夢百夜話-ユメヒャクヨバナシ 第5夜
会社の誰もがユウタのことを知らなかった。ユウタのいた痕跡もなかった。
そろりとスマホを出してアルバムを確認した。
コウダイと肩を組んで笑っているユウタの写真があるはずだ。他にも数枚……。
だがユウタではなく知らない男がそこにいた。
ユウタがいるはずのその場所に。全部知らない男が。
「あ。どうしたの?ほら。やっぱりいないでしょ。うん?ショウじゃん。その子。」
先週から出張中だからいないよぉと言い添えてサエコはいなくなった。
「先輩、どうしたらいいんでしょう?俺戻れなくなりました。」夢の中でユウタほ言っていた。泣きながら戻れない、と何度も。
夢の中の話、ではないのか?こちらが現実、ではないのか?
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作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。