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災害での断水時に「雨水」が使えるかもしれない

正月早々、能登半島地震が起きました。
今も多くの方が被災されています(ぼくが大学時代にお世話になった方も)。
被災されている皆様に、心からお見舞い申し上げます。
そして一日も早い生活の復旧をお祈りします。

現在、多くの方がライフラインの断絶でお困りと伺っています。
そのうち「水」について、「雨水」が使える可能性について、情報をお伝えしたいと思います。

ぼくはこれまで、NPO碧いびわ湖での活動を通じ、10年以上、100件以上のお宅の雨水利用のお手伝いをしてきました。
その経験上、災害時の断水時、雨が降った際に、雨水が使えるのではないかと常々思ってきました。

とはいえ、ぼくが経験してきたのは平時での雨水利用だけで、実際に被災して断水した経験はありません。
特に今回は屋根が傷んでしまったお家も多いはずで、雨漏り対策で不安で一杯という方も多いと思います。

よって、いまお読みくださっている方にこの情報が本当に役に立つかどうかはわかりません。
でももし、少しでもどなたかの助けになる可能性があればと思い、書きました。


「雨水」は汚くない

雨水についての大きな誤解、それは雨水が「汚れている」という思い込みです。

でも、じっさいは雨水はとってもきれいです。なぜなら雨は蒸留水、つまり純水だからです。

いやいや、洗濯物が雨に降られて汚れたことがあるよ、という方も多いことでしょう。

それは雨が元々汚れているのではなくて、「大気」の中にあったほこりや汚れを雨が取り込み、降ってきたからなのです。

そして10〜30分ほどすれば、雨は大気の汚れのほとんどを洗い流します(だから雨の後は空気が澄む)。よって、降りはじめて10〜30分ほどした後から降り続く雨はほぼ「純水」なのです。

よって、ものを洗ったり身体を拭いたりするような水としては、十分使えます

災害時に困る水は、トイレの流し水とか、手洗いとか、掃除や体拭きなど、洗ったり流したりする水が多いと聴いています。それらには十分使えます。

下記のぼくが書いた記事は平時用のものではありますが、どのように使えるかの実例が書いてありますので、参考にしていただければと思います。

「雨水」の溜め方とたまる量

では、雨水をどのように貯めればよいでしょうか。

専用の雨水貯留タンクがあるならば、それがベストです。でも、災害が起きてから設置することはできないと思いますので、身の回りにあるものでどうできるかを考えました。

雨水は基本的に、雨樋を使って集めます(ただ、今回は屋根が傷んでしまった方も多いと思いますので、その場合は難しいかと思いますが…)。
そして、何らかの容器に溜めます。
(実はもともと、雨樋は、雨を「集める」ための装置であったそうです→解説記事

まず、キャンプ用のタンク、バケツ、鍋など、水をためられるものを準備します。

もし、雨樋が下記の写真のような形であれば、そのまま水を集めることができます(古い建物に多いです)。

最近の建物だと、下記の写真のように、樋が地下につながっていると思います。このばあいは、下記の写真のように、樋を切断できるのこぎりを使って容器の高さで樋を切るのがよいかと思います。(ただし、水道が復旧したら修繕が必要です。丸い樋なら、業者さんに頼まなくても、だいたい、ホームセンターで修繕部材が買えます(四角い樋はあまり売ってないです)。あと、住宅の罹災証明等が必要な場合は切断前に、状況写真を撮っておいたほうがいいかもしれません)。

こうすることで、雨が降れば、雨樋が水源になります。

また、果たしてどのくらいの量がたまるのか?という疑問もあると思いますが、おそらく、多くの方の想像よりも多いです。
たとえば1mmの雨でも、50平米の屋根なら50Lになります。

日本の雨水利用を牽引してこられた雨水市民の会(僕も多くを学ばせていただいている)のページも参考になると思います。

「雨水」は飲めるのか

あと、よく訊かれる質問として「雨水は飲めるのか」というものがあります。

基本的に、雨樋からためた雨水を飲用にすることは奨励されていません。まず、屋根と樋を通った水は、屋根材の性質や樋の状態(土が溜まったりしていないか)の影響を受けるので、必ずしもきれいとはいえません。また、溜めて一定期間を経った水は、雑菌が繁殖しています。

それでも、屋根の材質が安全で汚れていない、水を集めてすぐ、であれば、飲用に堪える可能性はあります(雑菌が心配であれば煮沸する)。

ベストなのは、「降った雨をそのまま容器で受ける」です。たくさんは集められませんが、できるだけ面積の大きな容器を外に並べる&ビニルなどで周囲から雨を集めるで集めるのがいちばんきれいな水がとれます。

なお、江戸時代の貝原益軒は下記のように書いています。

天よりすぐに下る雨水は性よし、毒なし。器にうけて薬と茶を煎ずるによし。雪水は尤よし。屋漏(あまだり)の水、大毒あり。たまり水はのむべからず。[356]

薬と茶を煎ずるに、水をえらぶべし。清く味甘きをよしとす。雨水を用るも味よし。雨中に浄器を庭に置てとる。地水にまさる。然共是は久しくたもたず。雪水を尤(もっとも)よしとす。[457]

貝原益軒アーカイブより

こちらの福井県立大の笠井利浩先生の記事も参考になるかと思います。

その他、災害時の水についての情報

その他、断水時の水に関する情報

雨水利用だけでなく、断水時の水対応については、水ジャーナリスト・アクアコミュニケーターの橋本淳司さんの下記冊子も、とても参考になると思います。雨水利用についても簡潔にわかりやすく書いてくださっています。

「もしも!水ノート」表紙 アクアスフィアHPより

以上、現地でお困りの方の、何らかの参考になれば幸いです。
重ね重ね、被災された方々の暮らしが、一日も早く復旧することを心よりお祈りいたします。


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