Unknown
その4
アスカ、識別番号13049832は言った。
『ここ、旧市街はチップを持っていない市民ばかりだ。中には俺のような物好きがうろついてることもあるがな。新市街はチップがあることが絶対条件。つまりだ。わかるか?』
便利で快適な新市街で生活したければチップが必要。しかしチップは誕生ともに挿入され、以後死ぬ瞬間まで監視を続ける。チップは中央政府が管理していて同じ番号は絶対にいない。不正ができないように2重3重のチェックがなされている。
『産まれたときにしかチップは挿入されない。数年に1度定期メンテがあるがアップデートと壊れてないか軽くチェックするだけ。破損があれば即交換される。眠っている間に、ね』
『眠っている間?』
『メンテに行った記憶は?』
必死に考えたが思い出せなかった。
『壊れることはまずない。紛失なんてありえない』
旧市街にきて1週間ほどが過ぎていた。
新市街と違い、ごちゃごちゃと埃っぽいがどことなく人間らしい生活だと俺は感じでいた。
俺のチップは破損どころではなく存在していなかった。盗まれたか最初からなかったのか?わからなかった。アスカは3日くらい前から姿がみえず手持ち無沙汰な俺は周りの雑用を手伝い食を得ていた。
作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。