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球磨川リバイバルトレイル102km 準備編
こんにちは。11/16~17日の球磨川リバイバルトレイル川辺川コース102kmを完走してきたので、そのレポートです。
自己紹介
173cm72kg、2001年生まれの23歳。トレラン歴は2年弱。
学生時代はテニス部で、大学に入ってからはロードバイクにドはまりして琵琶湖2周とか京都~東京~京都全自走1500kmなど、ロングライドを主にしていた。その後山小屋バイトやインドシナ半島自転車縦断など経て、トレランを始めた。
登山は小さいころから父に連れられて行っていた。
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これまでに走ったトレランの大会は志賀高原100の40㎞(2023年8月)と比叡山ITRの50km(2024年5月)。マラソンは未経験で、舗装路で20㎞以上走ったことが無い。
エントリーした動機
ひよっこコンサルタントとして初めて放り込まれたプロジェクトがどうも肌に合わず、毎日悩んでいた。このままではだめだ、何か目的に向かって自分を追い込まないといけないと考えていた矢先、友達の応援のために富士登山駅伝を見に行った。
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圧倒された。隊の威信をかけて走る自衛隊員の力強さに、坂を駆け上がる市民ランナーの確かな足取りに、転びながら血だらけでタスキをつなぐ気迫に、殴られたような衝撃を受けた。自分も走りたい、走らなくてはと思った。
富士山から家に帰ってきて、たまたま7Trailsのやっているポッドキャストを聞いた。
球磨川リバイバルトレイルという大会を主催している方がゲストで来ている回で、聞きながらすごくワクワクした。
トレイルへの愛が伝わってくるような語り口で、九州の奥深い山の中を夜通し走ったら、自分はどんな気持ちになるんだろうかと想像した。
100km走り切れる自信は全くなかった。ただ、仕事で倦んだ心が、達成できるか不安なくらいの挑戦を求めていた。
その日の夜にエントリーし、コンビニで27000円を振り込んだ。後戻りはできないと思った。
8月
走行距離 60km 獲得標高362m
5月の比叡山50kmで左膝の腸脛靭帯炎になってしまったのもあり、ほとんど走っていなかった。まずは5kmをゆっくりと走るところからはじめた。とにかく怪我せずトレーニングを積み上げるために、アップでフォームローラーで筋膜リリースと動的ストレッチ、寝る前に15分下半身中心のヨガをするようにした。
あまりに暑かったため、練習はほぼ全て退勤後のロードランだった。
球磨川リバイバルトレイル川辺川コース(102km)エントリーしちゃった!!!鍛えるぞ!!!
— さとう (@satou_power) August 18, 2024
9月
走行距離 120km 獲得標高 1200m
8月にこまめに走ったため、少しづつ走ることに体が慣れてきた。9月も退勤後の夜ランが中心。9月下旬に料理のポップアップの調理担当をして、それのためにかなり無茶なスケジュールをしたので体調を崩した。10日ほど走れず、精神的にも落ち込んでしまった。
トレイルは山中湖で15km600m↑を1回行った。
山から湖へ降るランニング最高だった。 pic.twitter.com/RRNgj1es92
— さとう (@satou_power) September 2, 2024
10月
115km 獲得標高 5100m
二か月間ロードランをしてベースを作ったので、週末トレイル+平日はジョグという感じで練習を積み上げた。
新しいプロジェクトに入り、非常に面白くなったが勤務の激しさが増したので、その両立が苦しかった。仕事で頭をフル回転させるため、帰宅するとヘロヘロになり、1時間ほど横になってぼーっとしないと動けなかった。
トレイルは4回、京都の京北で12km400m↑、20km1200m↑と、飯能で15km1100m↑、30km2600m↑だ。
ロードバイク30km、トレラン20kmの良いコースで走ってきた。京北〜祖父谷峠〜岩屋橋〜桟敷ヶ岳〜祖父谷峠〜京北
— さとう (@satou_power) October 14, 2024
全身動かして鹿と白米を食べる最高の休日 pic.twitter.com/N4EwQ8wnzQ
忙しさもあり、思うようにトレーニングが積めていない中で、飯能の吾野~伊豆が岳~武甲山~浦山口のハードなコースを7時間を切って走りきれたのはすごく良かった。飯能の山は急こう配のアップダウンが多く、人が少ないのもあって修行のように走ることが出来てとても良い。
球磨川100kmも近付いて来たので、吾野駅〜伊豆ヶ岳〜武甲山〜浦山口駅 30km2800m↑のトレランをしてきた。眺望の無い誰もいない山を無心になって走り続けるとだんだん気持ちよくなってくる。 pic.twitter.com/q4AOzOju4f
— さとう (@satou_power) October 26, 2024
11月
大会前まで 46km 獲得標高2500m
10月のトレーニングと仕事の負荷のせいか、再び体調を崩す。何とか体調を戻して、大会2週間前の週末にラストのトレイル練習として雲取山石尾根往復40km2500m↑を行った。気持ちよく追い込んで7時間45分でこなすことが出来て、初めて完走が現実味を持って感じられた。
しかし病み上がりにトレイルを走ったせいで再び体調を崩し咳喘息気味になってしまう。大会一週間前に5km走ると、5分/kmで非常に息が苦しかった。呼吸器内科に行ったら喘息と診断を受けて、最大呼気流量が67歳のお医者さんよりも低かった。この状態で走ることに不安を感じながら、薬を飲んで祈るように眠った。
