友達の作り方
確かに、学校というのはすごい場所だった。たいして広くもない教室に、40人近くの生徒が詰め込まれて、一緒に過ごす。毎日、全員と言葉を交わすわけではないけれど、毎日、全員と顔を合わせる。あの頃は、家族よりも、クラスメイトと空間を共にする時間の方が、長かったかもしれない。
どのような関係を「友達」と呼ぶのかという議論は置いておくとして、「中学とか高校の時、どうやって友達を作ってたっけ?」と考えることが、最近よくある。自分は、集団の前で話したり、小さなグループの中で話したりするのは平気な方だけど、誰かと1対1で話すとなると、人見知りを発動してしまうことが多い。自分が発する言葉のエネルギーが、分散されることなく、全て相手のもとへ届いてしまう怖さみたいなものが、どうしても拭えない。
それゆえ自分にとって、友達作りの第一歩は「人間観察」だった。簡単には話しかけられないから、まずは、みんなのことをよく観察する。教室ではいろいろなことが起きるので、その時の振る舞いとかを観察していたら、他人のことが少しだけ分かったりする。そういう中で、仲良くなれそうだと思えた人には、勇気を出してアプローチする、という感じ。
自分は中高一貫教育校に通っていた。「6年間一緒やけんこそ、友達が重くて、大事」という恩師の言葉を思い出す。こんな自分でも、中学や高校で友達に恵まれたのは、6年間かけて、じっくり人間関係を作り上げることができたからだと思う。あと、集団の前で話すことは平気だったから、リーダー的な立場をやらせてもらうことも多かった。「みんなが自分のことを知っている」という状態が先行していたからこそ、誰かと友達になることへのハードルが下がっていたという面もある気がする。
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学校教育法の定義によると、大学も「学校」に含まれるらしい。でも当然、高校までとは違う。週5で行くわけではないし、授業も1日中同じメンバーで受けるわけではない。それに、大学1年の時は、そもそも上京すらせず、地元でオンライン授業を受けていた。授業で友達を作るというのは、高校までと比べて、至難の業だった。
2年、3年と進級するにつれて、対面授業が増えてきて、やっと友達ができた。もちろん幸せなことだけど、正直に言うと、大学で出会った友達に心を許すのには、たぶん時間がかかる。ただ、今は東京で生きているんだから、まず自分のそばいる人を大切にしたい。相変わらず、教室の後ろの方に座って、人間観察をしてると思うけど、それも自分なりの努力なので、温かく見守ってくれたら嬉しい。