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コロッセオ-最後の闘い(nana台本より修正)その1

無事交易を終え、村に帰る途中だった。まだ村は見えないが煙が上がっているのがわかった。嫌な臭いもたち込めていた。妙な胸騒ぎに馬を走らせた。

「…さん。おっさん。お~い

ハッと我にかえる。あ?と返す。

「ったく。しっかりしてくれよな。最後のカードが決まったから知らせにきてみれば呑気に寝てやがる」

最後の、か。あれから十数年がたっていた。村の女、子供はなぶり殺しにされていた。男は全てが奴隷にされたと聞いた。まだ小さかった息子はどこにもいなかった。必至に探しているうちに俺も捕まった。生きているだろうか?

「もう100戦目かい?早いね」

話にかんできたのは武具屋の親父だ。

100戦勝ち抜けば自由にしてやる。そう雇い主は約束してくれた。奴隷からの解放ではないのはあきらかだが。金を貯めれば市民の階級を買える。最下層ではあるが奴隷よりはましなはずだ。

「で、だ。話は戻るがいいか?」ペラっと懐から紙を出す。鎧兜に身を包んだ人物が描かれていた。兜の下から栗色の髪が三つ編みされ腰まで伸びていた。

「お前の今度の相手さ。今絶賛大人気のお方。女性じゃねえかって噂もあるがな」

「誰でもいいぜ。俺は。とにかくあと1回勝てば自由の身、なんだからよ」ここまで勝ち進んだ闘士は俺を含め数人しかいない。100戦超えてもまだ続けてる奴もいるにはいる。

「次も俺の勝ちさね。女みたいなのに負けるかよ」そう強がってみせる。だが相手は自分の想像をこえていることに気付いてはいなかった。


作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。