ウルトラマンと大河ドラマ「いだてん」との接点
初代ウルトラマン第一話の設定には、元ネタがあります。ハル・クレメントというSF作家の「二十億の針」。宇宙の刑事が地球に逃げ込んだ逃亡犯を地球人のからだを借りながら探すというストーリーは、ウルトラマンが怪獣ベムラーを追い、ハヤタ隊員のからだを借りるという設定に生かされています。原案の段階でこの小説読んでいる方がスタッフの中にいたはず。
平成ウルトラマンも元ネタを隠す気はないようで、ハル・クレメントをもじった登場人物、久米ハルヲが、ウルトラマンジードに出てきます。気になるのはハルクレメントの母校ハーバード大学は、キリストの神性や贖罪を否定し、三位一体を否定するユニテリアン派の牙城だった歴史的事実。この作家がそうだったとは断定しきれませんが、出身の天文学部の先輩には、メトカーフというユニテリアン主義者がいまして、ハルクレメントも少なくとも名前は聞いていたでしょう。
さて、「いだてん」28話では、犬養毅が暗殺される5.15事件が描かれました。5.15事件発生に大きい影響を与えた思想家、大川周明は、若いころ、「道会」という宗教のメンバー。この宗教は松村介石が始めたものですが、一種の日本的キリスト教の展開なのですね。松村はもともと横浜バンドの宣教師バラに学び、信仰を持ち、プロテスタントの日本の源流からの王道みたいな位置におりました。
しかし、いつしかキリスト教、神道、儒教、老荘思想の統合を目指した「道会」を設立し、逸脱と言っていい方向に。欧米との複雑な関係下に生きた「時代の子」の側面も感じる。その主張がどうもユニテリアンくさいなと思ったら、やはりユニテリアンとの接点もあったみたいです。ユニテリアンなら神道との結合もあり得る。日本のキリスト者の中にはそっちの方向に行って逸脱する人が少なからずいる。大きな課題だと思う。
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