やはり私は派遣・SES業態を肯定できない

この投稿は完全な自分の主観で、題名そのままの内容です。
もし、気分を害する可能性があれば読み進めないようにお願いいたします。


どれほど派遣やSESのメリットを語られようが、ネガティブな印象しか持てない。
この業界独自の商習慣が我が国のIT産業・技術停滞に直結していると考えているからである。

(追記:下記は発注元が上流工程、派遣・SES契約者に下流工程を任せるような業務での一例です。
経験豊富な派遣・SES契約者が上流工程を任される場合もあります。
ここでは上流・下流でプロパ・外注と雇用状況の分断が成果物に与える影響を問題にしています。)

上流工程にいるものが、プラットフォームやフレームワーク、言語やDB、ネットワークなどの知識がなければ、担当する上流工程でアウトプットしたものが実現可能できるか判断できない。
以下のような問題が起きてしまう。

  • 無理・無駄なスケジュール

  • 顧客の言いなり、要望をなんでも受け取る

  • 実現不可能もしくは無意味に難易度が高い要求仕様

  • 不適切な技術・要素の選択

(関係が良好であれば、ゼロとは言わないが)
下流工程に優秀なエンジニアを確保・アサインされたところで、彼らが上流で設定された問題を敢えて指摘して差し戻すことは期待できない。
なぜなら、外注者が提案したことが原因でなんらかの問題が発生した場合に責任が取れないからだ。
内心「こんな馬鹿げた要求仕様・設計。不適切なプラットフォーム・言語選択…」と思っていても、何も指摘せず、言われるがママになった方が良い。
そう考える者は多いのである。

その結果、粗悪で使い勝手の悪い、みっともないシステムが出来上がる。
選択した技術や仕様・設計の難解さ複雑さ故に不具合を誘発することもある。

このような仕事ばかりしていれば、上流・下流を担当する個々のエンジニアの創造性も技術も向上しない。
結果、程度の低いシステムを量産することしか出来ない我が国のIT産業になっているのではないか、と感じている。

デジタル庁あたりが日本のIT産業の酷さを自覚していて、レベルアップを図りたいのであれば、公的事業のシステムの提案競争・入札に参加する条件に
「一切外注を認めない」と通達してみてはいかがだろうか。

以下は、「外注を認めない」とされた時の妄想である。


外注を認めないとすれば、IT産業を牛耳るSIer辺りは大慌て・右往左往することは想像に難しくない。
プロパー社員は、プロジェクト管理と称して、リソースやスケジュールの調整役ばかりで、技術を持たない自称”エンジニア”ばかりとなっている可能性があるからだ。

日々の業務と言えば、打合せ・会議、Excel表で課題管理整理、プレゼンや報告用のPowerPointの資料作り。
要求仕様なども作るかもしれないが、それがどんな技術で実現されるかまったく知らない、外注に丸投げしている。
いざ、システムを自分の手で構築しなければならないとなった時、何から手をつければいいのかすら分からないかもしれない。
コードなど見たこともないし、そもそも見たところで意味も分からない、レビューなどもってのほか。
近年、経営層が(本人たちはさっぱりわかってないけれど)アジャイル開発プロセスを強く推しているにも関わらずである。

”エンジニア”という肩書があるにも関わらず、大手企業に所属したという安堵感、汚れ作業からの解放感から努力を怠ってしまうこともある。
高等教育で頑張って勉強して優秀な成績を収めてきたが、一度学習する習慣を手放してしまえば追いつける可能性は低くなる。
それほど、この業界は技術変化速度が早い。

しかし、一時的には混乱するかもしれないけれど、踏みとどまり事業を進められるようにするだろう。
そもそもポテンシャルの高い社員が多い。学習は得意だろうし、本気で取り組めば私のような凡人をあっという間に追い越してしまう人もいるはずだ。
要はやらなければならない状況とやる気の問題なのである。
私は、彼らがシッカリ技術に取り組んだ時の成果は大いに期待できるはず。と信じられる。

さらに、派遣やSESでめぼしい活躍をしていたエンジニアに声をかけて引き抜きもするはずだ。
(契約上、引き抜きが出来ないことになっているかもしれないが、抜け道などいくらでもある。)
選別は厳しくなるかもしれない。派遣・SES企業に人さえ出してくれれば良いと言っていた事案とは違う。
自社社員として迎えなければならないのだ。だれでも良いとはならない。技術・実務能力はシッカリ確認する。
迎えるにあたりそれなりの待遇をしなければソッポを向かれる。技術者の報酬・ステータスも上がるのではないだろうか。
ただ、この選別を機に、零れ落ちるものも多数発生するかもしれない。

このような状況で困るのは、増えすぎた名ばかりIT企業。経営層は技術なんて全く持っていない派遣・SES業態の中小零細になるかもしれない。
経営者は、もともと自身が派遣やSESの技術者だったり、営業だったりする。
起業し、搾取・中抜きされる側から抜け出したものの、結局はこの業態しか知らず、自身が嫌悪していたはずの事業をしてしまう。
自分自身で稼ぐ力を失っていれば、上位企業に取りつき・人材供給ネットワークに参加し、商品として人を差し出すことでしか商売ができない。

その商品自体の調達が出来なくなるばかりか、上位企業は派遣・SESを認めなくなるのである。
非情かもしれないが、このような企業は一度整理された方がいいのでは?と考えている。
経営者に本当の力があれば、滅びそうになる中でも、発奮し力をつけてスタートアップとして育つものも出てくるのではないだろうか。


多重請負構造の大ビラミッドの下部に数人~数十人規模の企業がひしめく、その企業の数だけ中抜きにのみ精をだす経営者がいる。
その業態に留まっていれば滅んでしまうかもしれないよ?と行政サイドからカンフル剤のような法律が施行されることはないのかもしれないが...

いいなと思ったら応援しよう!