スピロメーター
スピロメーター、またはインスピロンと呼ばれる器具(上)と、トリフロー(下)。
効果・目的
身体の「外側」での空気の動きを視覚化し、身体の「外側」での空気の動きに意識を向けコントロールすることを通して、
特に、アーティキュレーションを含むフレーズでの息の流れを養うことができます。
抵抗を調節できることが、この器具の特徴です。
(本来の医療器具としての使い方の通り、息の吸い込みにも使用できますが、ここでは息の吐き出しの練習のみに焦点を当てます。)
使用方法
■マウスピースなしでの練習
・付属のホースを本体に取り付け、
(ホースにマウスピースを差し込んで行うとより実際に近い状態で練習できます。)
・逆さに持ち
・息を流して、中のボールが一番上に来るようにします。
(この時、身体を硬くして無理やり強い息を押し込む必要は全くありません。リラックスし楽なままでも「流れ」があればボールは上がります。)
・任意のアーティキュレーション(単純なタンギングや実際の音楽フレーズ)をつけても、常にボールが一番上にあり続けるようにします。
身体の「外側」の空気の流れを意識しコントロールします。
(タンギングの度にボールが上下する場合、舌によって空気の流れが妨げられている事を意味します。)
※この時の抵抗の調節(本体のダイヤル目盛)は、トランペットの場合4~5くらいが適切です(クリスティアン・スティーンストロプ氏のマスタークラスによる)。
■マウスピースを付けてバズをしながらの練習
・マウスピースを本体に取り付け
(トランペットは本体に直接、トロンボーンやチューバは本体にチューブをつけ、そこにマウスピースを入れる)
・本体を逆さに持ち
・マウスピースでバズィングしながら、中のボールが一番上に来るようにします。
・任意の音(単純なロングトーンやタンギングから、実際の音楽フレーズまで)をマウスピースでバズィングしながら、常にボールが一番上にあり続けるようにします
(ボールが上がらない場合、唇とのバランスにおいて息の流れが不足している・唇が必要以上に締め付けられていることを意味します。また、タンギングの度にボールが上下する場合、舌によって空気の流れが妨げられていることを意味しています。)
※この時の抵抗の調節(本体のダイヤル目盛)は、
トランペット:4~5
トロンボーン、チューバ:8~12
が適切です(クリスティアン・スティーンストロプ氏のマスタークラスによる)。
練習の際のポイントとしては、
・身体は固めずに放任しておき、動くがままに任せる
・ピンポン玉が上がった状態を目で確かめながら、空気の動きや質を実体としてとらえる
・チューブから筒の中での空気の動き、つまり身体の「外側の」空気の動きを意識し、コントロールする(それによって結果的に身体は適切に動く)
という点です。
このことについては、「なぜ器具を使った練習をするのか?」を必ずお読みください。
器具使用のねらいを知らないままに練習しても、期待される効果を得ることができません。
残念ながら、日本でのウェブ上の情報は動画を含め、器具使用のねらいや意味を正確に伝えていない状況にあると思います。
使用の原則は他の器具と同様ですが、スピロメーターでは特に、アーティキュレーションを含む際の息の流れを確認することに役立ちます。
例えば、連続するタンギングが滑らかにいかない場合、ダブルやトリプルタンギングがうまくいかない(またはKが弱くなる)などといった場合に、息の流れがいかに不十分であるのかを明確に知ることができ、良いコントロールへ向かうことに非常に役立ちます。
■動画
実際に使用している様子の動画をご覧下さい。
ジェイコブスの直接の生徒であり、ジェイコブスの教えを引き継いでいるクリスティアン・スティーンストロプの動画です。
これは有料配信のマスタークラス動画の一部サンプル動画であり、全編ではありませんが、0:34からが、スピロメーターの説明と実演(のごくごく一部)です。
このサンプルでは、息を吸う事も含めた方法の部分が使われていますが、全編では、それは強調されている部分ではありません。
全編では、マウスピースをつけない方法とつけてバズィングしながらする方法とを、実演しながら丁寧に説明しています。
また、以下のスティーンストロプ氏のマスタークラス(のサンプル動画)でも、スピロメーターの使用を見ることができます。
1:50から、スピロメーターの使用の様子です。ピンポン玉が上がっていない状態でのデモンストレーションの後、(一瞬びっくりな映像をはさんで、)ピンポン玉が上がっている状態のデモンストレーションとなっています。
■購入リンク
・ジャパン チューバセンター
・Amazon
など
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