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メトロン星人とカトリックと台湾

わたしの母校、中央聖書神学校の近くに滝野川があります。ここ出身の方にウルトラマンやウルトラセブンの監督だった実相寺昭雄さんがおられます。わたしの世代では有名なモロボシダンとメトロン星人がちゃぶ台を囲むシーン。あの演出をされた方です。メトロン星人編の後日談は平成ウルトラマンのウルトラマンマックスでも作られていて、あの回ももちろん、実相寺監督でした。推理小説ファンのわたしとしては京極夏彦の「姑獲鳥の夏」が映画化されたとき、実相寺監督作品だったのが印象に残っている。
滝野川界隈って文化人を結構輩出していてミステリー作家の内田康夫さんも北区西ヶ原出身。実相寺監督と同じ時期に住んでいるのではないか。内田康夫が生み出した名探偵浅見光彦の実家も西ヶ原という設定。
実相寺昭雄は小学校がカトリック系の暁星なんですよ。当時まだたくさん路線があった都電に乗って通ったらしい。それにしてもキリスト教にとって受難だった戦時中にあえてキリスト教の学校に通わせる両親って、もしもクリスチャンでないなら、どういう人だったのだろうと興味が湧きます。自由主義的な家風だったのか。本人は暁星時代の思い出を著作で語っておられますが。戦後も引き続き、高校まで暁星に通っておられる。
家系をたどると、母方の祖父、長谷川清は台湾総督だった人物。戦争にはずっと反対で対英米対話路線派として知られている。長谷川清の部下に羽島又男という方がいます。この人がクリスチャンです。戦前の最後の台南市長だった方。
台南には紅毛城という有名な文化遺産がありますが、その保護に尽力した人物。戦後は国際キリスト教大学設立につとめた人物のひとりとして知られています。
どうも実相寺昭雄の背景にはコスモポリタニズムの空気が感じられる。だから、1968年にアメリカで制作された有名なアメリカンニューシネマのワンシーンに、たまたまテレビからウルトラマンが映っていて、それが実相寺監督の回だった怪獣スカイドンとジャミラだったとしても不思議ではありません。たまたまだろうから関係ありませんけど。笑 でもこの時代にウルトラマン、もう輸出されていたんだなという貴重な歴史証言にはなるか。

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