episode37 四谷四丁目
歩き始めると、まず新宿三丁目という大きな交差点に差し掛かった。その一つの交差点を中心に、僕が名前を知っている百貨店が全部その一箇所に集まっていた。
なんて栄えたところなんだと驚いたけれど、東京に来るようになってからというもの、行く先々にこのぐらいの規模の都会があって、だんだんと見慣れて来ている自分を感じてもいた。
地図の通りだったら、確かここを越えて少し行ったら、右手に「新宿御苑」というのが見えるはず。通り沿いにある「世界堂」と書かれた大きな画材屋さんの前を通り過ぎると、目に見えて人通りが減った。さらに少し歩いたところで、「新宿御苑前駅」と書かれた地下鉄の入り口が見えて来た。
曲がり角が来るたびに右側を見ていたら、いくつ信号を越えてもずっとコンクリートの高い塀が続くものだから、「これは一体なんなんだろうか」と思っていたら、突然入り口が現れ、これこそが新宿御苑なんだとわかった。なんて大きさなんだということと、東京にこんなにも広大な緑地があるということにとても驚いた。
そんなことを思いながら歩いていると、目的の場所に到着した。信号機を見ると、「四谷四丁目」と書いてある。ここだ。僕はその交差点の角に静かに佇む細長いビルを見つけた。そのビルよりもさらに細くて長い看板が国道側に張り出しており、そこには縦に大きく「サンミュージックプロダクション」と書かれていた。
約束の午後2時まではまだもう少しあるし、ガードレールにでも座って待っていようかと視線を落としたところ、まさにそのガードレールに一人の男性が座って、じっとこっちを見ていた。
いま一度、人生を振り返りました。こんなどうしようもないやつでも、俳優になり、そして仮面ライダーになることができたという道のりをありのまま書き記しています。 50日で完結するハッピーエンドです。 ぜひ最後まで読んでください✨