損をしない意思決定の方法
何かを決めるとき、誰もがそのメリットとデメリットを比較します。それ自体は良いのですが、一般的なメリットとデメリットだけに注目していると、あとで「なんでこんな選択をしたんだろう」と後悔することがあります。理由は事前のチェックが抽象的すぎて、自身の具体的な状況にそぐわないからです。
そこで、アップサイド(得られる最大の利益)とダウンサイド(起こり得る最悪のリスク)を具体的に考えることをおススメします。この視点を持つだけで、損得のバランスが見えやすくなり、悪い選択、すなわち悪いディールを間違って選ぶことを避けられるようになります。今回は、日常的なケースから極端な例まで3つの状況を通じて、この考え方を掘り下げてみたいと思います。
1. スマホの使い方を見直す
一般的にスマホは便利な道具です。いつでもどこでも情報を調べられるし、SNSや動画でリフレッシュもできます。でも、だらだらと使いすぎて気づけば1時間、2時間…早く寝ようと思ったのに、もうこんな時間なんてことありませんか?
ここでスマホのアップサイドとダウンサイドを具体的に考えます。
アップサイドは、必要な情報を瞬時に得られること。受験生は英単語の意味や構文をネットですぐに確認できるし、営業マンも訪問前に取引先の情報を簡単に仕入れられます。
一方、ダウンサイドは、目的意識もなく無駄な時間を浪費し、勉強や仕事の時間を奪われるリスクがあることです。これが積み重なると、受験生は将来の進路を断たれたり、社会人はキャリアアップを諦めざるを得なくなったりと長期的に悪影響が生じます。
これを良いディールにするには、どうしたら良いか。厳しいコントロールが求められます。たとえば、「勉強やリサーチのアプリだけしか起動できなくする」、「1日の中で、通知をオフにする時間を設定して誘惑を減らす」などです。
2. 闇バイト(悪いディールの典型例)
最近ニュースでも取り上げられることが増えた「闇バイト」。高額な報酬を短期間で稼げると誘われ、安易に参加してしまうケースが後を絶ちません。一見、魅力的なディールに見えるかもしれませんが、実際にはアップサイドとダウンサイドのバランスが極端に悪い典型的な例です。
アップサイドは何でしょう?短期間で高い報酬を得られる「可能性がある」ことくらいでしょうか。しかし、ダウンサイドは圧倒的に重いです。犯罪に関与すれば逮捕されるし、前科がつきます。社会的信用を失うだけでなく、家族や友人、キャリアをすべて失う可能性もあります。強盗に関わったとなると、最悪の場合、無期懲役や死刑判決を下されることもあり、人生を丸々棒に振ってしまうリスクさえあります。
親は子供に、行動する前にそのアクションが長期的な視点から、自身にとってどのようなアップサイドとダウンサイドが具体的に生じるかを考える癖をつけさせてあげましょう。
3. 健康への投資(運動の習慣化)
一般に健康のために運動を始めるのは良いことです。でも、やみくもに始めると、思わぬリスクを招くこともあります。例えば、マラソンを始めた人が膝や腰を痛めてしまうケースは少なくありません。そこで、一般的な運動のメリットだけにとらわれるのではなく、ここでもアップサイドとダウンサイドを整理してみます。
アップサイドは、体力がつき、ストレスが減り、健康寿命が延びること。病気の予防にもつながり、快適な人生をおくれるようになることです。
一方、ダウンサイドは、怪我のリスクや、無理な運動による体への負担です。特に、間違ったフォームや過度な負荷で膝や腰を痛めたら、運動はおろか日常生活にも支障がでてしまいます。
そこで、運動を「良いディール」にするために、まずは無理のない範囲で始めてみます。例えば、ウォーキングや軽いストレッチから始め、体が慣れてきたら少しずつ負荷を増やす。また、フォームを専門家にチェックしてもらうことでダウンサイドである怪我のリスクを減らせます。
さいごに
どんな選択肢にも、メリットとデメリットがあります。ただし、一般的な比較だけでは見えないことが多いため、より踏み込んで、アップサイドとダウンサイドを具体的に考え、自分にとってのバランスを見極めた方が、より正しい選択をする確率が高まります。
この視点を持てれば、闇バイトのような極端にダウンサイドが大きい「悪いディール」を選択することを避けらます。また、運動については、健康というアップサイドを得ながら、ケガのリスクというダウンサイドを自身で回避していくことで、「良いディール」にすることができます。
何かを始める意思決定をする際は「この選択で得られる最大の利益は何か?最悪のリスクは何か。自分はそれを許容できるか?」を事前に確認してみてくださいね。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
おまけ
正しい意思決定をするために、一般的なメリット、デメリットをだけでなく、自身にとっての具体的なアップサイドとダウンサイドを検証することが必要なことは理解したものの、はっきりいって手間がかかりすぎるなぁと感じたあなた。そんな時こそ、我々にはChat GPTがあるじゃないですか!
