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さとやまコーヒーは原価を公開しています
コーヒーの収量が減っちゃう。生産者が苦しんでいるかも。
そんな心配ごとや罪悪感を感じずに、清々しくコーヒーを飲みたい。
むしろ、コーヒーを飲むことが世界の好循環を生むことにつながれば最高だ。
これはさとやまコーヒーのストーリーページにある文言です。
「清々しく飲めるコーヒー」のために、僕たちが扱っているコーヒーの原価を公開しています。
例えば… 「はちみつレモンな感じ」の場合
仕入れ値は、コーヒーの種類(=ロット)によって違います。
今回は、1種類のコーヒーを例に出して、原価構造の解説をさせていただきます。
例として、はちみつレモンな感じというコーヒーを扱います。
スッキリとした紅茶っぽい印象の中に、はちみつのような甘さがあってアイスコーヒーにもピッタリです。
![](https://assets.st-note.com/img/1685529196265-nNpJ7Rm8Mp.jpg?width=1200)
例えばこのコーヒーの原価は下の通りです。
![](https://assets.st-note.com/img/1685529013441-IJHRkxFf1I.png?width=1200)
生豆
これはコーヒー生豆(=焙煎前の状態)の仕入れ値です。
このロットは、生豆1kgあたり14.99ドルで買いました。
これを焙煎豆100gあたりの金額に直すと258円になります。(※1)
輸送
これはコーヒー豆をエチオピアから日本に輸送するまでの輸送コストです。
今回は、空輸だったので、生豆1kgあたり4.75ドル(=約653円)がかかっています。焙煎豆100g分で計算すると空輸コストは約82円です。
包装
これはコーヒー豆を包装するパッケージにかかる費用です。
袋代・シール代などが含まれています。
生産者への還元
「労働者への還元」「苗木の寄付」の2項目は、生豆の仕入れ値に含まれているものです。
つまり、例えば皆さんに「ロットマリトゥ」を100g買ってもらうと、自動的に生産者に155円渡し、そのうち20円分の苗木を寄付してもらうことになります。
苗木の寄付
ここで寄付する苗木は、取引農園の人々が自力で育苗したもので、周辺農家さんに配られます。
農園単体ではなく、地域全体でコーヒー産業を盛り上げる仕組みです。
備考:表示に含まれていないコスト
この他にも「日本国内の生豆輸送費用」「輸入時にかかった税金」「僕たちの人件費」「焙煎費用」などは表示されていません。
複雑になって結局誰も見ないものを作りたくなかったので、重要な費用のみピックアップしてあります。
一般的なコーヒー生産者の収入はどれくらいなのだろう?
ロットマリトゥでは、100gあたり現地生産者の方に155円ほど支払うことができています。
一般的には、コーヒー豆100gを購入するとコーヒー生産者には、約20-50円ほど支払われます。(※2)
さとやまコーヒーでは生産者さんに少なくとも3倍はお支払いできています。
社会課題とつながるコーヒー。だからこそ楽しく飲みたい。
「コーヒーは貧困を生み出す可能性がある」
「2050年にはコーヒーの収量が半減してしまうかもしれない」
経済格差や環境問題など、社会課題との関わりが多くあるコーヒー。
とはいえ僕たちは、コーヒーを飲む時間は頭を使わず、ただ自分のために飲みたい&飲んで欲しいと願っています。
むしろその方が、結果的に社会を良くするとまで思っています。
誰かが無理をし続けるのではなく、自分のために使う時間が結果的に社会を良くしているくらいの方が気持ちいいはず。
だから僕たちは「美味しく・楽しく・納得感を持てる」ような生産情報を公開しています。
(※)計算根拠
※1:生豆の価格について
例で扱ったロットマリトゥは、生豆1kgあたり14.99ドルで買いました。
当時のドル円レートが137.47円/ドルだったので、日本円に直すと1kgあたり2061円で仕入れています。
また、焙煎をすると水分が飛び、20%ほど目減りするので、1kgの生豆からは約800gの焙煎豆が出来上がります。つまり100gの焙煎豆をつくるためにかかっている生豆の値段は、2061÷8=257.6円。これを四捨五入して258円という風に表記しています。
※2:コーヒー生産者の収入について
今回はできるだけ「エチオピアのコーヒー生産者」に焦点を当てて計算しました。
国によって栽培しているコーヒーの市場価値や生産性が変わるので、世界全体の平均はあまり意味のないデータになってしまうと考えたからです。
①公式データで計算
国際コーヒー機関(ICO)が国別の「生産者に支払われた価格」を集計し、公開しています。
そこでは2019年に、エチオピアの「生産者に支払われた価格」は生豆1kgあたり$1.528とあります。同じ年のドル円平均が110.05円/ドルなので、日本円に直すと1kgあたり168.16円。焙煎による目減りを考慮して、100gのコーヒー豆で生産者に支払われる価格は約21円となります。
②別の信頼できそうなデータで検算
世界銀行が"Commodity Markets Outlook"にて「コーヒー豆の輸出価格」を公開しています。2019年の「アラビカ豆の輸出価格」は$2.88/kgでした。
さらにGlobal Coffee Platformによるとエチオピアにおいて「生産者に支払われた価格」は「輸出価格」の61%だという研究結果が出ています。
$2.88/kg×61%=$1.76/kgがエチオピアの生産者に支払われる計算になります。これは日本円に直すと1kgあたり193.3円で、100gの焙煎豆では約24.1円となります。
③直近データを確認(エチオピア以外の豆の情報も含む)
ICOでは、月間のざっくりとしたデータが直近2022年12月まで手に入ります。(2023年1月現在)
そこでは「ブラジルとコロンビアを除くアラビカ豆の輸出価格」は$4.635/kgなので、$4.635/kg×61%=$2.83/kgが生産者に支払われる価格と言えそうです。為替を考慮して100gの焙煎豆に直すと約47.8円になります。
上記から「100gの焙煎豆あたり20-50円の支払い」という風に書きました。
もちろん為替によって50円の価値は変わってしまうので、米ドルや円で現地の方の暮らしを理解することは難しいかもしれませんが、少しでも伝えられればと思い書かせていただきました!