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Vocal Rider(ボーカルライダー) 使い方【英字和訳】

ボーカルのダイナミックレンジをコントロールするプラグイン「Vocal Rider」(ボーカルライダー)を解説します。

専用のユーザーガイド(英文)を訳して、僕なりに解釈した案内となります。

Vocal Rider

一般的なコンプレッサーとの違いも理解しつつ、各種機能から、個人的なワンポイント解説も踏まえてお話しさせていただきます。


コンプレッサーと何が違うの?

通常のコンプレッサーとほぼ似ていると思います。

以下が、その理由です。

「音量差を整える(調整する)」のが、主な役割だから。

では、相違点はどのようなものか確認しましょう。

Vocal Riderとコンプレッサーの相違点

英字のユーザーガイドを訳すと、以下のようなことが書いてありました。

コンプレッションとは異なり、Vocal Rider はトラックに余分な色付けを加えません。

そうですね、この文言からわかる通り、コンプレッサーをインサートすると音が変わりますよね。

その点、ボーカルライダーは、色付けがなく、そのままの音で調整することができるという点です。

そして、これは説明書には記載がなかったですが、以下のこともあげられると考えます。

  • ボーカルライダーの方が操作が簡潔

  • コンプレッサーを使うと音圧が生まれる(調整による)

このことからも、ボーカルの音量に関する調整は、やはりボーカルライダーの方が、使いやすいことがわかります。

もちろんボーカルライダーでなければいけない訳ではありませんので、予めご了承ください。

Vocal Riderの機能を解説

さっそくボーカルライダーの各機能について説明させていただきます。

Target(ターゲット)

Target

ボーカルミックスの位置決めの基準範囲を設定します。

この位置と真ん中のフェーダー(Rider Fader)の基準が連動しているので、ターゲットの位置が変われば、Rider Faderの動く位置も変わると覚えておきましょう。

ターゲットの調整部分をよく見ると、真ん中に赤い線が入ってるのがわかると思います。

また、Rider Faderの中央にも赤い線がきざまれてるのがわかります。

この赤い線同士が連動している証になります。

このターゲットを決めることが、全ての土台となります。

ユーザーガイドでは、以下の説明がありました。

Set the Target control by moving the transparent screen to the Vocal range peak.

自分なりに訳してみると、

(Targetの)透明なスクリーンを Vocal 範囲のピークに移動させて、Targetコントロールを設定します。

音が鳴るとTargetの左側から黄色の線が出てくるので、それを元にピーク部分にマウスで移動させる、といった具合だと思います。

もちろん、やり方は人それぞれなので、強制ではありません。

Vocal Sensitivity(ボーカル センシティビティー)

Vocal Sensitivity

ボーカル検出器の感度をコントロールする機能です。大きなノブの左側にあたります。

ユーザーガイドには、ボーカル検出器の感度についても記載がありました。

ノイズフロア、スピル、アンビエンスからボーカルコンテンツを区別し、単語の始まりと終わりを識別します。

このノイズフロア・スピル・アンビエンスについても詳細を提示しておきます。

・ノイズフロアとは、電子回路において、それ自身が発生するノイズ(雑音)のレベルのこと。

・スピルとは、複数のマイクを使うレコーディングなどにおいて、あるマイクで捉えている音が別のマイクからも拾われてしまうこと。

・アンビエンスとは、周囲・環境という意味。 ホールやスタジオ、部屋など音場の響きそのものを指す。

こういったものを検出して、ボーカルか否かの判断をするということでした。

Vocal Activity Display(ボーカル アクティビティ ディスプレイ)

Vocal Activity Display

ユーザーガイドには「ボーカル・アクティビティが検出されたときに表示されます」と記載がありました。

ランプ(上下)は2種類です。

  • Ride(翻訳:乗る)

  • Idle(翻訳:休暇・休み)

デフォルトは「Idle」で、ボーカルが乗りだすと「Ride」が点灯する仕組みと解釈しました。

実際に音を聴きながら、このボーカルライダーが、思った通りの感知をしてくれているのかが、確認できる場所ということだと思います。

基本的には、ボーカルがある(鳴る)時は、「Ride」が点灯しているはずです。

Attack(アタック)

