旅を仕事にするということ。
旅に暮らす生き方
こんにちわ。全国通訳案内士をしてます里山文庫のまえだです。いまの暮らしは、旅が仕事の場。時には足湯、旅先の宿やカフェが日々のオフィスになっています。
というのも、いったんツアーにでると14連勤、夜もお客さんをバーに案内したりしないといけません。時にはカラオケに付き合うことも。かといって、ずっと働いているわけでもなく、自由行動の時は、宿やカフェで仕事をしたりしています。
最も、行程を組んだり、食事を手配したり、最後に配る写真やお土産を用意したり、やらないといけないことはたくさんあるので、あまり自由な時間は少ないのですが・・・。
海辺のカフェは絶景の仕事場。
スルーガイドとスポットガイド
さて、通訳ガイドには2つのタイプがあり、ひとつは、スポットガイドと言われる1つの地域のみガイドするローカルガイド、そして、もうひとつは、スルーガイドと呼ばれる、全国を渡り歩くガイド。京都や東京など主要都市だけスルーガイドに加え、ローカルガイドさんが別途つくことも。さすがローカルガイドさんのお話は地元色が濃く、勉強になります。
スルーガイドの特徴は旅をしながら物語をつくっていけるということ。四季に応じた生き方の特徴や、風土に根付いたローカルなもの、林業や農業、漁業から農閑期の手仕事、そして保存食、米が酒になり、樽から醤油が生まれるまでの物語をたどってゆくことになります。地域による多様性、その土地ならではの素材や工夫、受け継がれる知恵。暮らしの全てがつながっていく過程を説明できるので、スルーはやりがいがあります。
一方で、スポットガイドは、時には4時間という限られた時間の中で伝えないといけないので、話の全てに魂がこもります。ベテランガイドさんのお話を聞かせていただくと、むちゃくちゃおもしろい。まさに全身全霊で、これがまたすごいのです。それに比べ、時間をかけて伝えることができるスルーガイドの方が新人向けなのかもしれません。
訪日外国人に食の民俗文化を紹介する"フード・ガイド"
わたしはスルーガイドをメインにしていますが、空いた日には個人からの依頼で、お茶の体験ツアーをしたり、発酵合宿をひらいたり、「フード」を専門にガイドをしています。
前回の全国有機農家ツアーの様子:
山に生きる知恵を学ぶ旅。四季の植物と保存食を紹介する様子。
農村に伝わる、てもっこ、てけし、とよばれる藁のミトン。姿を消してしまった昔のものがむしろおしゃれに見える。
年間100頭以上の熊、鹿、猪をほぼ自店舗で売るというハンターの屋台にて。たまたま視察にきていた役場農林課のひとたちと飲みながら、"youはなぜジビエを?"と質問責めにあい、カナダ、オーストラリア、アイルランド、それぞれのハンター事情を語りあう。good choice! と、youたちも大絶賛。
稲刈りから酒ができるまで、杉の森から醤油が生まれるまで、柿の木が酢や寿司に活きること。植物から食べ物になる物語をゆく。
以前にも書きましたが、お客さんはこんなひとたちが。
「あなたのpassionはなんですか?」
ガイドをやってるとどうもそんなことを聞かれる。「あなたに会いに来ているのだから、ガイドブックに書いてあることじゃなくて、あなたがpassionをもって取り組んでいることを知りたい。」・・・のだそう。
京都の職人さんや高山の酒蔵など、英語ぺらぺらの人も多くて、そういうところにお客さんをお連れすると、それぞれのpassionを直接英語で語ってくださる。職人か、作家かでまたことなる「理由」。そこに情熱をかける意味。思いを聞いた上でお買い上げいただき、もう最後は職人さんとがっしり握手。ガイドには語れない、それぞれの思いがある。私のやりたいことは、単なるガイドではなくて、どちらかというとコーディネーター、地域に生きる人と人の情熱のバトンを繋ぐことなんだなと思う。
観光地の情報はあっても、その商店街にどんな人がどんな風に暮らしているのか、風土や土壌に適した作物とその文化を受け継いできた人たちの物語、ガイドブックにはのっていない出会いこそ面白い。その地にいけばどんな出会いがあるのか、何が味わえるのか。地域の名物おじさんや、修業中の移住者など人から人へと縁をめぐりながら「その地に生きる人」に会いにいく旅をコーディネートしています。
食をめぐる旅はまだまだ続きます。
(どこかにじっくり滞在しながら暮らしのプログラムを作っていきたくて空き家を探しているところです。お試し居住できる場所など、情報求む!)