天乃原 智志

地球人。日本在住。 自作の短編小説を掲載してゆく予定です。 よろしくお願いします。 感想などありましたらX(旧Twitter)にいただけると嬉しいです。  → 天乃原智志@amanohara3104

天乃原 智志

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最近の記事

山登りの話(つづき)

今回は友人らと北アルプスへ登った思い出です。 バナーの写真は燕岳(つばくろだけ)から筆者が撮影しました。   2 北アルプス  B君といっしょに登ったのは、その一回切りですが、A君とは一年半後、夏の北アルプスに登っています。標高2,763メートル燕(つばくろ)岳です。このときは、私の中学時代のクラスメートのC君もいっしょでした。  C君が立てた登計画にしたがい、麓の宿に一泊して、翌朝早く出発。山頂を目指しました。夏山シーズンとあって、私たちのほかにも登山客がたくさんいた

    • 山登りの話

      奥多摩  「登山」という言葉を文字通り「山に登ること」と定義するのなら、私は小学校に上がるころから登山をしていたことになります。でも、多くの人がイメージするような、「町から遠く離れた自然の中を山頂目指して登っていくこと」に限るならば、私の登山初体験は、奥多摩でした。  奥多摩は東京都多摩地区の西の端、埼玉県や山梨県と接するあたり。初めてJR奥多摩駅に降り立った時は「ここが、星飛雄馬が山籠もりした場所か」と感動しました(単行本で読んだ『巨人の星』の中にそういうくだりがある)

      • 【日記】11/04

        最近いろいろと“事が多い”です。気温の急変もあってか、全身から力(ちから)が抜けちゃってる感じですが、面白いこともあったので、それを書いておこうと思います。 ■東濃の栗きんとん食べた。 たしか新聞で読んだのですが、「栗きんとん」と聞くとお正月の重箱の隅にある、黄色くてねっとりした食べ物を連想する人が多いとか。しかし、岐阜県の東濃地方──美濃地方東部では、ほぼ栗100%のお菓子のことを言います。先日買いに行った和菓子屋さんで許可をもらったので、ここに写真を掲載、したいのです

        • 押すべからず

          (あらすじ)  ある会社に泥棒が忍び込み金庫を開けるが、そこには意外なものがあり……  「関係者以外立ち入り禁止」、か。こういうところにこそ用があるんだな、オレは。この程度の鍵、チョチョイのチョイっと。  次は「特別メンバー専用」、ね。オレもある意味特別だよ。ここは、この合鍵で……おじゃまします。  なに、警報装置作動中? おあいにく様。そんなものは、とっくに無効化してある。  この通路をまっすぐ進み、ここで左に折れて、次を右。そして、この部屋のどこかに──あった。隠し金

          【雑談】土鬼(ドルク)の科学者たちと生成AI

          昨今の生成AIについての話を見聞きしていて、『風の谷のナウシカ』を思い出すことがあります。 土鬼(ドルク)の科学者たちが、大発見だとか自分の計算通りに粘菌が育ったとか大はしゃぎして、それを見たチャルカが不愉快になるシーンです。         * 世の中にデジタルコンピュータが広まって以降、いろんな人がいろんなソフトウェア、いろんなシステムを創り出して来た。良い物にしろ、悪い物にしろ。 だから、新しいAIが登場したことを不思議とは思わないが、創り出した人たちも、そのAIを

          【雑談】土鬼(ドルク)の科学者たちと生成AI

          【雑談】生類憐みの令、動物愛護

          世の中の風潮を「嫌だな」と感じた人が行動を起こして風潮を変えた──こんな事例はいろいろあるようです。 以前に視たテレビ番組によれば、徳川綱吉は殺伐とした世の中が嫌で、生類憐みの令を出したのだとか。 当時、巷には関ケ原の合戦の空気が残っていて、世は殺伐としていた。それを変えたいと思い、綱吉さんは「犬を大切にしなさい」というお触れを出した。 やがて、みんな犬をかわいがることを楽しむようになり、町の空気が穏やかになっていった──こんな話だったと記憶しています。 もちろん、私は

          【雑談】生類憐みの令、動物愛護

          【雑談】猛暑酷暑と毛ばり釣り

          天気予報に「猛暑日」という言葉が登場してから何年になるでしょうか。 今年は特に暑くてお彼岸を過ぎても最高気温は30℃を超えていました。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は、今まではこうだったのに今年は・・・という比較に用いられたようです。 今年の夏は時間ができたので、友人と山間部へ遊びにいくつもりでした。 大好きな渓流釣り。 この何年かは毛ばりを使っています。今回は天然素材の糸を釣り糸として毛ばりに結び、どうなるか試してみるつもりでした。 ところが。 連日の「熱中症警戒アラ

          【雑談】猛暑酷暑と毛ばり釣り

          プチ短編 第5話 「うでふりおじさん」

          <あらすじ>  「うでふりおじさん」は毎朝、決まった時刻に神社の前にやってきます。ところが、ある日をさかいに姿を見せなくなりました。心配した子どもたちは……。  うでふりおじさんは背が高くて四角い顔をしています。そして、いつも丸くて大きなめがねをかけています。  七十歳を過ぎているのに、だれもおじいさんとは呼ばず、うでふりおじさんといいます。  それは、毎朝うでを大きくふりながら歩いているからです。  「おはよう。」  「おはよう。」  神社の前に子どもたちがあつまってき