Attack

こちらもいきなりユーザーガイドから抜粋します。

ボーカル検出のアタック動作を設定し、検出タイミングとフェーダーのライディング速度の両方に影響します。

ボーカルを検出する速度を設定できる速度です。

こちらも2種類あります。

  • Fast(翻訳:速い)

  • Slow(翻訳:遅い)

楽曲の構成によるので、一概にいうことはできませんが、ほんの一例をあげてみたいと思います。

Fast:テンポが速い曲
Slow:ボーカルをゆっくり聴かせたい場合

おおむねこういったことではないかなと感じます。

後は、Fast・Slow聴き比べながら、決めていく方針でいいと思います。

ちなみに、テンポが速い曲で、Slowを選択すると、ボーカル検出が間に合わなくなっていくかもしれませんので、聴き比べは必須かもしれません。

デフォルトは「Slow」です。

Music Sensitivity(ミュージック センシティビティー)

Music Sensitivity

先ほど解説したVocal Sensitivityの右横隣にある大きめのノブのことをいいます。

以下、ユーザーガイドから抜粋です。

ボーカルライダーが楽器レベルの変化に適応する量を決定します (「楽器」はボーカル以外のすべてのトラックを指します)

どの程度、ボーカル以外のトラックの音量変化に対して、適応するかの「量」を決めると解釈しました。 

Music Sensitivity Led(ミュージック センシティビティー LED)

Music Sensitivity Led

またまた、ランプの機能のお話しですね。

ユーザーガイドでは、以下の記載がありました。

ボーカルライダーが楽器レベルの影響を受けるタイミングと程度を示します。

ランプは一個のみですが、色が変化します。

変化の内容を以下に記載しました。

ソフトグリーンからだんだん明るくなる。

同じグリーンのランプですが、だんだんと明るくなる設定ということですね。

それでは、どういった時に変化するかを解説いたします。

楽器レベルの影響を受けるほど、明るくなる。

上記の内容から、ボーカル以外のトラックが鳴っていない(もしくは少量)の場合は「楽器レベルの影響を受けていない」と判断できるので、ランプはソフトグリーンとなります。

ココでひとつ注意点があります

Music Sensitivity、Music Sensitivity Ledは、楽器のトラックでサイドチェーンを実施した時に限ります。

サイドチェーンを使用しない場合は、この機能は使用不可となります。

Range MIN(レンジ ミニマム)

Vocal RiderのRange MINの画像
Range MIN

プラグイン左側の黒いつまみの下側の部分です。

ユーザーガイドでは以下の説明となります。

ライダーフェーダーの移動範囲の下限を設定し、ライダーフェーダーの最大減衰を設定します。

ライダーフェーダーとは、プラグイン真ん中のフェーダーのことです。

  • 選べる範囲: −12 ~ +11 dB

  • デフォルト: −6

続きまして、上限の方も見ていきましょう。

Range MAX(レンジ マックス)

Vocal RiderのRange MAXの画像
Range MAX

プラグイン左側の黒いつまみの上側の部分です。

ライダーフェーダーの移動範囲の上限を設定し、ライダーフェーダーの最大ゲインを設定します。

  • 選べる範囲: −11 ~ +12 dB

  • デフォルト: +6

Range MIN、Range MAXで設定した既定値を越えてライダーフェーダーが動くことはありません。

ですので、目的に沿って、最小値・最大値を決める必要があります。

Idle Arrow(アイデル アロー)

Vocal RiderのIdle Arrowの画像
Idle Arrow

ちなみにArrowとは「矢印」の意味です。 

ユーザーガイドでは以下の内容となります。

ボーカル活動がないときのライダーフェーダー値を設定します。通常は、単語間の急激なゲイン変化を避けるため、範囲の中央になります。

  • 範囲: −12 ~ +12

  • デフォルト: 0

ボーカルがない時(音がない時)は、ライダーフェーダーは、当然ながら動くことがありません。

その休息の場所、ポイントを指定するのがIdle Arrowの役割となります。

ユーザーガイドにもある通り、いつでも上にも下にも動けるように、指定した範囲の中央にあるのがベターなのかなと思いました。

こちらは、手動で位置を変更することが可能です。

Effective Range(エフェクティブ レンジ)

