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賃金は上がるものではなく、自分で上げるもの
最近、初任給を引き上げる日本企業の報道が増えてきました。未来ある若者が社会に出る際に心強いサポートになるため、喜ばしいニュースと思います。
一方で、主にSNSを通じて、既存の社員から不満の声も聞かれます。
「当時は初任給もずっと安く、継続して今も給与が大して上がらない」
「なぜ自分たちの給料は上げてもらえないのに、若者の初任給は上がるんだ(怒)!」
感情としては分からなくもないのですが、これらの意見にはちょっとした違和感を覚えます。理由は「賃金は需要と供給で決まる」からです。
労働市場における需要と供給
企業が新卒の初任給を引き上げる理由の一つは、若者人口の減少によって「若年層という労働力の供給」が逼迫しているためです。かんばつで農作物が不作になり、レタスの値段が高騰するのに似ています。
反面、既存のベテラン社員、特にホワイトカラーについては限られた役職数に対して、中高年層の数が多く、企業側は給与を上げなくても労働力を確保できる状況です。
結果として、需要量に対して供給が限られている若者の初任給が上がり、需要過多のベテラン社員の給与は据え置かれるという構造が生まれます。これは資本主義経済の原則に則っているため、ある意味では妥当といえます。
供給過多グループの人材から希少人材へ
しかし、既存の社員でも「実質賃金を上げる」方法はあります。ポイントは「需要に対して供給が足りていない人材になる」ということです。
たとえば、英語力。営業社員であればビジネス英会話力を身につけることで、国内だけでなく海外営業への道をひらくことができます。経理社員なら英語と英文会計を学ぶことで、海外支社への異動や外資系企業への転職という新たな選択肢も生まれるかもしれません。
特に日本は英語でコミュニケーションができる人材の数が限られているため、語学と長年の業務経験と知識を掛け合わせれば希少人材になれます。需要が高い割に、供給が少ない労働市場を狙えば、より給与の高い会社への転職もできます。
効率化スキルで「実質の」賃金を上げる
また、語学や資格取得だけが道ではありません。業務効率を上げることでも実質の賃金を上げることができます。今の時代ならAIをうまく使いこなすことで、作業効率は飛躍的に上げられます。
たとえば、これまで営業部門で数人の社員が丸2日かけて用意していた営業先への提案書を、AIを活用することで、大幅に短縮することも可能です。情報収集から競合分析、提案書のひな形作成までを営業マンが1人でAIを使って一気通貫で数時間で仕上げることも夢ではありません。
業務に携わる時間が減っても給与が今までと同じなら、その分時間あたりの賃金は上がったことになります。浮いた時間で休息をとったり、他のスキルを学んだり、副業に挑戦することもできます。
具体的にどんなアクションが効果的か
英語の習得
今は安価で語学を習得する方法が複数存在します。YouTubeやポッドキャストを検索すると、学習教材は無数にあります。また、双方向の会話学習をしたいのであれば、オンライン英会話レッスンをおすすめします。
海外経験のない友人はフィリピン人教師とのビジネス英会話レッスンを履修しました。1時間のレッスンを週に4日。これを1年間続けたところ、外人との会議や英語でプレゼンテーションができる程度に英語力が向上しました。
また、今はAIがあります。Chat GPTの音声認識機能が格段に向上したため、スムーズな英会話がいつでもどこでも可能になります。ネイティブの発音でAIがあなたの都合の良い時に相手をしてくれますので、より安く効率的に英会話学習ができます。
AIを使いこなす
最初はChat GPTのような身近な生成AIツールを「試しに触ってみる」だけでもOKです。とりあえず、自分が直面している課題についてAIに直接打ち込んで、相談してみましょう。
自分が苦手な作業を代わりに依頼しても構いません。試行錯誤するうちに、AIが得意なこと、苦手なことが理解でき、自分が丸投げできる仕事、自分でやった方が良いことが浮かび上がります。そうこうしているうちに、AIを使うことで、より短い時間で高いアプトプットが出せるようになっていることに気づくでしょう。
まずは、「少しのお金と時間」を初期投資して、AIを使い始めることをおすすめします。
さいごに
賃金はおおむね「需要と供給」で決まるものであり、黙っていて上がるものではなく、自分から能動的に上げるものと言えるでしょう。希少スキルを身につけることで「労働市場で稀有な人材」になったり、業務効率化で「実質の賃金」を上げるなど、できることはたくさんあります。
労働市場の需要と供給の状態を見極めながら、人材の供給が足りないところに自分の知識や経験を当てはめ、必要に応じて新たなスキルを習得していく。そうした姿勢が異動や転職を可能にし、結果的に収入をあげることにつながります。
以上になります。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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