episode38 新しい毎日
サンミュージックプロダクションを選んだことを一番に喜んでくれたのは、長岡さんだった。
「あそこはすごく温かい事務所だから、君は
きっと気に入るんじゃないかと思っていたん
です」
そして、誕生日にはサンミュージックコップと呼ばれる江戸切子の青いガラスコップがもらえること、お正月には社員とタレント全員に社長からお年玉がもらえることなどを話してくれた。どのエピソードも、あの社長さんを思い出すとすんなりと納得できるものばかりだった。
長岡さんと一緒にあらためてそのサンミュージックに行ったのは、石田さんの家に泊めてもらった翌々週のことだった。今度は正式に契約を結ぶという明確な目的を持っての上京だった。
四谷四丁目の交差点に行くと、いつもの優しい笑顔の長岡さんが立って待ってくれていた。
「今日はね、君にぜひ会ってもらいたい女性が
いるんです」
いつも通り、ゴム毬が弾むような声で長岡さんがそう言った。
前と同じ、社長室のある6階に行くのかと思っていたら、エレベーターはその一つ上の7階で止まった。
いま一度、人生を振り返りました。こんなどうしようもないやつでも、俳優になり、そして仮面ライダーになることができたという道のりをありのまま書き記しています。 50日で完結するハッピーエンドです。 ぜひ最後まで読んでください✨