Vocal RiderのEffective Rangeの画像
Effective Range

直訳すると「有効範囲」となります。

ユーザーガイドでは以下の説明です。

自動ライディングに使用できるゲイン範囲の合計を表示します。

  • 範囲: 1 ~ 24 dB

  • デフォルト: 12

少し補足します。

前に説明した、

  • Range MAXは最大+12

  • Range MINは最小−12

ということで、

Effective Range(有効範囲)は、1 ~ 24 dBとなります。

これで自分が設定したRange(範囲)の広さが一目でわかりますね。

Rider Fader(ライダー フェーダー)

Vocal RiderのRider Faderの画像
Rider Fader

ボーカルライダーの一番目立つ箇所にある真ん中のフェーダーの事です。

ユーザーガイドでは、以下のような説明です。

ライダーフェーダーは、ボーカルライダーの自動コントロールで、内部検出器のアルゴリズムに従って動き、手動フェーダーライディングと同様にボーカルを平準化(均一化)します。

さらに、こうあります。

ターゲットコントロールは、ライダーフェーダーの「0」キャリブレーション(調整)を設定するために使用されます。

  • 範囲: −12 ~ +12 dB

  • デフォルト: Idle値

ここで冒頭の方で解説したTarget(ターゲット)の設定とライダーフェーダーが、連携されているのが理解できると思います。

Automation Mode(オートメーション モード)

Vocal RiderのAutomation Modeの画像
Automation Mode

本体の下部に並ぶ色別のボタン箇所の説明です。

以下、ユーザーガイドの説明です。このままユーザーガイドを翻訳したものを読んでいただければ、何となくでも理解いただけると思います。

ライダーフェーダーの操作を制御します。

OFF(オフ)に設定すると、ライダーフェーダーは内部エンジンを使用し、オートメーションの送信や読み取りは行いません。

  • 範囲: OFF、WRITE(書き込み)、READ(読み取り)

  • デフォルト: OFF

WRITE(書き込み)に設定すると、すべてのライダー フェーダーの動きがホストアプリケーションのオートメーション レーンに送信されます。

DAWホストオートメーションは書き込み/タッチ/ラッチ モードで有効にし、ライダー フェーダーはオートメーション用に準備されている必要があります。

ライダーフェーダーは自動的に動きますが、ホストアプリケーションでは、オートメーションが手動で書き込まれているかのように扱われます。

READ(読み取り)に設定すると、ライダーフェーダーは、ボーカルライダーの内部エンジンを無視して、オートメーションレーンを使用して動きを定義します。

Output(アウトプット)

Vocal RiderのOutput画像
Output

本体右側のつまみ(フェーダー)で、調整前と調整後で全体の出力に相違がないように、整えます。

ボーカルライダーをOFFにして、ONにした時との出力を比べれば、わかると思います(やり方はいろいろあると思います)。

以下、ユーザーガイドの翻訳部分です。

Outputは、自動ライディング後のボーカル出力ゲインをトリム(不要な部分を削除)します。

Outputがクリッピングしている場合は、CLIP LED が表示されます。

  • 範囲: −12 ~ +12 dB

  • デフォルト: 0

その他

ボーカルライダーには、いくつか種類があります。

ここで一気に解説すると、いっぱいいっぱいになってしまいますので、今回は、基本的な機能について解説させていただきました。

まずは、今回の基本機能を抑えましょう。

以上が、Vocal Rider(ボーカルライダー)の解説となります。

英字のユーザーガイドを個人的に翻訳してみたものなので、少々わかりにくい点があるかもしれませんが、何度読み返すうちに理解できてくるかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございます😊

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