さこと読書【2024年12月】
たくさん読めるわけではないけれど、本を読むのが好き。でも読んだら読んだまま忘れていってしまう。
それがなんだか寂しくて、今月から読んだ本をゆるゆると振り返ることにしてみました。
ネタバレも含まれるかもしれないので、読む際はご注意ください。
今月読んで特に好きだったのは
・夏のロケット/川端裕人
・今宵も喫茶ドードーのキッチンで。/標野凪
の2冊。
夏のロケットは知人からおすすめしてもらって読んだもの。普段はあまり読まないSFで、しかもあまり詳しくない宇宙の分野。おすすめしてもらったはいいけど、読めるのか?と思いながら読み始めた。
ストーリーは宇宙やロケットに憧れた、かつて男子高校生だった5人がもう一度集まってロケットを製作、打ち上げを決行するというもの。
5人のうちの1人が犯罪に関わっているのではないか?彼らの本当の目的は何なのか?そんなミステリー要素も含みながら物語は進んでいく。
主人公には後々開示される情報も多く、読者は主人公目線で他の人物を不審に思いながら、ハラハラしてストーリーを追っていくことができるのが魅力である。何よりもロケットの工学的、材質的な知識、これまでの宇宙開発事業の歴史など川端裕人による下調べが豊富かつ丁寧であることが読者をぐっとストーリーに没入させる1冊だと感じた。
はじめはのろのろと読んでいたのに、気づけばぐんぐんページが進み読み終わっていたというのが正直なところである。
続いて2冊目。今宵も喫茶ドードーのキッチンで。は、喫茶ドードーシリーズの第1弾である。ストーリーは人生に迷える女性がおひとり様専用カフェ喫茶ドードーにやってきて、店主であるそろりによって気付き、癒され、明日へと向かっていくというもの。
雨の日だから太陽の力を感じられるもの。目によいココアは日の光を浴びてより目によく。ピクルスはアップルビネガーを使って酸っぱいものが苦手でも食べやすく。落ち葉を庭に敷き詰めて森の恵みを感じられるように。
そんなそろりのこだわりがお客さんのひとりひとりを癒していきます。
主人公となる女性は5人。それぞれが違う環境で違うことに思い悩みます。他人の暮らしへの憧れに振り回されてしまったり。年齢に伴う変化に追い付けなくなってしまったり。
茶目っ気たっぷりのそろりと出会うことで彼女たち、そして読者の私たちも人生における大切なことに気づいて少し心が軽くなります。
私が特に心に響いたのは、
・自分の軸を持って、それを研ぎ澄ます大切さ
・自分をいたわることができるのは自分だけ
というメッセージでした。
当たり前じゃんと感じてしまうようなことも日々の忙しさの中で見失ってしまうもの。喫茶ドードーで過ごすようなゆったりとした時間の中で取り戻していきたいものです。