【最新の医療分野】神経集中治療はなぜ必要?その目的は?
これからは神経集中治療を行う目的について解説していきます。
一言で言いますと、神経集中治療の最大の目的は二次性脳損傷から脳を守る事です!
二次性脳損傷って何?
二次性脳損傷を理解するためには、一次性脳損傷を理解する必要があります。
一次性脳損傷は、原疾患が発症した直後に引き起こされる直接的な脳の損傷です。
脳卒中や頭部外傷など病院に搬送される原因そのものにより生じる脳損傷と覚えておくと簡単です。
そして、その後に脳内で様々な有害反応(図※)が起こり得ます。
その結果、神経細胞死など脳神経障害が引き起こされます。
この損傷のことを、二次性脳損傷といいます。
実は、この二次性脳損傷をいかに予防できるかが、患者さんの転帰を改善させるためにとても重要となります。
とはいえ、これらを目に見える形で治療をするのは難しいかもしれません。
(体温管理療法や一部の薬剤が効果があるという報告はあります。)
一方で、二次性脳損傷の原因として、もっとわかりやすく、未然に防ぐことができるものがあります(図赤枠)。
例えば、次の状態はいかがでしょうか?
- 呼吸や循環の障害が合併し、脳に供給される酸素や血液が不足する
- 発熱やシバリング、けいれん等の発作が起き、相対的に脳に供給される酸素が不足する
これらは、合併する頻度が多く、大いに二次性脳損傷を引き起こします。さらには前述の機序※にもつながります。
したがって、図の赤枠で囲んだ所こそが、神経集中治療を介入するポイントになるのです。
行うべきことは?
それは、神経集中治療室で呼吸や循環の管理をしっかり行い、脳へ有効な血流を維持することです。
また、脳の酸素需要が増加する状態を回避することも重要です。
考え方としては難しくはないですね!
いつものバイタルサインの管理(全身管理)をしっかり行う
それが大事です。
一方で脳の酸素需要がどの程度であるか、脳波などの脳機能モニタリングを行うことも必要です。
ちなみに、健常な脳では、脳の酸素需要が増えたとしても呼吸や循環により多少の代償がある為、ある程度であれば脳損傷はすすみません。
ただし、一次性脳損傷がある脳では、その代償を待っている余裕がないため、ちょっとしたことで脳障害が、進んでしまうのです。
まとめ
障害された脳はとても脆弱で、手がかかりますが、それをなんとか、チームで助けるのが神経集中治療です。
さらに、具体的な治療の指標も、気になりますよね。
障害された脳にとって有効な酸素はどれくらい?
血圧はどれくらい?
ここを追求することは必要ですし、現在多くの臨床研究がなされています。また解説しますね。
簡単ですが、今回は大事な二次性脳損傷について解説しました。
次回は酸素需給バランスについて、詳しく解説したいと思います。
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