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スタバとわたしとサービスデザイン

こんにちは! 
アドベントカレンダーになる予定だった記事が遅れに遅れ、やがて年を越しました。まだまだクリスマス気分ですよ…。

気持ちが暗いときに文章を書いてはいけないですね。
投稿するのをやめた記事の出だしは、
「今年もまた人生の1年を消費してしまいました。」でした。
ドネガティブ〜

せっかくの機会なので、明るい話題、明るい未来、すてきなデザインの話を書こうと、自分の中にキラキラした話は無いものかうんうん悩んでいたところ、忘年会で話していたことを思い出しました。

<blink>私は大学4年間スタバでバイトをしていたんですけど、</blink>

見えますか…?このワード。非常にキラキラ(点滅)していますよね。
キラキラしたキャンパスライフも確約されている言葉です。

しかしながら、その実情は「東北のジャスコにあるスタバ」ですので、
非常にあたたかみのあるアットホームな職場でした。
ポイントはイオンじゃなくてジャスコな点ですね。

前置きが長くなりましたが、この記事では、

 「デザイナーの仕事とスタバの仕事は通ずるところがあった」

という点について書いていこうと思います。

「モノ」以上に「コト」を提供する

ウェブのデザイナー界隈においても、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」という言葉が多く用いられるようになってきたころ、私にとっての「○○エクスペリエンス」といえば「ゴールド・エクスペリエンス」か「スターバックスエクスペリエンス」という知識しかありませんでした。ちなみに「ゴールド・エクスペリエンス」はジョジョ第5部の主人公ジョルノ・ジョバァーナのスタンドで、殴ったモノに生命エネルギーを与えることができます。さらに『矢』に貫かれたことによって「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」と進化し、動作や意思さえもすべて『ゼロ』に戻す、究極の能力が追加されます。事象を『真実』へたどり着かせない「終わりが無いのが『終わり』 それがゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」。他者への影響力が非常に強いスタンドですので、使用者ひとりの倫理観や価値観によって善行だろうと悪行だろうと行使されてしまうところが少し怖いですね。

一方で、「スターバックスエクスペリエンス」とは、スターバックスをお客様にとっての『サードプレイス(=自宅ではなく職場でもない第三の場所)』として感じてもらえるような行動やサービス内容です。スタンドではないです。

モノ(=コーヒーなどの商品)』を売るだけではなく、スタバの人や店内、コミュニティを通じて得られる『コト(=レジでの会話や座り心地のいい椅子、地域に根づいたイベントなど)』を提供することで、スターバックスエクスペリエンスをお客様に体感してもらいます。

ペパボでのデザイナーの仕事においても、レンタルサーバーの契約やハンドメイド作品、ネットショップ自体は『モノ』を売ることです。『ペパボの』ウェブサービスがいいんだと言っていただけるような、ユーザーにとっての特別な価値を『コト』として『つくる・みせる・みがく』仕事をするのがユーザーエクスペリエンスを提供することになります。それが、長く続くウェブサービスを担当するデザイナーが大切にしていることなのだと思います。

ユーザーのニーズを探り対応する

これもまたデザイナーの仕事でいうところの「ユーザーインタビュー」や「サービスデザイン」が該当しそうです。

よく「スタバには接客マニュアルがない」と言われますが、確かに接客時における定型文や行動内容はマニュアル本のように共有されてはいませんでした(たぶん現在もそうだと思いますが、現職ではないので念の為…)。ただし、「お客様のためになることを自由に考えて動こう!」というような体のいい言葉ではなく、サービスを提供する際の考え方がしっかりと定められていました。

それが、「接する・発見する・対応する」です。

お客様に声をかけて接し、対話や行動の中からお客様が求めていることを発見し、その要望に対して自分が提供できうる最大限の対応をする。すごくシンプルなことのように思えますが、実際にやってみると「この言い回しだと伝わらないな…」「どうしたらこの人は笑顔になってくれるのか」「無茶振りをうまくいなしてぇ〜」など、同じ人がずっと来店するわけではないので、常にベストなサービスとは何かを模索し、試し続けることになります。

例えば、この考え方に則った対応として「ウェルカムコーヒー」というサービスがありました。商品棚、とくにコーヒー豆の前で長めに佇んでいるお客様がいた場合、

【1. 接する】
一口サイズの紙カップにコーヒーを入れ「よかったらコーヒーいかがですか?」と差し出す。

【2. 発見する】
ここで受け取ってもらえた場合は、「(コーヒー豆を/なにか)お探しですか?」と聞いて反応を伺う。受け取っても飲まないようだったら「牛乳とかちょっといれましょうか?」「すみません、熱かったですかね」など聞いてみる(たまに、飲めないのに受け取ってしまったが言い出せない〜!という方もいる)。受け取ってもらえない場合は、話しかけないでパターンか他の商品が気になっているのかなと推測する。

【3. 対応する】
コーヒー豆に関する相談があれば伺い、ぴったりな銘柄を見つける。「このコーヒーおいしいね〜」など話かけられればコーヒーの説明をしたり、雑談をしたりする。見ているだけだったり、話しかけられたくなさそうであれば「ゆっくり見ていってください〜」「何かありましたらお声がけくださいね」と言ってスッと離れる。

このウェルカムコーヒーの素晴らしいところは、一口サイズのコーヒーを使って接することで、その後の対応を分岐させ、適切な行動をとりやすいところです。また、カップを持っているお客様は誰かがすでに接客済みであるという目印にもなり、「何かお探しですか〜?」と重ね重ね聞くような機械的な接客にならないように考えられているのだと思います。

サービスをデザインする

こういった、ユーザーに限らずサービス運営側の行動もデザインするのが、デザイナーでいうところの「サービスデザイン」であると考えます。すべてのデザイナーが機械的に同じクオリティを提供できるようになることが、サービスにとっての理想の状態かといえば、そうではないでしょう。

「作業」に関しては「誰がやってもできる」と「誰がやってもスピードと品質が同じ」を追求するため、行動が定められたマニュアルやガイドラインが必要になります。デザイナーは作業をするな!というわけではなく、ペパボでのデザイナーの仕事内でも作業は必ず発生しますし、個人的に言うと年賀はがきの振り分けのような無心になれる作業が大好物です。

「我々の仕事はユーザーに最高のエクスペリエンスを提供することだぞ!」という思想を広めてドカン!と一発施策を打ちあげるのではなく、日々通常の仕事をこなしているだけで「ユーザーの要望は満たされ・サービスを運営する人間も手応えを感じられ・サービスを継続するための売上があがる」そういう仕組みを作っていくのが、サービスのデザイナーがさらに求められている「デザイン」の仕事なのだと思います。
デザインでサービスを循環させる。まさに生命エネルギーを与え対象を成長させるゴールド・エクスペリエンスのようです。

スタバとウェブサービスでは、ユーザーに接する時間も情報もできることも違いすぎますが、スターバックスとしての会社のあり方や、ユーザーを観察すること、行動指針に基づく仕事など、サービスを運営するにあたって共通して大事なことであるのだと思います。


自分を棚に上げて大きなことを言ってしまいました。

最後にスターバックスのミッションとバリューが好きすぎるので、リンクを貼っておきます。良い〜
https://www.starbucks.co.jp/company/mission.html


この記事はペパボデザイナー Advent Calendar 2018の19日目の記事でした。すみませんすみません…
20日目は、かわいい、やさしい、すばらしいみずゑさんによる、
おいしい、たのしい、あたたかい。東欧のクリスマスマーケットめぐり – miz_e_ – Medium 
です!

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