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佐藤 隆弘(コピーライター)
2019年9月17日 10:33
僕たちは、旅先の知らない道を黒のレンタカーで移動していた。信号機のない海沿いの道を心地よく走り抜け、市街地へ入った時だった。助手席に座っていた彼女が、「前の車、次の信号で左折するよ」と言った。ほどなくして、前の車は次の信号で左折した。「どうしてわかったんだ?」と僕は尋ねた。彼女はふふふ、と笑うだけだった。彼女に特殊な能力がない事は、よくわかっていた。直感が鋭い方でもない。商店街のくじ引
2019年9月4日 16:04
佐渡は二回目だった。心配していた天気も回復し、盛夏を感じさせるような陽が射し込んできた。私たちは黒のレンタカーに乗り込み、青い海と田園そして山並みを満喫していた。「おいしいね」「きれいだね」「たのしいね」普段は、聞き役に回ることの多い彼女が、まるで子供の頃にもどったかのように、思ったことを口にし、はしゃぎ、並んだ料理を口に運んでいた。私は、そんな彼女の様子を写真に収めながら「ここに連れてき
2019年8月19日 22:19
山登りはキツイ。登っている最中は「苦しい、ツライ、頂上はまだか?」そんなことばかり考えている。何時間かけて登っても、頂上にいる時間は一瞬だ。せいぜい20分程度? いや、もっと短い時だってある。そして、登ってきた道を戻らなければいけない。帰宅してからも、筋肉痛やケガなどに悩まされたりして。コスパが悪いこと、この上ない。夏休み、ある山に登った。「苦しいツライ頂上はまだか?」を1