お迎え
私が通っている会社の近くの横浜の公立小学校では集団登校をやっていません。たいてい二人組の子供たちが楽しそうに朝、学校へ向かって歩いています。一人の子もいます。姉弟で通っている子供たちもいます。昔のように旗を持った班長を先頭にして一列に並んで登校する風景は、私の中では過去のものとなってしまいました。もちろん地域によっては大人が見守る中、そのように登校している子供たちもいるでしょう。
集団登校には当然メリットもありますが、友達関係が難しかったり、突出した個性に振り回されてしまうなどデメリットもあるかと思います。最近よく聞く車の事故に巻き込まれてしまうと、集団登校ではダメージが大きい場合もあります。議論が盛んになり、いろいろと選択肢が出てくるのはよい事だと思います。あくまでも子供優先で考えた場合に、です。
さてお迎えについてですが、保育園や、幼稚園はお迎えが必要です。お迎えは職員の先生や、他のお母さんと交流し情報を得るいいチャンスです。園によっては、ぐずぐずしないで速やかに立ち去ってください、というところもあると思いますが、是非自分の子供の様子だけでなく園や他の子供やお母さん方の様子も観察していただきたいと思います。挨拶だけでもいいでしょう。短い挨拶ほど、ほんの短時間でその人の育った環境や人間性が現れる行為は無いと思いますので。
私たちの長男の幼稚園は、ありきたりの普通の園で地方都市だったため、特にお迎えについての規制はありませんでした。駐車場がなかったので車でのお迎えは限られたものになっていましたが、私たちの場合歩いて5分程度の場所だったため、ゆっくりとお迎えに時間を費やすことができました。もちろん、親同士の会話もゆっくりできますので貴重な情報源となったことは言うまでもありません。園の経営状況や、園長先生と職員との関係性(私立の場合はたいてい対立していることが多い)、地域の情報や、進学についてのことまで(上に兄弟がいる場合)、親身に教えてもらえます。この時の知り合いがその後小学校に上がっても続くのです。
親が話している間は、子供は園庭で遊びます。園庭が解放されていない場合は、交通の邪魔にならないようにしましょう。子供は基本じっとしていないので、手をつないでいないと園から出たとたんに何処かへ行ってしまいます。特に通行量の多い道路は注意が必要です。
先日ワンオペで働いて子供を育てている女性の方が、やっと念願が叶い近くの公立の認可保育園に子供を入れることになったと話をしてくれました。その保育園で配られた説明書にはお迎えについて「仕事が終わったらすぐ迎えに来ること」「買い物はしてはいけない」「延長保育はしていません」など強い物言いで注意事項の記述があり、それを見ただけで自然と涙が出てしまった、と言っていました。その話を聞いた時、私も悲しくなってしまいました。
公立保育園は、働いている人のお子さんを優先的に預かっています。だからこそ、会社帰りに息抜きしたり、買い物したり、自分の時間を持つことは生きるために何より大事なのに、ここまで厳しい社会になっているということに愕然としました。これでは子供を産んで育てようなどという人が増えないのは当然だと思います。ちなみにその公立保育園は土日の保育もやっていません。「病院にも行けない」とその女性はうつむきながら自嘲気味に悲しく笑っていました。