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犬と人生

政教合体に悲鳴を上げたくなる様なインフレという余りにも救い様の無い世の中で、侍ジャパンは我々に束の間の夢を与えてくれた...

という話はまたの機会にして、今日は私が大好きなTVゲームの話をしようと思う。

皆さんは「クラッシュ・バンディクー」という1996年にPlayStation用ソフトとして発売されたゲームをご存じだろうか?

別段存じ上げなくても構わないので、続けて読んで頂きたい。

あれはまだ私が小学生の時分の話である。

当時世間では任天堂64が大流行、皆狂ったように「スーパーマリオ64」や「ゼルダの伝説 時のオカリナ」等をプレイし、正に任天堂コンシューマーゲーム全盛期とも呼べる様な時代であったのだ。(当社調べ)

そんな中私も多分に漏れず64が喉から手が出る程に欲しく、親に強くねだったものである。

しかしあろう事か私の愉快でチャーミングな両親は「任天堂よりSONYの方が絶対に将来性がある!!」という、思えば何の根拠があってその様な理由に行き着いたのかも分かりかねる暴論で私にPlayStationを買い与えたのである。

所詮は子供なので、適当な理由付けをしてもその場を乗り切れるだろうという「大人」の悪い考えである。

当時同級生の間でプレステを所持している者は殆どおらず、皆で遊べば一人だけ「パラッパラッパー」を持参し、周囲から鼻で笑われるという苦い思いをしていたものだ。(いや!「パラッパラッパー」に罪は無いぞ!!普通に名作です)

だが私はそこで諦める様なヤワな男ではなかった。

両親に買って貰えないのであれば...
そう!!天下のサンタクロースならば純真な少年の夢を叶えてくれるだろう!!と思い立った。

そして早速その年のクリスマスイブ、私は自身の願いを実現すべく「サンタさんへのお手紙」なる大変可愛らしいものをしたため、枕元に置いたのである。

サンタクロースの正体を知った今になって考えてみれば、全く滑稽な話だ。

結果はお察しの通りである。

サンタクロースの皮を被った私の両親は「サンタさんが、リクエストされたプレゼントを他の子に間違えて届けてしまったのだろう」という、これまた取って付けた様な理由で私のささやかな願いを打ち砕いた。

その際に与えられたものが私のゲームライフを決定付けた「クラッシュ・バンディクー」なのである。

64を手に入れられず万策尽きた私に、当ゲームの説明書を嬉々として読んで聞かせる母親。

しかし最初はふてくされながらも渋々プレイしてみれば、その絶妙な難易度に独特な世界観、マッドで魅力的なキャラクター達にあっという間に惹き込まれていった。

それからは周囲の同級生が64の話をしようが興味を持たなくなり、プレステを所持する数少ない同士(オス2名)と「バイオハザード」や「真・三國無双」、「サイレントヒル」に「デビルメイクライ」と令和の世でも尚愛される名立たるシリーズの虜になっていったのである。

そして気付けば私も30の大台に乗り、今でもSONYの犬として楽しく愉快なゲームライフを満喫している。

つまりは人生、ふとしたきっかけで思わぬ収穫があるという話なのだ。

ありがとう母。ありがとうSONY。ありがとうクラッシュ・バンディクー。ありがとうプリキュア。ありがとう遠藤有栖。

しかし結果的に私は3DSもSwitchも購入しているので、所詮は面白いゲームをプレイ出来れば何でも良いという安い男なのである。