嵐の時代
嵐が2020年いっぱいでの活動休止を発表した。大きな声で言ってはこなかったが、私は実は嵐ファンだ。デビュー当時から追いかけている人には遠く及ばないが、各地にコンサート遠征に行くくらい(最近はチケットが手に入らなくて難しかったんだけれど)。コンサートDVDは何回かリーピートして観てしまうくらい。アルバムは初回限定版を買うくらい。ファンだった。
芸能に超疎い私が、唯一ハマったアイドルが嵐だ。
その嵐たちが活動を休止すると決意した。一報では誰かが結婚をするのだと思った。が、蓋を開けてみたら違った…。
◆「活動休止」の決意を聞いて
発端は大野くんの「普通の生活をしてみたい。違う世界を見てみたい」という思いだったという。もちろん発表に関してはショックなんだけれど、なんだか、大野くんが言い出したということに妙な納得感があった。「あぁ、さとし、気持ちにズレができちゃったかぁ。じゃあ、仕方ないよね」という気持ち。
今更私がいうまでもないが、大野くんは天才肌の芸術家だ。だから、地位や名誉への執着はあまりなかったんだと思う。それよりも、もっと心のままに生きてみたいという気持ちが勝った。そういうことなんだと思う。
大野くんはジャニーズ随一の歌唱力を持ちで、素晴らしいリズム感から繰り出されるダンスには目を見張る。トークの際のぼーっとした姿からは想像がつかないかもしれないが、間違いなく嵐を引っ張るリーダーであり、パフォーマンスの中心だ。
だから、その大野くんがいなくなるということは「嵐が嵐でなくなる」ということを意味する(と私は個人的に思う)。
嵐はこれまで「仲がいいグループ」として知られてきた。それは、おそらく真実で、みんながそれぞれを尊敬し合い、互いを好きでい合う。じゃなければ、30中盤の男子が誕生日プレゼントをお互いに贈りあったりしない。(かわいすぎる。)
嵐への思いを語り出したらキリがない。
私が語るまでもなく、国民的アイドルのまとめサイトは乱立している。だから、(どれだけの人が興味があるかわからないがw)私がなんで嵐を好きになったのかをこれからは少し語っていきたい。
◆「なにこの人たち? スゴイ・・・」
最初のコンサートに行った時、ファンが放つパワーの渦に正直引いていた。嵐のコールに一糸乱れずレスポンスする。その場のファン全員がデビュー曲から今までの曲をそらで歌える。その熱量たるや、私が経験してきたどのイベントとも違った。コンサート最後の挨拶で、嵐メンバーのひとりひとりの言葉に涙するファンを見て、「まじかよ…」と思った。
「この熱に浮かされたらいかん」という気持ちと、「こんな幸せに酔いしれないでどうする」という思いの間で戸惑った。
しかし、最終的に私はファンになってしまった。熱烈とまではいかないが、浮かされてしまったんだ。
振り返ると、一番最初のコンサートでは翔くんのウチワを買った。テレビで観るスマートな姿から、「まぁどの人かといえば、櫻井くん?」と思ったのだ。しかし、一度コンサートに行くと、ニノにあっさり心変わりしていた(笑)
5人の整ったパフォーマンス。「なにこの人たち? スゴイ…」。ズンズンズンッと盛り上がっていく、セットリストにもう完全に心が奪われてしまった。
◆嵐5人の魅力とはなんなのか?
嵐5人の魅力は、それぞれの「個性」にあるように思う。まったく違うキャラクターなのに、みんな仲がいい。それでいて、お互いにあまり干渉をしない。
ニノは、本番前までずっとゲームをしている。しかし、フリも歌詞もきちんと頭に入っている。だから、彼に誰も文句を言わない。その自然体のラフさが彼の魅力であることを他の4人は知っている。
相葉くんは、衣装替えをよく忘れてしまうし、すぐに感極まって何を言っているかわからなくなってしまう。でも、その飾らない姿が好感につながっていることを、他の4人は知っている。
だから、大野くんについてもありのままを受け止めている。彼がきらびやかなこの世界にずっとい続けたいと思うタイプでないことは、メンバー4人は重々承知していたのだろう。
4人とも嵐のことが大切だから、解散もしたくない。だから、大野くんの決断を賞賛はとてもできないけれど、「まぁリーダーだからなぁ」という気持ちもあったに違いない。
会見のこの写真はまさに、すべてを受け止めて、この場に並んでいる姿のような気がする。これが、活動休止を告げるグループの表情だろうか…?
5人の個性と、その個性をそれぞれが認めて尊重している(好いている)ことが、嵐というグループの魅力なのだと私は思っている。
「5人で嵐」とメンバーは常に言い続けてきた。そんな嵐らしい結論を、私たちは目の当たりにした。
◆どんな時代も終わりを告げる
SMAPが解散し、アムロちゃんが引退し、私的に一時代の終わりを感じることが相次いだ。そして、まさか嵐までもが…。
どんな時代でも終わりは訪れる。今回の発表で、そんなことを感じてしまった。私たちと同じ人間が、一時代を築くのだから、そのプレッシャーは半端ではないだろう。
それを自分の手で前向きに一旦句切ろうとする彼らは、すごい。
仲違いでもなく、ゴシップでもなく、廃れて行くでもなく、自分で区切ろうと思った彼らはやっぱりすごいし、大好きだ。
嵐の決断にショックを受けつつも、その勇気に対して「やっぱり私が好きになっただけのことはあるよね」と誇らしさすらある。でも、どうしても寂しくて泣けるんだけどね。
どんな時代も終わりを告げる。嵐は自分たちで自分たちの時代に一区切りをつけた。「解散ではない」ときっぱりいった彼らの言葉を信じながらも、ひとつの時代の転換点を私は見逃さずにいたいと静かに心に決めている。