episode24 母の妹 じゅんちゃん
京都に戻り、これまでと全く変わらない学生生活を送っていた僕のもとに驚くべき話が舞い込んできたのは、11月のJUNON本選会から数えて2ヶ月後のことだった。
母からの電話で、僕は信じられないような話を聞かされることになる。
「あんた、2月中頃の平日って学校休めたりす
んの?」
「まぁ、課題とかをうまくやりくりしたら休め
なくはないと思うけど、何で?」
「あ、やっぱりそう? じゅんちゃんのところで
買い物してたやつあるやんか、年末の」
「おう、覚えてるよ。年末にみんなでまとめ買
いした、あれがどうしたん?」
「うん。あれでな、なんと特賞が当たったらし
いねんけど、日程的にじゅんちゃんとこは誰
も行かれへんみたいやねん。何個か日程が選
べるみたいやねんけど、どれも平日中心や
し、高校生は保護者おらなあかんみたいやか
ら子供らも行かれへんし、あんたやったらい
けるんちゃうかって、じゅんちゃんが」
「……あれの特賞って、フランス旅行ちゃうの」
「そうみたい。ニース?ってところとパリって
書いてあるわ。8日間やて」
「待って……絶対行く。じゅんちゃんに、何があ
っても俺、絶対行くって言うて!」
このじゅんちゃんというのは母の妹で、母に比べると思考が柔軟と言うか、どこか若い僕らの感覚をわかって親身になってくれるようなところが昔からあり、僕は思春期の頃から、母に言えない悩み事なんかを、よくこのじゅんちゃんに相談していた。
母と顔がそっくりなこともあって、親戚みんなで出かけた時なんかには、じゅんちゃんの子供たちと僕とでよく母親を間違えて笑い合ったものだ。そのじゅんちゃんからの、まさかの提案だと言う。
JUNONでは幻に終わったグランプリ副賞の海外撮影旅行のために取ったパスポートが、まさかこんな形で実を結ぶことになるとは。幸運という一言で片付けるとそれまでなのだけど、この時ばかりは本当に、何か得体の知れない強力な力が裏で働いているんじゃないかと疑ってしまうほどに衝撃的だった。
いま一度、人生を振り返りました。こんなどうしようもないやつでも、俳優になり、そして仮面ライダーになることができたという道のりをありのまま書き記しています。 50日で完結するハッピーエンドです。 ぜひ最後まで読んでください✨