ここではChat GPT 4oに検証と提案を依頼したプロンプトとChat GPTからの回答内容を貼り付けておきますね。2つのケースについて、ご参考までにどうぞ。
1. NVIDIA株の空売り
ChatGPTからの回答
NVIDIA株の空売りを検討する際、一般的なメリットとデメリットを以下のように整理できます。
メリット:
価格下落時の利益: 株価が下落すると、売却価格と買い戻し価格の差額が利益となります。
ヘッジ手段: 保有株の下落リスクを相殺する目的で利用できます。
デメリット:
無限の損失リスク: 株価が上昇し続けると、損失が無限に拡大する可能性があります。
借株コスト: 株を借りる際の手数料や金利が発生します。
強制買い戻しのリスク: 株価急騰時に証券会社から強制的に買い戻しを求められることがあります。
これらを踏まえ、NVIDIA株の空売りにおける具体的なアップサイドとダウンサイドを検討します。
アップサイド:
短期的な株価下落による利益: NVIDIAの株価が短期的に下落すれば、売却時と買い戻し時の差額が利益となります。
ダウンサイド:
株価上昇による無限の損失リスク: NVIDIAはAIチップ市場での強い需要を背景に、株価が上昇する可能性があります。
市場の強気予測: 一部のアナリストは、NVIDIAの株価が今後さらに上昇すると予測しています。
高いボラティリティ: 株価の変動が大きく、予測が難しいため、損失リスクが高まります。
これらの要素を総合的に考慮すると、NVIDIA株の空売りはダウンサイドのリスクが大きく、アップサイドの利益が限定的であると判断されます。したがって、現時点でNVIDIA株の空売りは推奨できません。投資判断を行う際は、最新の市場動向や専門家の意見を参考にし、慎重に検討することをお勧めします。
免責事項:
当記事は特定の銘柄の投資を奨励するものではありません。また、内容の正確性を保証するものでもありません。投資はご自身の判断で自己責任でお願いします。
より軽いケースも貼り付けておきますね。
2. 妻からの相談:ロエベのカバンかおしゃれなダウンジャケットか
Chat GPTからの回答
ロエベのバッグ vs おしゃれなダウンジャケット: アップサイドとダウンサイドの分析
奥様がロエベのバッグを購入するか、同じぐらいの値段のおしゃれなダウンジャケットを購入するかで悩まれているとのこと。それぞれの選択肢について、具体的なアップサイドとダウンサイドを検証し、リコメンデーションを提案します。
1. ロエベのバッグを買う場合
アップサイド
満足感とステータス: 長期間愛用することで、毎回使用時に満足感を得られる。
リセールバリュー: 状態が良ければ、中古市場で一定の価値を保つ可能性がある。
ダウンサイド
リセールリスク: トレンドが変わると価値が大幅に下がるリスク。
実用性の制限: 日常使いであまり活躍しない可能性がある。
2. おしゃれなダウンジャケットを買う場合
アップサイド
快適性: 冬の間、暖かさと快適さを保ちながら使用できる。
高級感: 存在感のあるデザインで、着るたびに満足感を得られる。
ダウンサイド
シーズン性: 使用期間が冬に限定され、1年を通してのコストパフォーマンスは低い。
リセールリスク: 使用後のリセール価値がバッグに比べて低い。
提案
現在の状況(バッグかジャケットで悩み中)を踏まえると、以下のような提案が考えられます:
1. 実用性を重視するならおしゃれなダウンジャケット
冬季に必要な防寒具が揃っていない場合や、今すぐ快適さが求められるなら、おしゃれなダウンジャケットが適切です。ただし、長期的なコストパフォーマンスは低いため、将来的な買い替えを考慮してください。
2. 資産性とステータスを重視するならロエベのバッグ
バッグは季節を問わず使え、資産としての価値が比較的高いため、長期的な満足感を得られる選択です。リセールバリューを考えると、トレンドを超えたタイムレスなデザインのバッグを選ぶとリスクが減ります。
最終提案
予算内でどちらも実現可能なので、どちらを使う機会が多いかを基準に選ぶのがおすすめです。バッグの方がシーズンを問わず使用できるため、トータルで考えるとロエベのバッグの方が「より良いディール」になる可能性が高いです。
奥様のライフスタイルや好みによる最終判断も大切ですので、一緒に話し合いながら決めると良いと思います。
注:妻にこの結果を見せたところ、説得力のある分析に感心していました。ちなみに、本人の稼ぎで買うため、どちらに転んでも、私にはいかなるリスクも発生しません😊