ベンチャーキャピタルの「知財意識」に関する課題
指摘内容が正反対な残念なベンチャーキャピタル業界・・・
外部資金調達を必要とするベンチャー企業経営者にとって、ベンチャーキャピタルなどの投資家と接し向き合うことは重要であり、どのように応答すべきかを日々試行錯誤されていると思います。
ベンチャーキャピタルのみならずエンジェル投資家なども含めた投資家サイドの一般的な問題点の一つとして、その層が一気に広がったためか、「知財」ひとつとっても正反対のことを言う人がいるのが現状だと思っております。参考記事でも紹介されているように、以下のような傾向があると思います。
投資家の知財に対する傾向
1)過去に知財関連ディールでの成功事例を持つ投資家は、知財ポートフォリオ価値の高いベンチャー企業への投資を好む傾向がある。
2)特許訴訟での失敗ディールを経験している投資家は、投資前にFTO調査を実施する傾向がある。
3)知財が評価されたM&Aディール経験を持つ投資家は、次の投資先にも知財戦略立案・実行を強く要求する傾向がある。
4)失敗ディールにおいて知財での投資回収が何もできなかった投資家は、知財は「無意味なツール」であると判断する傾向がある。
5)「営業秘密」での成功経験を持つ投資家は、次の投資先にも同様の戦略を求める傾向がある。(もちろん、「特許」がなくとも成功する案件はある。)
残念ながら特許は売上への即効性は低い
特許は売上をすぐにもたらすわけではないので、目先の売上や事業進捗を強く気にする投資家は、基本的に特許を軽視する傾向がありますね。
このように、言われることがバラバラだとベンチャー企業経営者は、どの様に対応すべきか混乱してしまいますよね・・・。申し訳ありません。
知財戦略立案、実行は重要
ただ、ご安心ください。一つ言えることは、知財をしっかりと意識し、その成功経験、失敗経験を持つ投資家は、同じことを言います。
「事業戦略とマッチした知財戦略の立案、その実行は極めて重要である。」
知財戦略の重要性を知る者としては、金融業界全体に対する啓蒙活動も重要だと考えています。つまりは、以下の2つのことを世の中に数多く提示し続けることが必要ですね。
1)知財の成功ディールを増やすこと
2)失敗ディールにおいて、知財での投資回収を実現すること
もちろん、1)ばかりだといいのですが、現実問題、2)も重要になると認識しており、投資先企業様とは「ゆりかごから墓場まで」のお付き合いが必要になると考えております。ただ、もちろん個社ごとに強弱はありますよ。(笑)