【救急集中治療関係者必見】くも膜下出血の管理に役立つエコーの使い方〜TCCFI &DCI〜
■ はじめに
今回は、少し前の記事
【救急集中治療医必見】神経集中治療における
エコー検査〜脳神経エコーを中心に!
の続編になります。
くも膜下出血(aSAH: subarachnoid hemorrhage)
の遅発性脳虚血(DCI : delayed cerebral ischemia)のモニタリングとして、
経頭蓋カラードプラ法( Transcranial color flow image : TCCFI)をどの様に
使用するか、簡単にご紹介します。
■ 実際の方法
使用するエコープローベは心エコーで用いられるセクター型のもです。
B モードで行います。
今回は、中大脳動脈(MCA:middle cerebral artery)の描出を解説します。DCIが発生した際に、重症にいたる血管ですので、
慎重にモニタリングしましょう。
こめかみと耳朶の間に骨が薄くなっている箇所がありますが、
側頭骨ウインドウと呼ばれます。
そこからエコービームを挿入することで、
ウィリス動脈輪が描出できます。
その際に、エコービームに向かってくる太い血管が見えますが、
それがエコーを当てている側のMCAです。
対側にはもう一方のMCAが見えます。
MCAが同定できましたら、パルスドップラーを当てて、
平均血流速度を測ります。
MCAの平均血流速度は50-80 cm/s
が正常ですが、
脳血管攣縮を引き起こすと、平均血流速度が上昇します。
平均血流速度が200 cm/sを超えている場合は、
多くの場合脳血管攣縮が陽性です。
そこまで上昇しておらずとも、異常値の際は、脳血管撮影など
さらなる評価を行うべきでしょう。
もちろん、心機能が活発になっている際も、
平均血流速度が上昇しますので、その際は内頸動脈の平均血流速度との比
を計算するなどのアドバンストな方法があります。
■参考
これらの、手技は私が手掛ける
神経集中治療ハンズオンセミナーで習得できます。
8月には下記セミナーが開催されますが、参加される方は楽しみにしておいてください。
■ 最後に
TCCFIは非侵襲的な手技で操作もシンプルです。
慣れれば5分程度で施行できます。
神経集中治療で必須のツールですので、ぜひ習得してください。