寒くなって風邪をひき、長引かせて咳喘息になってしまい、老人並みの呼器流量になってしまった。仕事が忙しく準備も全然できてなくて、球磨川100km走り切れる自信が全くない。
— さとう (@satou_power) November 14, 2024
出発~レース前
今回はレース前に前泊して万全の状態で走りたかったため、なんとか調整して金曜と翌月曜に有給を取った。木曜の夜に何とか退勤した時点でなんの準備も出来ておらず、クレカのミスで飛行機のチケットが取れていないことも判明した。すべてを放り出してDNSしたくなるも、逃げちゃダメだ…と思って血の涙を流しJALの始発で熊本に向かう。(一万円ぐらい多くかかってしまった。
必携品を石井スポーツで買おうと思っていたら、石井スポーツがやっている時間に退勤することが出来ず、熊本のシェルパで買い集めた。シェルパありがとう。なんとかドタバタをこなし、バスに乗ってスタート地点の五木村に向かう。空港では田中陽希選手を見かけ、迫力がすごかった。
JALの始発に乗るために3時間程しか寝ていないためフラフラで五木村に到着。山深く静かなところだった。買い忘れたヘッドライトの電池を買いに5kmほど散歩し、前日受付を済ませる。
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相部屋だったため、多少緊張していたが、福岡から来たIさんとはすぐに打ち解けることができ、トレランの話で盛り上がる。基本的に練習は一人でしていて、独学で走っているため、トレランの話をできるのが嬉しかった。お互い100㎞未経験だったため、頑張りましょうと言ったが、Iさんは68km地点のA5でDNFだったそう。ゴールで会いたかった…
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民宿のご飯は非常に豪華で、とても美味しかった。なかでも煮しめと五木村の名物の堅い豆腐が非常に良かった。前泊組のランナー6人で机を囲んだのだが、皆「明日100km走るんだよなあ…」という緊張感がどことなくあって、面白かった。煮しめで一杯やりたいところだったがグッとこらえて10時に就寝。
寝不足だったのもあって、翌朝8時まで深く眠ることが出来た。薬の効果もあって咳喘息もかなり良くなってきていた。朝ごはんをいただき、フォームローラーで足をほぐして荷造りし、会場に向かう。
会場につくと、当たり前だがトレイルランナーがたくさんいた。出走は200人強。みんな強そうで、装備もちゃんとしていてビビる。過去最長距離が50kmの僕が100km走り切れるのか、全く自信が持てず、ナーバスになりながらスタート地点に並ぶ。とりあえず一歩一歩進んでいこうと決めて、スタートを迎える。
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装備
靴:サロモン サンダークロス
靴下:インナーファクト ラミーソックス
タイツ:Goldwin インパクトブリーズロングタイツ
ランニングパンツ:デカトロン ショートパンツLIGHT
Tシャツ:球磨川参加賞Tシャツ(インナーファクトM)
ザック:THE NORTH FACE TRロケット M
ヘッドライト:BlackDiamond
レインウェア:モンベルレインダンサー
何を持っていくかよりも何を持たないかに思想が出ると思う。今回はポールの使用が可能なレースだったが、普段から使っていないのと、己の足のみで走破したいという気持ちから使用しなかった。
また、参加者の多くがGarminやCOROSなどのスマートウォッチを使用していたが、これも使っていない。デジタルなものから距離を置くために山を走っているからだ。なるべく身一つでプリミティブに走り切りたい。
今回は骨伝導イヤホンも使っていない。今回は100kmひたすら自分の体と精神と向き合おうと思っていたので、音楽はその妨げになると思った。
補給
補給食
ヤマザキ 薄皮つぶあんぱん4個入り 2袋 1064kcal
バターどら焼き 224kcal
ウィダーインゼリー2個 360kcal
計1648kcal
ジェルとかさあ!高いじゃん!!
ということで最低限の補給食を持って、後は各エイドで最低1000kcal摂取するという作戦で挑んだ。
計画では24時間で走破する予定だった。体重72kgの僕が24時間トレランするときの想定消費カロリーは約12000Kcal。うち半分を脂質代謝で賄うとして、6000Kcalを糖質由来で賄う必要がある。
グリコーゲンで1500kcal、三つあるエイドで1000kcal、補給食で1600kcalでトントンというガバガバ計算だ。せっかく熊本まで来たんだから、エイドでは各地の美味しいものを心行くまで味わいたいしね。
このプランのリスクとして、後半胃腸にダメージが来て固形物を食べられなくなったらハンガーノックまっしぐらというものがある。まあ気合でたくさん食べればヨシ!
目標
完走がまず何よりの目標だった。制限時間は30時間。
24時間を切れたらいいな、欲を言えば昨年の制限時間である23時間を切れると最高だなというぐらいの想定だった。Trailflowのコースタイム計算で24時間で計算し、各エイドでその予実をすり合わせた。
Trail Flow | トレイルランニングレース 区間タイム計算ツール
準備編は以上!次回レース編!24時間は切れるのか、ハンガーノックにはなったのか、、初めてのオーバーナイトはどうだったか、走り終わっての体の状態など!