【出版社への道①】私たちが直販を選んだワケ

私たちは2人会社をしています。レゾンクリエイトという、編集やライティングを生業にしている会社なのですが、実はこの度、静かに「出版社」にもなりました。

そして、第1冊目の書籍の予約がついにスタート!
『今選ぶなら、地方小規模私立大学! ~偏差値による進路選択からの脱却~ 』

今回の書籍は、”直販”という流通の形を選びました。

それは、どうしてか・・・?
ここでお話したいと思います。

◆そもそも出版業界の流通って?
出版業界以外の方には、取次を介した出版業界の流通の仕組みってさっぱりわからないですよね。ものすごーく簡単に説明してみます。

出版業界の流通は、<出版社⇔取次⇔書店>となっています。出版社から、書店に直におろしているわけではなく、間に取次が入るんです。トーハンや日販など、企業名を聞いたことがあるかと思いますが、それがいわゆる取次です。

この取次があることにより、地方部にある書店にも隅々「知」が行き渡る。
そんな理念のもと、日本の出版業界は<出版社⇔取次⇔書店>という本のバトンパスにより成り立っていました。雑誌全盛の時代においては、タイムラグなく全国に情報が行き渡ることは非常に重要なことでした。

◆旧来型流通の問題点
しかし、こうした取次を介した流通には、いろいろな問題も起きていたんです。取次はあらゆる出版社の本を、あらゆる書店に届けています。そのため、一社ごと一店舗ごと一冊ごとのわがまま(要望)なんて、なかなかきいていられません。
そのため、機械的にならざるをえないのです。

どういうことかというと、
出版社の新刊が、書店が注文していなくても自然に届くということ。
書店にとっては、「頼んでないのに本が来る」状態。毎日毎日、大量の新刊書が届きます。私は、学生時代書店でバイトをしていたのだが、毎朝戦争状態。何箱も何箱もダンボールを開封しては、並べて、を繰り返す。書店のスペースは限られているので、なかには、書棚に出る間もなく返品になる本すらあるのです。

こうして、毎日毎日大量の新刊が届くのと比例して、毎日毎日大量の本が返品されます。書店からの返本が取次に行き、各出版社に戻る。出版社からすれば、一度たった売上を、取次に返金することになる。本が売れない時代だから、その返金額がバカにならない。返本率は、実に4割といわれているのです。
返本のダメージを埋めるために新刊を出す。返本が多い出版社は、躍起になって矢継ぎ早に新刊を出そうとします。こうして自転車操業に陥ることも少なくないのです。

また、出版社が、「A書店は立地上このジャンルが売れる!」と想定していたところで、取次が配本を握っているので、A書店には1冊しか配本にならなかったりするわけです。
もちろん多くの出版社はそれを想定して、事前に注文をもらって初回から多めに届けることが多いのですが、取次だけで”適正なバランス”を保つのは非常に難しいのです。

つまり、取次機能だけに頼り切ると、必要なところに、必要なものを届けることができないという状態が見えてきたのです。
もちろん、伝統ある大手出版社の大物著者の新刊などは取次も力を入れて、ほしい人の手に届けようとします。さらに、首都圏の大規模書店であれば、売れる書籍の情報も集まり、必要部数が届けられる可能性も高いのです。

◆顔の見えるお取引を
繰り返しますが、私たちは、2人でやっている会社です。間違いなく伝統ある大手出版社ではない。むしろその真逆。なので、旧来の流通形態の中で、なかなか特別に配慮してもらえるようなことは望めないでしょう。当然ながら、自転車操業に耐えられるほどのパワーもありません。

そして、私たちが売る書籍は、”地方”の書店さんにもたくさん届けたいもの。『今選ぶなら、地方小規模私立大学! ~偏差値による進路選択からの脱却~』は、都市部一局集中ではなく、地方部だからこその学びの価値も伝えている一冊だからです。

つまり、私たちの目指す出版に、取次を介した従来の形はマッチしていなかったのです。
そこで、選んだのが”直販”の道でした。書店が「ほしい」と言ってくださった分を、丁寧にお届けします。また、私たちも「この書店さんはこの本がマッチする!」というところに向けて、「是非!!」と情報をお伝えします

この形であれば、顔の見えるお取引ができるのです。

もちろん「待ちの姿勢」でいれば、誰の目にも止まらないまま消えていく可能性すらあります。しかし、「自分たちで届ける」という覚悟を持てば、本当に必要としている方々へお渡ししていくことができるのです

一冊に対して「覚悟を持つ」ということを全うすると、おそらくたくさんの書籍を生み出すことはできません。大量の書籍を出すことを是としてきた出版社とは真逆の価値観をいくものかもしれませんが、私たちは1冊を最後の最後の最後まで売り切るということをしてみたいのです。
だから、本当に出すべき価値があると思う書籍しか世には出しません

ご興味を持っていただいた書店にみなさん、教育関係者のみなさん、そして読者のみなさん、いつでもご連絡をください。必要な方へ、必要な情報が届きますように。そして、弊社がそのお手伝いの一端を担えますように。


(おそらく、「なんで直販をすることができたの?」「そもそも、なんで出版社になったの?」など、ふつふつと疑問が湧いてきたかと思います。これから何回かに分けて、【出版社への道】シリーズをお届けし、疑問にお答えしていきたいと思います。)

いつもありがとうございます!スキもコメントもとても励みになります。応援してくださったみなさんに、私の体験や思考から生まれた文章で恩返しをさせてください。