          プチ短編 第5話 「うでふりおじさん」

          プチ短編第4話『首都防衛ライン』

          あらすじ 二十一世紀後半。日本のある地方で未知の病気が発生する。 東京を守るために「首都防衛ライン」がつくられるが・・・ 二十一世紀後半のある年、日本のある地方で未知の病気が発生しました。患者が徐々に増えていきましたが、原因も治療法もわからりません。感染症かどうかすら、わかりません。だから予防法もわかりませんでした。 発症すると動くことも大変になって寝込んでしまう──わかっているのは、これだけです。  この病気はほかの地方にも広がっていきましたが、どこの道府県でもパニッ

          プチ短編第4話『首都防衛ライン』

          プチ短編 第3話 「タイムマシン」

          <あらすじ> 有名なあのクーデーターは、なぜ起きたのか? 真相を知るために科学者と歴史学者はタイムマシンで戦国時代へと飛ぶが・・・ 科学者の男がタイムマシンを発明した。 「このタイムマシンは未来へ行くことはできないが、過去の世界へ行って戻って来ることはできるんだ。」 「本当に戻って来られるの?」歴史学者の女性が尋ねた。   科学者が説明する。 「戻れるとも。ただし出発したその時点に戻るんじゃないよ。行きに遡ったのと同じだけの時間を帰りに進むことになるから。」 「つまり、過去

          プチ短編 第3話 「タイムマシン」

          おばけの話(中編)

          (あらすじ) 私、佐藤響子は弟の浩司とともに鈴木夫妻の引っ越しの手伝いに行っている。仕事を終えお茶を飲んでいたら、ひょんなことから、おばけ談義をすることとなり・・・       3  悟さんは大きく息をつき紅茶を一口飲むと、「響子さん、幽霊はともかく、おばけなんかこの世にいないよ。」と言った。「もし、いたとしても新種の生物として登録されるだけだ。」  私は悟さんの発想にあきれてしまった。  おばけがいたら新種の生物、だなんて! この人は科学専門のコンピューターか!?   す

          おばけの話(中編)

          【雑談】「東京」と わたし

           私は地方生まれの地方育ちだが、幼いころから「東京」に洗脳されて育った──洗脳という言葉を使うとギョッとされるかも知れないが、「東京」というものを刷り込まれながら育ったことは否めない。  特撮番組にはしょっちゅう東京タワーが出て来たし(スカイツリーはまだなかった)、懐メロ番組では『東京だよおっかさん』という歌を何度も聞いたし、刑事ドラマには桜田門こと警視庁がなんども映ったし、アニメの舞台にもなった。  いま思えば、テレビを通して「東京を見る」ように仕向けられていたようなものだ

          【雑談】「東京」と わたし

          「君たちはもっと本を読むべきだ」

           今回書くのは私の創作ではありません。故人の言葉の紹介です。  その方はT田先生、私が高校一年の時のクラス担任。英語の先生で、たしかフランス語もできる方でした。  細身の男性で、顔もどちらかというと細長くとがった感じで、今思えばシャーロック・ホームズの役が似合いそうな人。そうそう、喋り方も特徴的で、テレビで視たホームズに雰囲気が似ていた気がします。  その先生があるとき、クラスのみんなにいいました。  「君たちはもっと本を読むべきだ。作家が何年もかけて書いたものを、わずか

          「君たちはもっと本を読むべきだ」

          【日記】9/1防災の日

          ■ありがとうございます。  noteを始めてひと月近くになります。記事を読んでくれたみなさん、「スキ」を押してくださったみなさん、ありがとうございます!  noteの世界で感謝の気持ちをどうお伝えすればよいのかよくわからないので、この場でお礼を言わせていただきます。 m(_ _)m   ■元・台風10号  今日は月の初め、日曜日、防災の日。あと、手元の本によれば富山県で「おわら風の盆」が始まる日だとか。しかし、元・台風10号が心配です。 風速が17m/sを下回ったので呼称が台

          【日記】9/1防災の日

          英語と日本語とフランス語──ゆうばり航海記より

          P.N. 天乃原智志 (あらすじ)  海洋調査船〈ゆうばり〉に四人の中学生が乗り組んでいる。四人のうち三人──堀内穣次、香川真司、御手園愛(みたぞの・あい)は同じ中学から、やって来た。夏休みの体験学習だ。もうひとりは木埜(きの)あすか。三人は〈ゆうばり〉に乗って初めて会った。  〈ゆうばり〉は日本の船だが海外の科学者が大勢乗り込んでいる。穣次と真司はこの機会に英語を勉強しようと意気込むが──。  「船酔いが大したことなかったのは幸いでした。」菱見小百合が船長の速水に言っ

          英語と日本語とフランス語──ゆうばり航海記より

          空襲の記憶⑦(終)

          [6]   平成18年(2006年)、夏。   この話を初めて聞いて、安原愛は言葉を失くしているが、やがて 安原愛  「そんな……ひどい……」 安原智史 「だから戦争はおきてはいけないんだよ。」   ややあって、 安原愛  「それで、よし恵先生とその友だちは助かって、もうひとりの      お友だちはどうなったんですか?」   安原智史と内田かず恵の表情が変わる。   翌昭和52年(1977年)夏、よし恵の病室。 美奈   「……それで、もう一人の友だち──町子さんは

          空襲の記憶⑦(終)