみんな仲がよさそうでした。あんなに大量のミサンガをみんなで作ってきているんだから、団結力も桁違いです。フェス側もスタッフへの想いがひとしおにあると思います。そんなところでめちゃくちゃ仲間想いだなとおもったのが、スタッフTシャツがめちゃくちゃかわいいこと!(これはスタッフ限定で非売品!オフィシャルグッズにしてほしいくらいかわいい)そしてさらに、あだ名つけてくれてネームカードがもらえること!これらはめちゃくちゃスタッフ愛に尽きますし、スタッフを一度やったらまた集まりたくなっちゃうすてきな思いやりだと思いました。
フェスは1人で作れない。スタッフ一人一人の手があってこそ成り立つもの。だからこそ、お客さんばかりでなくスタッフが楽しいことも全力で考えてる。マチフェス、めちゃくちゃ愛に溢れてました。
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ここはわたしたちのゴール地点
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マチフェスには旗振り隊がいました。とんぼのプリントの法被を羽織り、大きく振る旗は、すごく活気があって、いまここがみんなのゴールであることを示すような、導きとお祝いを感じるような旗振りでした。今年行った韓国のフェスで長い竿の旗がにょきにょき生えてお客さんが旗の周りでモッシュしたり回ったりするのを見たんだけど、あの光景はすごく衝撃的だった。けれどマチフェスの旗はまた違う良さがありました。短い竿で大きな面を雄々しくゆったりと、時に音楽に合わせて激しく、1日中休みなく振られている旗はマチフェスの活気の象徴だとも思いました。お祭り感に溢れていて、お客さんやスタッフもかわるがわる旗を振ってみる様子があったかくて、すてきなアイコンでした。(振る隊はめちゃくちゃ筋肉痛だと思います…!これも若さ…!)
みんながみんなの中にいれる
マチフェスは本当に、みんながみんな、ちゃんとみんなの中にいれて、みんなと一緒に楽しめる、みんな想いのフェス!というのがわたしの総合コメントです。(すごい語彙力ですが笑)
こんなに「みんな推し」すると、じゃあ1人で誰も知らないまま行くと浮いちゃう…?と思われてしまうかもですが、1人で行っても大丈夫だと思います。みんなの中に入って交わりたいならスタッフに声をかけてみてください。みんな最高にいい人たちなので、そこからぐいぐい輪を広げていつのまにかみんなの中にいれてくれます。そうしなくとも1人でゆったり楽しんだって良いですし。
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でもおすすめはみんなの中に入っちゃうこと。マチフェスきっかけの友だちができて、そこから楽しい日々にまでつながるかもしれないです。音楽が好きで、マチフェスに行きたいと思ったならきっともう、誰にでも「みんな」になれる要素があるはずなので。
群馬の山奥の小さなキャンプ場で、密かに開催されている仲間たちのお祭り。家に持ち帰ったミサンガがいつでもあの時のぬくもりを思い出させてくれます。
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はじめましてでした。マチフェス。
ありがとう。また再会を!
おしまい
MACHIFES. 2024 概要
開催日時:2024年9月21日(土)/22日(日)
会場:小平の里キャンプ場(群馬県みどり市)
料金:1日券 ¥7,000 2日通し券 ¥12,000 高校生以下無料(要学生証、予約不要)
出演:
9月21日
ANORAK! / entropyz / Helsinki Lambda Club / Homecomings / Khaki / TENDOUJI / どんぐりず / 上州八木節保存会 | -DJ- 遠藤孝行 / 斎藤雄 / 星原喜一郎
9月22日
CAR10 / Summer Eye / Suueat. / おとぎ話 / 踊ってばかりの国 / 柴田聡子 / ハシリコミーズ / 上州八木節保存会 | -DJ- タイラダイスケ / judgeman / Shimoda and Litd. / YOSUKE
主催:記載なし
公式サイト:https://mchfs.net/
X:https://x.com/machifes_kiryu
Instagram:https://www.instagram.com/machifes/