episode26 はじめてのパリ
一度は通り過ぎたシャルル・ド・ゴール空港に舞い戻って来たのは、フランスに着いて三日目のことだった。
ニースを好きになった矢先のことだったので寂しかったけど、このパリこそ、僕が今回の旅行で行きたい場所が集中している特別な街であった。
パリには、僕が芸大受験の頃から本当にお世話になっている画家の餅月さんが卒業されたパリ装飾美術大学がある。餅月さんはその名門を首席で卒業されたとんでもなくすごい人なんだという話を、べつの画家の人たちから聞いたことがあった。
『考える人』で有名なロダンが出た大学としてなんとなく名前は知っている大学だったけど、餅月さんの母校だと聞いてすごく親近感が湧いた。
餅月さんは僕に絵を教えながら、よく「ファッションをやるのであれば、パリのメゾンを紹介してあげるから、そこで働きながらチャンスを伺ってみたら?」と言ってくださっていた。僕はどうしても実感がわかなかったので、いつも曖昧な返事をしていたのだけれど、今回のパリ来訪でそれに対する考えがどう変化するのかが、自分でも楽しみだった。
このパリにはルーブル、オルセーを始め、グラン・パレ、ケ・ブランリー、そして前出のロダンの名を冠したロダン美術館と、とにかく一生に一度は行ってみたい美術館がひしめき合っている。僕はこの数日しかないスケジュールでその全部に行くことは不可能だろうとは思っていたけど、できるだけ観て回りたいと考えていた。
そして、まずは定番中の定番であるルーブル美術館に行くことにした。
いま一度、人生を振り返りました。こんなどうしようもないやつでも、俳優になり、そして仮面ライダーになることができたという道のりをありのまま書き記しています。 50日で完結するハッピーエンドです。 ぜひ最後まで読んでください✨