マーケティングの理論が教えてくれるベンチャー企業での失敗談①

前書き

マーケティングの本を読むと、前職の失敗が面白いようにマーケティング理論と結びついてくる。
もし、私がマーケティングを学んでいれば、前職を成功に導くことができたのか。おそらくできない。
これから私は、失敗談を振り返り、本で学んだことと照らし合わせてみる。


前職での失敗談(フィクション)

世の中に山ほどある製造業向けにAIを展開する会社のうちの1つである株式会社AIDonyuCompany(仮称)では、新しい営業方法の有効性の検証PJがスタートしようとしていた。発案者はCTOであり、サポートとして営業担当の私と、そのほかエンジニアと営業を合わせて5名ほどでスタートした。

新しい営業方法とは、名付けてピンポイント営業。
顧客企業が出している技術論文を読み、課題を吸い上げ、それに対するAI活用案の提案を検討し、担当者にアプローチするというものだ。
銀行経由で顧客にリーチしていたがアプローチ先が飽和してきた弊社にとって、新しい顧客開拓ルートになるのではないかと社長も期待を寄せていた。

このピンポイント営業がうまくいったかどうかを検証するために、KPIの設定が必要と私は考えた。
過去に、社長の一声で、~という顧客がいるに違いないので、~という方法でやってみようと始まったPJはすべて、"成功も失敗もなく終わってしまっている"という経緯があったからである。

というわけで、PJのタスクを大きく4つに分けた

  1. 提案先選定

  2. アプローチ方法検討

  3. 目標設定

  4. 振り返り

この中で、まず課題となったのがアプローチ方法検討であった。
思いついたアプローチ方法と懸念点は以下の通りである。
A. 新規チャネル:技術論文に記載されているメールアドレスに連絡
 懸念点)
 ・そもそも急にメールが来ても見ないのではないか
 ・メールアドレスが常に書かれているわけではない
 ・担当者レベルにしかつながらないので予算がない
B. 既存のチャネル:関係がある担当者からつなげてもらう、銀行経由で紹介してもらう
 懸念点)
 ・ピンポイント営業という新しいルート開拓というコンセプトからずれる
 ・本当に紹介してもらえるかはわからない
 ・紹介してもらうのに手間がかかる

懸念はあるものの、まずは2で選定した提案先の中で、Aで手早くアプローチできるものからやっていこうということで決まった。

ここまでは良かった。

次に課題となり、結局過去のPJ同様に検証ができなかった原因となったのが、目標設定のタスクである。
私はここで、2つの失敗をしたと考えている。

  1. 全員のコンセンサスを得ようとした

  2. 迅速なPDCAサイクルを回すことができなかった

失敗1. 全員のコンセンサスを得ようとした

目標設定としてKPIの検討を始めた。
KPIとしては成約率が最も良いと考えた。
銀行経由での顧客の成約率のデータはあるので、そことの比較を行うというシンプルな理由である。
これに対する反論は様々上がった。
・そもそも母数が違いすぎる
・成約率以外の要素も考慮して成功か失敗かを考える必要がある

それに対して、私は何とかしてみんなの意見をまとめることができないか検討したが、うまくまとまらなかった。
結果として、ピンポイント営業のコンセプトと目標設定は一貫したものができなかった。

失敗2. 迅速なPDCAサイクルが回せなかった

全員のコンセンサスを得ようとした結果として、計画からなかなかアクションに移ることができず、CTOが進捗の遅さにいら立ちを感じ始めた。そこで、CTOは良かれと思い社長とコンタクトをとり、相談のための打ち合わせを設定した。
この打ち合わせでは案の定、とりあえずやってみようの社長と目標を定めてからスタートしたい私との対立が生まれた。
議論がまとまってはいないが、とりあえずやってみようの方向で進めることとなった。
計画段階でぐだぐだと長引いた結果、私は別の業務との兼ね合いでPJを抜けることになった。
引き継ぐ前に、メールを開いてもらう確率を上げるためにCTOから直接メールを送る策で決定し実行に移すようにお願いしたが、そこから先どうなったかは社内の誰も把握していない。


いかがでしょうか?
目標設定を明確にしスタートするところまでは良かったが、いつまでたっても実行に移さないとタイムオーバーがオチである。

種類は違えど同じ要素が登場する話は、100円のコーラを1000円で売る方法2(本記事ではコーラ本2と呼ぶ)にもある。
1章:業績悪化の犯人は誰だ?ー日本型コンセンサスの落とし穴
3章:実験は「結論」からはじめろーPDCAの本質とストーリー戦略
これをもとにそれぞれの失敗に対してどのように対応すればよかったのかを検討してみる。

対策:賛同してくれる一部メンバーでスモール検証を行った結果を報告する

コーラ本2では、商品企画部に所属する主人公の久美が、ローンチした会計ソフトの売上低迷を打開するべく、営業本部、技術部、開発部の重役を含む全社チームのリーダに抜擢されたが、まったく話がまとまらないところからスタートする。
この後の章で、結局久美はまず自分なりのストーリーを構築した後に、それをスモールで検証し、こいつらを黙らせる結果を出し、社長に合意を取ったうえで、チームを無理やり納得させた。

私も同じように、スモールで検証する計画を考えて、数名でスタートするべきであったと考える。
ただ、社長に合意形成を取ると社長のフィルターで曲解された結果が社員に伝わってしまう恐れがあるため、全社会議で社員全員に向けて合意形成を図ったほうが良いと考えた。

終わり

初めて試みたので、流れが悪い部分も多々あると思いますが、ご容赦ください。今後も続けていきます。

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