【救急集中治療トピックス】くも膜下出血と神経集中治療〜遅発性脳虚血のモニタリング①〜
■ はじめに
さて、
以下の記事でくも膜下出血(aSAH: subarachnoid hemorrhage)の患者さんは神経集中治療室(Neuro ICU)で、
最低14日間は観察することをお勧めしました。
つまり、遅発性脳虚血(DCI : delayed cerebral ischemia)をしっかりと
モニタリングするためですね。
今回と次回は、
実際にどの様なモニタリングが海外のNeuro ICUや私のNeuro ICUで行われているか、簡単にご紹介します。
■ DCIのモニタリング
意識障害がない場合
神経所見がしっかり取れる患者さんは、神経所見を信頼してください。
一番確実なモニタリングです。
意識のチェック・四肢の動きをチェックするといった一般的なモニタリング
でOKです。
注意すべきDCIの初期症状
ただし、一点だけ意識して注意をする必要があります。
DCIを認めた際に患者さんが症状を訴えられないため、
医療者側が能動的に観察しないと見つけられない項目です。
何でしょうか?
”失語”です。
言葉が出にくい・・・
これぐらいの失語が見逃されがちです。
実はDCIの初期症状で、
しばらくすると、右上下肢麻痺を認め
慌てて脳血管撮影に向かう、
とういう様なこともありますので、注意してください。
特にこの段階の失語は、
看護師さんやリハビリの先生が発見してくれることが多いです。
とても丁寧に所見をとってくれるので、気づいてくれます。
神経集中治療チームの強みです。
早期発見のための評価ツール:NIHSS
それから、
私のNeuro ICUではNIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)
を導入することで、これらの症状を見逃さない用にしています。
脳梗塞の診療で使われることが多いですが、
DCIの発見にも応用しているということです。
https://medical.kyowakirin.co.jp/neuro/leaf/neu014.pdf
DCIの定義にNIHSSの2点以上の上昇という項目がありますので、
理にかなっていますね。
■ まとめ
意識障害のないaSAHの患者さんは神経所見をしっかり評価!
失語には細心の注意をはらいましょう!
次回は、
意識障害がある患者さんの場合の診療方法について解説しますね♪