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クラシック音楽 名盤探訪5

レイフ オヴェ アンスネス ショパンピアノソナタ全集

 アンスネスはノルウェーの島で生まれた。ノルウェーのコンクールで優勝したが、チャイコフスキーコンクールや、ショパンコンクールなど世界的なコンクールの出身者ではない。録音を機会としてその実力が評価されたピアニストである。この世代にはそういう人が多い。キーシンもそうだった。
 私は実はアンスネスのピアノリサイタルを聞いたことがある。銀色の音を放っていた。ちょうど、ショパンのバラードを出した頃だった。テクニック的にはほぼ完璧だった。ポリーニのような輝きは無いけれど、独特の澄み渡った音色がいかにも北欧生まれの出身者という感じだった。それに印象的だったのが、いかにも楽しそうにピアノを弾いていた事。本当にこの人は音楽を愛しているのだなと思った。
 さて、ショパンのピアノソナタ第2番。第一楽章はかなり暗い。第3楽章は有名な《葬送行進曲》中間部では人生を回顧した美しい旋律が流れる。なおショパンは珍しく、ベートーヴェンの葬送行進曲を参考にしている。第4楽章はプレスト。墓場に吹くひと時の風と評されることが多い。確かに不気味な音楽だ。現代音楽の先駆けと言っていいだろう。

 マズルカはショパンの故郷ポーランドの民俗舞曲である。分からなくて当然だ。私の場合マズルカを聞けるようになるまで4年の月日を要した。しかし、分かってくるとそこには快感を感じれる。それがなんとも感動的である。
 練習曲は単に指の練習用ではなく、メロディー、ハーモニー、リズム、そして何よりも情緒表現のための創意工夫がこらされた、極めて高い芸術性を持つ曲集である。若きアンスネスは、この難曲に果敢に挑んでおり、右手を酷使する通称「木枯らし」ではそのテクニックの確かさと、熱い情熱を聞き取ることができる。

収録曲
ショパン
ピアノソナタ第2番 変ロ短調(難しいよね。) 作品35《葬送》
第一楽章 グラーヴェ ドッピオ モヴィメント
第2楽章 スケルツォ
第3楽章 葬送行進曲 
第4楽章 フィナーレ

マズルカ 第10番 変ロ長調 作品17-1
マズルカ 第11番 ホ短調 作品 17-2
マズルカ 第12番 変イ長調 作品17-3
マズルカ 第13番 イ短調 作品17-4
 
5つの練習曲
第15番 へ長調 作品25-3  第16番 イ短調 作品25-4
第6番 変ホ短調 作品10-6 第22番 ロ短調 作品25-10
第23番 イ短調 作品25-11 《木枯らし》


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